みなさんは「プロップスタイリスト」という職業を知っていますか?主に空間を生かしたデザインについて考える仕事です。今回は広告から映像まで幅広い分野で活躍している「プロップスタイリスト」の仕事について、詳しくご紹介したいと思います。
編集・執筆 / SHIGEMATSU, AYUPY GOTO
目次
- 1.プロップスタイリストとは?
- 2.プロップスタイリストに求められるスキル
- 3.世界観を生かした空間デザインを作りあげる秘訣
- 4.活躍している場面
- 5.日本で活躍しているプロップスタイリスト
- 6.最後に
1. プロップスタイリストとは?
プロップスタイリストとは、簡単に言えば空間演出をプロデュースする仕事です。
「プロップ」は小道具という意味を表しており、それを使って空間の構成を考えるプロップスタイリストは美術や小道具の専門のスタイリストのことを指しています。
スタイリストと聞くと服をコーディネートする人を思い浮かべてしまいがちだと思うのですが、別の仕事だということをきちんと認識しておく必要があります。
海外に比べると日本ではあまり馴染みのない職業のため、認知度が低く求人も少ないという点も知っておいてほしいです。
2.プロップスタイリストに求められるスキル
では、実際のプロップスタイリストの仕事の現場ではどんなスキルが求められているのか考えてみましょう。意外にも大学や専門学校などで専門の知識を学べる所が無い為、自分で空間を使ったデザインに関係する勉強をしておくのが一番最適な手段だと考えられます。
また、街中にあるディスプレイなどを見てどういう使い方をしているかを普段から考える習慣をつけると、実践的な練習になります。スキル的な面で考えると、デザイン要素とセンスが必要になってくるので、幅広い分野の知識を得ておくことをオススメします。
活躍している人の多くが実務的なアシスタントを経験して、プロップスタイリストとしてデビューしています。いろいろな面で経験をたくさん積んでおく必要があるということが分かります。
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3.世界観を生かした空間デザインを作りあげる秘訣
空間を使ったデザインにおいて、プロップスタイリストは世界観を上手く引き出すためにどのような点に気をつけているのでしょうか?
企画の意図を読み取る
コンセプトに合わせた世界観を作り上げることも、プロップスタイリストの重要な役割です。クライアントからの依頼を受け、それを元にイメージを膨らます作業は、空間を使ったデザインをしていく上で必要不可欠です。なぜならいかにコンセプトに合わせたセットを作れるかで、見た人の持つ印象が大きく変わってくるからです。つまり、コンセプトを軸にそれに沿ったデザインを考える力があるかどうかが、ここで問われることになるのです。
幅広い分野の情報をインプットする
デザインをする上で、いろいろなものを見る機会が多い方が想像力も湧きやすくなります。美術館へ足を運んだり、本や映画を見たりすることで参考になる部分もたくさんあると思います。常にいろんな情報をチェックして、どんな場面にも対応できるインスピレーションを持つことがとても大切なのです。たくさんの情報を知っていると、デザインの幅も自然と広がるため、世界観を最大限に生かしたデザインを作り上げやすくなるのです。
4.活躍している場面
プロモーションビデオや雑誌の企画ページで使う空間のデザイン、ショーウィンドウのレイアウトなどさまざまな場面で活躍しています。
普段何気なく見かけている広告も、あまり知られていないだけで、プロップスタイリストがプロデュースしたものが多いです。空間をデザインすることはデザインをする上で重要な作業です。決められたコンセプトに合わせてどれだけ魅力的なものを作れるかが大切になってくると考えられます。
5.日本で活躍しているプロップスタイリスト
● 遠藤歩さん(えんどう あゆみ)
日本大学芸術学部演劇学科装置コースを卒業後、蜷川実花さんのアシスタントを2年経験した後、独立。資生堂「マシェリ」、コーセー「JILLSTUART Beauty」、ラフォーレ原宿など、思わずため息が出るような女の子が憧れる世界観を表現するプロップスタイリスト。広告、カタログ、CM、MV、CDジャケット、ショーウィンドーディスプレイ、イベント装飾…など、幅広く活躍する。著書「Girly Prop Styling」(扶桑社)。
● ケイコ・ハドソンさん(けいこ はどそん)
プロップスタイリスト/セットデザイナー/ヴィジュアルディレクター。武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒業後、イギリスに2年間留学。そこでプロップスタイリストの仕事を知ったケイコさんは、日本に帰国後にプロップスタイリストとして活動を開始。ファッション、コスメティックス、フードに特化した、コンセプトとストーリーあるビジュアルスタイリングが特徴的です。Vogue Japan、AKQA、資生堂、ユニクロ等の仕事に携わっています。
6.最後に
プロップスタイリストは、空間演出のスペシャリストです。私たちの身の回りの空間にもプロップスタイリストによってプロデュースされている場所も多くあると思うので、見つけたら是非チェックしたいですね。平面的な表現とはまた違った新しい見方でデザインを見ることで新しい発見があるかもしれません。今回の記事を通して少しでもプロップスタイリストという仕事について興味を持ってもらえたら嬉しいです。
(2016.9.27)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア