みなさんは、ポートフォリオを作る際どのような事に気をつけていますか?自信のある作品を大きく載せたり、キャプションを記載したり……それぞれ工夫があると思います。ですが、自分の作品を見せたいという気持ちが強くなってしまい、好きなものだけを詰め込んだ作品集になってしまっている方も多いのではないでしょうか。目指している業界によっては、その分野に適した内容を載せる必要があります。そこで今回は、業界別のポートフォリオ作りについて考えたいと思います。
編集・執筆 / SHIGEMATSU,AYUPY GOTO
ポートフォリオを作る際に
ポートフォリオとは、過去に制作した作品をまとめた「作品集」のことを指しています。見てもらう人のために、作品の量や見やすさの調整はもちろん、内容の充実度がとても大切になってきます。特に就活用のポートフォリオは、その業界にマッチした作品を含む内容になっているかが重要視されています。そのため、常に企業側に見てもらうという意識を持ちながら、制作する必要があります。ポートフォリオとして作品をまとめる際は、制作したものを振り返りつつ自分の強みと弱みをしっかりと認識しなければなりません。
同じ系統の作品が多い → 違う系統の作品を新たに制作
作品数が少ない → +αで作品を増やす
学校での制作物が多い → 自主制作で制作物を増やす
ポートフォリオの内容と、目指したい業界はマッチしているか?
次に、目指したい業界とポートフォリオの内容が合っているかを考えます。
先程確認したように、もっと作品を増やさなければいけなかったり、系統の違うものを制作したり……
自分に必要な要素を認識したところで、改めてポートフォリオを見返してみましょう。まとめる際のポイントとしては、内容の偏りが無いようにバランスよく作品をピックアップすることを心がけます。その中で、業界に適した作品を上手く組み込む必要があるということを忘れてはいけません。そこで今回は、キャラクター業界を目指している人を例に考えてみようと思います。
例 キャラクター業界を目指している人
学校で制作した作品、それに加えて自主制作と内容も盛りだくさんの内容のポートフォリオを制作しました。ポスターや課題作品など、幅広い分野の制作物が載っており、見応えも十分です。しかし、その中にキャラクターの作品が一つも無いとすると、本当にこの業界を目指しているのか……?と企業側は思ってしまうと思います。このようなことを防ぐためにも、業界に合わせた内容を選んで載せたり、新たに制作して載せたりする必要があるという事が分かります。
【POINT】
差し替え式のファイルを活用すると、業界に合わせて作品を入れ替えることができるのでとても便利です!
業界別でみる!ポートフォリオアドバイス
業界別のポートフォリオの作り方を考えてみたいと思います。業界によって必要とされている能力が違うので、その点にも注目しながら参考にしてみてください。
広告
広告業界向けのポートフォリオは、広告やポスター、その他関連したキャンペーングッズ等の制作が必要になってきます。制作したポスターをただ載せるだけではなく、実際にある街の看板などに合成して見せることで、現場でその広告を使うとどにように見えるのか?リアルな印象をポートフォリオの紙面上から感じることができます。広告には車内や駅のホーム、街頭やデジタルサイネージなど様々な種類があるので、バリエーションを多く作っておくと良いでしょう。テーマや制作過程のプロセスも作品と一緒に載せておくと、より良いです。
キャラクター
キャラクター業界向けのポートフォリオは、企画から制作まで行うことが多いので、様々なデザインをする機会があると考えられます。そのため、オリジナルキャラクターの制作や、そのキャラクターを使った小物や雑貨などのデザインの制作作品が、多く必要になってきます。その際、デザイン画のラフも加えて載せると、制作のイメージがつかめやすく、採用担当者にも作品の内容がより伝わるでしょう。キャラクター業界は、正確に描く描写力も必須になってきます。デッサンなどの静物画や立体物が書けることもポイントの一つになってくるので、載せることをオススメします。
ゲーム
ゲーム業界向けのポートフォリオは、背景やキャラクターデザインなど、ゲームに必要になってくる要素を多く制作する必要があります。架空のゲーム内で登場する複数のキャラクターや動物、背景、武器、ゲーム画面のUIなどを設定して描きます。キャラクターは正面、前後左右といったようにいろんな角度から見た事を想定して書くとリアリティが増して見応えがあります。背景と組み合わせたパターンをいくつか用意して、自分にしか出せない世界観を作り上げる事も大切になってきます。
ゲームのデザインでは描写力が重要となるため、自信のあるデッサンを多く載せるようにしましょう。
WEB
WEB業界向けのポートフォリオは、WEBデザインやUIデザインの作品を多く掲載する必要があります。デジタルの画面で使うものを、いかに紙面で見やすくできるかが鍵となってきます。部分的に大きく表示させたり、使った際の動きの手順を分かりやすく説明するとよりベストです。WEB上のポートフォリオも作成して、紙のポートフォリオにURLを記載しておくと良いと思います。WEB業界の場合、実際に作った動くポートフォリオと作品が見たいという企業は少なくありません。
エディトリアルデザイン
エデイトリアルデザイン業界向けのポートフォリオは、誌面を構成する作業が多いため、作品をまとめる際も一冊の本のように見せると、技術や表現力がより伝わります。また、編集した紙面以外の装丁や雑誌、写真集などエディトリアルの要素を含む様々な作品の実物を、一緒に提出するとさらに良いでしょう。ポートフォリオの中に挟んでおくことで、使っている紙の素材まで細かく見てもらえます。
UI
IT業界のUIデザイナー向けのポートフォリオは、作品の制作過程や考え方の説明内容や見せ方が大切です。例えばアプリのUIの場合、ユーザー体験(UX)やビジネスの視点を持って制作しなければいけません。なので、作りながら何を考えたか、どのようなビジネスモデルか、そのサービスにどのような価値があるかなどをポートフォリオでも説明する必要があります。スマートフォンから見たUIはもちろん、パソコンから表示した場合やどのようにサービスを展開するかなど、セットで載せることができると良いでしょう。
最後に
業界に合わせたポートフォリオ作りを心掛ける事で、さらに魅力的なポートフォリオに仕上がるのではないでしょうか。今回紹介したものはほんの一例です。はたらくビビビット内のポートフォリオ百科では業界別のポートフォリオをたくさん紹介しているので、是非制作する際の参考にしてみてください。業界に合わせた内容をピックアップすることはもちろん、自分らしさもしっかりアピールできる素敵なポートフォリオが作れることを祈っています!
(2017.5.8)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア