近年著しく発展した3Dの技術。あの未完と言われたスペインの教会「サグラダ・ファミリア」の設計・施工にも活用され、完成予定時期は100年以上短縮されたと言われています。そんな3D技術、「自分の制作に取り入れるのは難しそう……」と、興味はあっても一歩踏み出せない方が多いのかもしれません。
今回は、そんな皆さんが手軽に挑戦できるものから、本格的なものまで、3D技術を使えるツールと、3D技術で作品を制作するクリエイターさんをご紹介します。
編集・執筆 /RINA SAITO, AYUPY GOTO
●初心者から本格派まで!
3D技術を使えるアイテム・ソフトのご紹介
3Dペン
ペン型3Dプリンターとも呼ばれる「3Dペン」。WobbleWorks社が開発した「3Doodler」が2014年に3Dペンとして初めて発売され、その後いろいろな会社から様々な3Dペンが発売されています。専用の樹脂素材をペン本体に差し込んで、熱で溶かした樹脂をインクのようにペン先から出し、平面や立体の作品を作ることができるのが特徴です。アクセサリーやちょっとした小物であれば、思いついたらすぐに形にできる、手軽に樹脂の作品を作れてしまう優れもの!オススメの3Dペン
□3Doodler Create
□VICTORSTAR 3Dペン
□XYZプリンティングジャパン ダヴィンチ 3Dペン3Dプリンター
「3Dプリンター」は、3Dのデータを元に石膏などの粉末や樹脂を素材として、通常のプリンターのように、同じ形の物をいくつも正確に生成できるツールです。学内に導入されていて、使ったことがある方もいるかもしれません。しっかりとしたものが作れるので、3Dペンよりも高額なものが多いですが、家庭用に価格を抑えたものも登場してきています。頻繁に使う機会がありそうであれば、購入すると制作がはかどるかも。オススメの3Dプリンター
□FLASHFORGE Finder
□QIDI TECHNOLOGY
□XYZプリンティング 3Dプリンター ヴィンチmini W+Fusion360
「Fusion360」は、実際のプロダクトを設計する際にも用いる、高機能な3DのCAD(設計)ソフトです。3Dプリンター用の3Dデータを作ることができ、レンダリング機能(周りの風景と馴染ませる機能)を使うことでグラフィックの作品を作ることも可能です。学生や教職員、非営利団体は無料で使うことができるので、挑戦してみたいと思った人はダウンロードしてみては?magica voxel
「magica voxel」は、正方形のピクセルで立体を表現するフリーソフトです。昔の8bitゲームなどで多く見られる「ドット絵」と呼ばれる表現が3Dで表現できる、と言った方が想像しやすいかもしれません。ブロックで積んでいくようにして3D表現ができるので、直感的に操作できることが特徴だと思います。レンダリング機能も充実しており、グラフィックの作品制作やゲームの3Dデータとしても使用することができ、フリーソフトでありながらいろいろな使い方ができます。
●3D技術を駆使した作品をつくるクリエイター
津野青嵐 さん
3Dペンを使い、身体から浮いているような服をつくりあげる、津野青嵐(つの・せいらん)さん。ヨーロッパ最大のファッションコンテストである「ITS」のファッション部門に、2018年は日本人唯一ノミネートされました。ミュージシャンである、水曜のカンパネラさんのPV「かぐや姫」にも衣装提供されています。布ではできない3Dペンならではの表現方法で、ファッションの可能性を広げていくような作品です!【Twitter】 @tsunoshit
【Instagram】 @seirantsuno大村卓 さん
PDFのハンガー
PDF hanger#企業のノベルティを勝手に作る #fusion360#3Dプリンタ#作ってみた pic.twitter.com/nofR6IVjy8— 大村 卓 Taku Omura (@trialanderror50) 2018年4月26日
3Dプリンターを用いて、色々な企業のロゴマークなどをモチーフに「#企業のノベルティを勝手に作る」のタグで作品を投稿している、大村卓(おおむら・たく)さん。普段は、自身の事務所であるoodesignにて、プロダクトデザイナーとして活躍されています。この画像の作品は、Adobe社から直接声がかかり「Adobe Creative Station」のコラムにて「Adobeのノベルティを勝手に作ってたらAdobeから連絡が来た件」という記事を連載することになる、という驚きの展開。この先もどうなっていくのかが楽しみですね!【Twitter】 @trialanderror50
【 HP 】 http://www.oodesign.jpmimom さん
3Dソフトの「Fusion360」を使い、粘土のような質感の3Dモデルでグラフィック作品を作っているmimom(みもん)さん。ViViViTの中途サイトのグラフィックも担当して頂きました。普段はデザイン事務所で広告やパッケージを手がけるデザイナーとして活躍されています。グラフィックの作品でありながら、ハンドメイドのような暖かみが感じられるmimomさんの作品。人物が登場しない、物体のみで構成された空間は、見る側にそこで起きている物語を想像させます!【Twitter】 @m_mimom
【 HP 】 https://www.mimomweb.comUe さん
ちょっと懐かしい日本の景色をボクセルで作ってます?#初夏の創作クラスタフォロー祭り pic.twitter.com/Bqvc3mpBn5
— ue_voxel (@UeVoxel) 2018年6月4日
3Dソフトの「magica voxel」を使い、日本家屋などを3Dモデルで制作し、日本の昔懐かしい風景のグラフィック作品を作っている、Ue さん。部屋の細部までピクセルで表現がされており、まるで登場人物の目線でゲームの中の街並みを見ているような気分になりますね。ついつい細部まで見入ってしまう、長時間眺めてしまいそう……!昔懐かしい建物の雰囲気も、より一層ワクワクしてしまいます。【Twitter】 @UeVoxel
【pixivFANBOX】 https://www.pixiv.net/fanbox/creator/2211953
【Sketchfab】 https://sketchfab.com/uevoxel
●最後に
難しいようで身近に感じる「3D技術」。プロダクトデザイン系の学生はもちろん、ファッション、アート、デザインと様々な分野の学生も、自分の制作に取り入れられる部分があると思います。無料のツールもあるので、ぜひ挑戦してみてくださいね!
(2018.10.15)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア