今回ご紹介するのは、2021年春から3Dキャラクターデザイナーとして就職するスウさんのポートフォリオです。ポートフォリオの冒頭から、荘厳な雰囲気が伝わってきますね。3DCGのモデリング作品を、三面図だけでなくさまざまな角度から見せており、その世界観に引き込まれます。
一体どのようなポートフォリオなのか、さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / MAKO WATANABE , YOSHIKO INOUE
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スウ ハイカさん
京都精華大学 アニメーションコース4年生
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PICK UP!ポートフォリオのこだわり
ポートフォリオのなかで特にこだわった部分を教えていただきました。
作品が一目でわかるような目次ページ
スウさん:目次のページはどんな作品があるのかわかりやすいよう、気をつけながらデザインしました。
編集部:冒頭の目次ページに各作品のサムネイルが載っていることで、どんな作品群なのかが一覧できます。作品数がとても多いわけではありませんが、このページを見ることで作品の全体的なテイストもわかりますし、作品ジャンルの幅広さもわかります。タイトルやジャンルだけを掲載するよりも、素早く多くの情報が読み手に伝わって良いですね。
モデルは様々な角度から見せる
スウさん:3D作品をさまざまな角度で見せるよう意識しました。
編集部:あくまで作品をメインに、テキスト情報はシンプルにまとめているスウさんのポートフォリオ。
冒頭のキャラクターモデリングは、1作品見開き12ページも割いています。衣装のフードをかぶっている姿・かぶる前の姿・武器やグローブをつけた手の動きなど、一体のキャラクターに対し部位ごとにページを設けているのが印象的です。
プロセスを明快にして、ディティールまで説明
スウさん:3D作品の制作過程をわかりやすく載せました。
編集部:プロセスを詳しく説明することで、どのタイミングで何のツールを使用しているかわかります。いつもどんな風に制作しているか、仕事をしている姿を想像してもらいやすくなりそうですね!テキスト量も多すぎず、要点をおさえたコメントを見やすく載せています。
▼CHECK!一言でデザインの理由を解説
【右側のテキスト】PATTERN
自分でデザインしたヴィクトリア朝風の模様です。
重厚な出来栄えにするため、模様は単なる白黒ではなく、グレーも取り入れました。そうすることで、Zbrushで押し出すと、レイヤーの入った柄が出来上がります。
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ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ゲーム、映像業界
●コンセプト
60%作品集風+20%雑誌風+20%映画風
スウさん:きちんと作品を見せながら、レイアウトは少し雑誌風、映画風に演出して作り上げました。
●制作中にもらったアドバイス
スウさん:レイアウトが単純過ぎると観る側は飽きてしまうこと、作品数が少ない場合ページを使い過ぎるのは良くないということ。
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介
- 目次
- 3Dモデリング作品
- 3Dアニメーション
- デッサン
- 水彩
●制作時期
大学3年生の2月中旬〜2月末(2週間)
●制作プロセス
(1)作品をピックアップ
(2)Illustratorでデータ制作
(3)目次を決める
(4)作品の順番を決める
(5)ひたすら作る
(6)教授に見てもらう
(7)ページを削る
(8)印刷所にて印刷
●制作に使用したソフト
Illustrator、Photoshop
●印刷 / 製本方法
クリップファイルに入れる
●サイズ / ページ数
A4 / 57ページ
●制作にかかった費用
約3800円
●制作するうえで参考にしたもの
Artstation 、issuu、ViViViT(ビビビット)の先輩達のポートフォリオデザイン
●ViViViTページと紙ポートフォリオの使い分け
スウさん:ViViViTはページ制限がなく、閲覧する側も一目で作品の一覧がわかる上に、レイアウトも紙のポートフォリオ程考えなくて良いのがメリットです。またWebの良い所は、作品をいろんな角度で見せたい時に3〜4枚の写真をまとめて載せたり、写真を拡大したりできる点です。なので、私はViViViTで先に全ての作品を載せた後、それに基づいて紙のポートフォリオを作っていきました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
スウさん:ポートフォリオ制作を通して自分に何が足りないのかわかるので、なるべく早めに作っておいた方が良いです。
また、必ず代表作を作ってください。職種によると思いますが、グラフィックデザインやWebデザインなどの職種以外、ポートフォリオはあくまで人に見せる道具です。ポートフォリオのデザインで工夫するより、作品の質の方が根本的に大事だと思います。
はたらくビビビット編集部より
黒やグレーの背景で統一された、映画やゲームの設定資料画集のようなポートフォリオ。作品のテイストにもマッチした、重厚感のあるデザインが印象的ですね。見どころはやはり、12ページも割いている冒頭の作品。クオリティもさることながら、作者の力の入れ具合が伝わってきます。最後のメッセージでもお話されていますが、ポートフォリオを使ったプレゼンについて伺ったときも「自分の代表作を作り、それを売り込んだ」と話していました。面接ではポートフォリオのすべての作品について語れる時間があるわけではありません。とことんこだわり抜いた作品を使って自分の強みをしっかりアピールできると良いですね。また、アナログ作品として、デッサンと水彩画を最後に掲載しています。3DCGデザイナーは平面を立体化する能力が求められるため、デッサンがある場合は載せておくと良いでしょう。
スウさん、ありがとうございました!
スウさんも活用した!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2021.3.16)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア