何かをデザインするときに、色の組み合わせを考えることは避けて通れません。しかしその必須である配色に、何かと悩まされることはありませんか? 配色によって受け手の持つ印象やイメージは大きく変化します。目的のシーンには、どのような配色が有効なのか、また自分らしい配色とはどんなものなのか。今回はそんな「配色」について考えてみようと思います。
編集・執筆 /YAMADA, AYUPY GOTO
●コレを使えば間違いはない!世の中で良く使われている配色
配色を決めるときに一番初めに考えることは何でしょうか。直感的に決めることもあれば、感覚的に好きな色を選んで決めることもあるかと思いますが、多くの場合はデザインする対象となるものの雰囲気やイメージ、コンセプトに基づいて決めていくことが大事です。ではまず、色の持つイメージについて考えてみましょう。
色の持つイメージ
赤…情熱 興奮 強い生命力 怒り愛
ピンク…幸福 女性的 愛 恋 柔らかい
紫…神秘的 優雅 高貴 不安 病的 妖艶
茶色…落ち着き シック ナチュラル
オレンジ…元気 明るい 陽気 楽しい
黄色…明るい 希望 危険 快活 ひょうきん 無邪気
緑…癒し 生命力 落ち着き 健康 穏やか 安全 保守的
青…静か 生命 知性 男性的 未来 誠実 安定 冷酷 悲しみ
白…未来 清潔 勝利 空虚 無垢 透明感 神聖
黒…高級 クール 寂しさ 闇 悪 恐怖 神秘 孤独 威厳
灰色…上品 落ち着き 地味 憂鬱 無気力 虚無
単色で見てみると、色が持つイメージは皆さんが日常の中で抱いているものと相違ないのではないでしょうか。
しかしこれらを組み合わせることで、全く違ったイメージになります。100通りの配色があれば100通りのイメージができあがるのです。ではオーソドックスなイメージ配色で考えてみます。
オーソドックスな配色イメージ
かわいい、女性らしい、ファンシー
ピンク系の暖色やパステルなどの配色。
ポップ、元気、キッズ向け
原色が良く使われているもの、彩度が高く明るい
落ち着いた、癒しの
茶色系や緑系の配色。リラクゼーション効果がある。
モダン
スタイリッシュで近代的なイメージ。青系を中心とした配色に明度の低いグレイッシュな赤やオレンジを組み合わせるとモダンらしさが出やすい。
簡単にイメージ別で分けてみました。見覚えのある配色もあるのではないでしょうか。しかしこれらは基本的なものであり、それぞれの感性や国によって変動します。では今、度は少し変わった個性的な配色と国別の配色パターンを見てみましょう。
●ポップカルチャー!個性的な配色
カラフルでクレイジー!日本発祥の原宿系配色
出典https://matcha-jp.com/jp/1341
個性的最先端のファッションカルチャーを生み出している原宿ならではのビビットな配色です。
アメリカのカラフルなお菓子に近いかもしれません。どくどくしくもありますがこのカルチャーらしさですね。
http://kawaiimonster.jp/day/pc/
ゆめかわ配色
近年女子中高生の間で人気を集めた「ゆめかわいい」。これはパステルでメルヘン、幻想的なものに病み要素が含まれているものを指します。これらの配色は全体的にパステルでファンタジックなものです。ピンクと紫の組み合わせがよく見られますが、ここで色の意味をたどってみると納得するものがあります。不思議ですね……!
●国によってちがう配色感覚
国によって配色パターンは大きく変化します。それはそれぞれ異なった環境と歴史の中で培われてきたものです。今日、世界の情報はネットワークの発達や国同士の交流によって手軽に知り得るものになってきました。お互いの国のデザイン情報を取得することが手軽になった今、日本にも沢山の海外デザインが取り入れられています。
ではどのくらい違うのか、配色一例をもとにそれぞれ簡単に特徴をピックアップしてみたいと思います。
日本
日本の古来から伝わる配色は、主に自然から抽出したものが多く、色の名前はすべて実在する物質からつけています。
配色は季節で振り分けられており、女性の着物の重ね合わせで色の配色が考えられていました。
▶http://nipponcolors.com
アメリカ
時代によって変動はありますが、原色ビビットな配色が多いです。
フランス
モダン、ポストモダンもフランス配色の一部です。
柔らかいグレイッシュな色合いが多いですね。
韓国
五方色といった、蒼・赤・黄・白・黒の五色を基本とした配色です。
イタリア
ビビットな色合いの中にオレンジや水色が入ってくることでイタリアらしさが出ていますね。
●色による効果
では配色が違うだけでどれだけ印象が変わるのか、実際に異なった配色で着彩してみました。
左は女性らしい暖色、真ん中は寒色系、右はアメリカンな原色を使用しました。
暖色系で塗ったものは何かに驚いている様子に見えますが、悲し気な雰囲気ではありません。
しかし寒色系で着彩したものは、どこか悲し気にみえます。
そして最後に原色主体でぬったものは、アメコミ感が出ました。
このように、色による効果は絶大であり、見た人の解釈を大きく変えます。目指したいイメージに合わせて配色を決めていく事が大切です。
●自分ならではの配色とは?
さて、オーソドックスな配色から個性的な配色、そして各国の配色傾向までざっとみて参りましたがこれらを踏まえた上で、自身が使う配色とは一体どんなものなのだろう、と思った方は少なからず居るのではないでしょうか。では、例に倣わない自分ならではの配色というものは見出す事は可能なのでしょうか。
例えば、「かわいいをイメージして使用色はピンクをベースに3色に限定して広告を作って」と5人に言ったとします。すると、それぞれが考えた配色は全く違った5パターンになる可能性が高いです。これも個性と、それぞれの感覚の差によるものです。そもそも「かわいい」の定義が人によって違い、それぞれのフィルターを通して選ばれた3色は、その人の個性を表した配色ということになります。
つまり無意識のうちにも自分の配色感覚というものは持っており、使われているということです。しかしそれが一体どのような特徴をもっていてどのようなバランスになるのか、ということを把握していない場合が多いのでしょう。
そうは言っても自分の配色系統を知る、というのはかなり難しくもあります。
そこで確実ではありませんが、感覚として掴めるかもしれない方法をご紹介します。
色彩組み合わせ感覚チェッカー
1.まず2色以上で構成されているもの(広告でもロゴでも)から色をそれぞれ抽出します。これを5つ程用意します。
2.そこに1色自分で色をたしていきます。
3.足したものとのバランスをみると、自分がどの感覚で色を足しているのかがイメージとして掴める…かもしれません。
元の色は2~4色がやりやすいかと思います。
誰かと一緒にやると、より差が出て違いがはっきりする&楽しいかもしれませんね!
そんなこと言っても…
どれだけ自分の配色系統が分かった所で、どうにも気に入らない、どしても思い通りの配色にならない……といった場合もあるかと思います。そんなときは色診断サイトなどで配色を決めてもらうのもひとつの手です。
オススメの配色パターン提案サイト
直感的!センスある配色をオススメしてくれる
Coolors
https://coolors.co簡単な操作で簡単に配色を決められる
HUE/360
http://hue360.herokuapp.com作ったカラーパターンを保存できる
colourco
http://www.colourco.de
●最後に
配色は、時代背景やトレンドを表したり、配色自体が意味を持つこともあります。また、感覚的に使われている場合もあり、使われ方は多種多様ですが、これといったルールはありません。自分だけの配色感覚というものを持っていると、デザインの強みにもなることもあります。テーマに沿って、自分が納得できるベストな色選びが出来ると良いですね!
(2019.07.01更新)
(2016.6.15)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア