本記事はLINE CREATIVE CENTER Motion Graphic Design Teamの方にご寄稿いただきました。
こんにちは!LINE株式会社・LINE CREATIVE CENTERのMotion Graphic Design Teamです。皆さん、モーショングラフィックとはどんなものかご存知ですか?モーショングラフィックはグラフィックを動かすだけでなく、情報をより面白く効率的に伝える手段です。連載2回目となる今回は、「LINE NEWS」によるコンテンツ「LINE NEWS AWARDS 2020」のために制作した映像のメイキングをご紹介します。(前回の記事はこちら!)
★今回の動画表現について「モーショングラフィックス」と呼ばれることが多いですが、記事内の表現はLINE CREATIVE CENTERのルールに則り「モーショングラフィック」としています。
[寄稿] 執筆 / LINE CREATIVE CENTER Motion Graphic Design Team , 編集 /YOSHIKO INOUE
●まずは映像をご覧ください!
LINEやLINEのサービスに関する映像は、その目的や用途に合わせて社内で制作しています。今回は「LINE NEWS AWARDS 2020」で使われた映像の中から、トークセッションや各部門の受賞者を発表する際に使用した映像を例にして解説します。
●LINE NEWS AWARDS 2020とは
LINE NEWSが開催する「NEWS AWARDS」は、芸能・文化・スポーツ・アーティストなど各分野でNEWSになったその年を彩る“話題の人”や、新しい切り口や見せ方でLINEユーザーの心を動かした“記事”、LINEユーザーに支持された“メディア”をLINE NEWSが独自の基準で選出・表彰する、NEWSの祭典です。各分野で話題をさらった2020年を代表する人々が一堂に会し、一年を振り返りました。
https://news.line.me/newsawards/2020
制作過程
1.企画
1-1.リサーチ
モーショングラフィックを制作する上で最初の工程は、映像のテーマとなるもののイメージをしっかり捉え、それを視覚化することです。イメージを視覚化するためには、そのキーワードに対して一般的に人々がどんなイメージを持っているのか、というところから調査が必要です。視覚的なイメージを簡単にインプットする手段として、GoogleやPinterestを使って該当キーワードに関係する画像を一覧で見ていきます。
▼集めた資料の一部(40枚ほど)。※記事化にあたり一部編集しています
検索した画像を並べてみると、だんだんと共通した要素が見えてきます。例えばスポーツ部門の場合、ボールのイメージやスポーツ選手のダイナミックな動きを表す画像が多く出てきました。
文化部門に関するリサーチでは、人々が集まっているイメージが大多数を占めていました。
1-2.ブレインストーミングとアイデアスケッチ
次はリサーチした資料を基にチーム内の数人でブレインストーミングを行います。
さまざまな視点から意見を取り入れることで大筋の構成が決まり、アイデアスケッチをすることでどのように視覚化して表現すれば良いかが見えてきます。このプロセスは準備段階ですが、ここでしっかりチーム内で方向性を決めておくことが非常に大切です。
●アイデアスケッチのポイント
例えば「トークセッション」がテーマの映像の場合、人々が発表者に注目するイメージを「いろいろなピンで方向を示す」というアイデアで展開しました。スポーツ部門ではいろいろな大きさのボールで多様な種目と選手のダイナミックな動きを、文化部門の場合は人々が集まっている感じをイメージしてスケッチを進めました。
2.デザインとモーション
2-1.ストーリーボードとデザイン
各キーワードをどう表現するか決まったら、グラフィックを視覚化し全体のキービジュアルのトーン&マナーに合わせる段階に入ります。 グラフィックにつける動きもこの段階で具体化されます。スポーツ部門では、大きさの異なる様々な種類のボールと、そのボールがあちこちに動く表現によって、スポーツの躍動感を表現しました。文化部門は人が集まる様々なイメージを研究して、人と人が重なるように作りました。
2-2.動かしていく
作業したデザインをつなぎ合わせたらラフカットで映像のタイミングを確認し、各カットに大きな動きを入れながら映像の全体像をイメージして確認します。
トークセッションのモーションは、羅針盤の針がトークテーマを探しているような動きを表現し、 スポーツのモーションでは、ボールの動き、躍動感を表現しました。 文化のモーションでは、ひとり、またひとりと人が集まり、新たな文化が生まれ、変化していく様子を表現するため、ハーフトーンの強弱を調節し動きをデザインしました。
このようにデザイン段階で考えていた細かいアニメーションを入れながら、クオリティを上げていき、最後にBGMを入れて完成です。
モーションをどのように具現化させるか考える工程は時には難しいと感じますが、企画意図とモーショングラフィックの視覚的な表現がぴったりとハマり、意味を込めて動く瞬間はとても刺激的です。また動きをつけることで、見た人に意図したメッセージが伝わるのも魅力の一つだと思います。モーショングラフィックのこういった魅力を多くの人に知ってもらいたいと思います!
●はたらくビビビット編集部より
2回にわたり、LINE CREATIVE CENTER Motion Graphic Design Teamが手掛ける映像のメイキングを教えていただきました!第一弾はLINEスタンプのプロモーション動画ということで、にぎやかで明るく、且つサービス説明という情報伝達色のある内容でしたね。一方で第二弾は表彰・祭典らしいかっこいい、盛り上がりのある映像でした!
スマホの中、街中と世の中に溢れているモーションデザインの広告。10〜30秒という短い時間でぐっと惹きつけ、必要な情報をしっかり伝えるためにさまざまなプロセスを経ていることがわかりましたね。
「簡潔に」「飽きさせず」「センス良く」「でも伝えるべき情報・印象はしっかり伝える」……すべての条件を満たすためには、入念なリサーチとチーム内でのイメージ共有が大事なようです。
今回はプロの現場の実務の例ですが、LINE CREATIVE CENTER Motion Graphic Design Teamで活躍するデザイナーを目指すなら、モーションやグラフィックのデザインスキルに加えて、「この映像から何を伝えたいか・どんな印象を持ってほしいか」というコンセプトを明確に、それらをチームで制作してみる経験も有効かもしれません。
プロのエッセンスを、読者の皆さんの制作活動にぜひ取り入れてみてください!
(2022.2.2)
著者
LINE CREATIVE CENTER
LINE株式会社のUI/UX、BXデザイン、映像制作、スペースデザインなどを担当するデザイン組織です。デザインの幅を広げたい方やデザイナーを志す方に向けて、デザイナーによる記事をお届けします! ↗公式note ↗23年卒新卒採用詳細 ↗ViViViT
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