クリエイティブ職の就職活動においてとても重要なポートフォリオ。あなたはもう作りましたか?一度作ってみたけれど「これで良いのかな」「どこを直していけば良いのだろう」という疑問を持つ方がいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は就職活動中にポートフォリオのブラッシュアップを、なんと13回も行った学生に、どのようなところをブラッシュアップしていったのか聞いてみました。
編集・執筆 /SUZUKI NANA,AYUPY GOTO
▼就活中にポートフォリオを13回改訂した先輩
よしだるい
2018年3月東北芸術工科大学デザイン工学部グラフィックデザイン学科卒業。大手ゲーム会社内定。
就職活動でどういう会社を受けたの?
― まず、ポートフォリオは受ける業界によって少しずつ作りが変わってくると思うのですが、よしださんはどういう会社にエントリーしていたのですか?
よしださん:出版関係のデザインがしたかったので、最初はそういう会社を中心に探していました。でも、最初に入る会社がこれからのキャリアの全てになると決まっているわけではないなと思い直し、途中から業界にこだわらなくなりました。業界よりも、5年後10年後自分がどうなっていたいか、そのために何を学べる場所か、自分の性格に合っているか……などいくつかのポイントを設けて絞り込んでいきました。結果、エディトリアルの会社やゲーム会社などいろんな業界を受けることになりました。
▼よしださんのエントリーした会社
・エディトリアル系 4社
・パッケージ系 1社
・ゲーム 2社
就活ではじめて作ったポートフォリオ(3年生12月頃)
基本的に左ページに大きく作品の題名と作品の写真があり、下にはコンセプトを書いたレイアウトになっています。ページの端中央にはジャンルと作品名が書かれていて、どのページを見てもなんの作品なのかがわかるようになっていますね。また、どういった作品なのか、分かりやすい題名がつけられています。しかし、1つのページに同じ大きさの画像が3つ入っていたり、四隅に入る情報が重複していたり、装飾的に感じられたりと少し窮屈かもしれませんね。
― こちらが3年生の12月に初めて作ったものということですが、作ったきっかけは何だったのですか?
よしださん:大学に来ていた大手広告代理店のポートフォリオ講座のために制作しました。ページの流れとしては自分の名刺やレターセットなどの「パーソナルアイデンティティ」をはじめに置いて、「ブック」「ポスター」「パッケージ」の流れで紹介しています。
自己紹介の意味で名刺をトップにし、エディトリアル系の業界を一番に志望していたので、次にブックデザインを入れました。
―反応はどうでした?
よしださん:自己紹介のためのパーソナルアイデンティティのページですが、トップに持って来なくていいとアドバイスもらいました。ポートフォリオを使う場面を考えると、確かに面接時に持っていくことが多いので、自己紹介は自分の口でします。そのためポートフォリオにその役割を持たせる必要はないと思いました。
― その後、3年生の1月時点のポートフォリオでは、見開きページが多くなりましたね。基本的なレイアウトは同じですが、同じ作品のページでも載せる作品画像が増えています。
よしださん:最初の段階だと寂しいし、迫力が足りないと思ったので大きく入れました。実際に作ったものはもっと大きいのにページ上で小さく見せてまうのはもったいないと思ったので、1つ1つ写真を大きくレイアウトして、ページ数が増えてます。また、アドバイスで制作時期・学校課題なのか自主課題なのかといった情報も入れた方が良いと言われました。
ほぼレイアウトが確定した就活最盛期(4年生6月頃)
レイアウトが変わり、印象も大きく変わりました!左ページに作品名と学校課題の説明文(どういった前提で作られたのか)が追加されていますね。また、見開きのページがより一層増えました。何を見せたくて大きい写真を持ってきているのかという、ねらいがよく分かります。
さらに、今までデータ素材で配置されたいたものが、実物の写真やスキャンされたものになっています。
― 迫力あるページが増えましたね!特にポスターのところとか……。
―
よしださん:ポートフォリオの中にメリハリが欲しかったのと、ポスターって面接の時にさらっと見られやすいんです。時間をかけてこだわって作ったのにさらっと見られるのが嫌だったので、インパクトを与えたくてアイキャッチ的に入れました。ちなみにこれは小さく刷った後、拡大スキャンして取り込んだ画像を使ってます。
―そのまま入れるのではなく、一手間加えているんですね。ブックデザインの文字組の部分などは実物をスキャンしたものに変更されていますね。
よしださん:実物感がないものだと「これ載せる意味ある?」って思われちゃうし、スキャンした物の方が文字組をしたことが分かりやすいので変えました。初めの頃のポートフォリオから変わったのはとにかく実物感があるように見せているところ。LINEスタンプのページも、そのまま載せていたところをiphoneにはめ込んだ画像に変更しました。また、私の制作物は白いものが多いので、スキャンする、もしくは必ずトンボをつけるようにしました。
―そして、課題文がかなり詳しく書かれていますね。
よしださん:面接で採用担当の方や企業のデザイナーさんに「どうして〇〇しなかったの?」って聞かれることが多くあって……。
「それは課題の前提が〇〇だったので〜」とその場で言うのは不親切だと思ったんです。ポートフォリオの横にいつもいて、直接説明できるわけではないし、企業に郵送するだけの場合もあるので、ポートフォリオの中で詳しく書いた方がいいなと思いました。また、作品の説明については「全く読んでもらえない」か、「かなり読んでもらえる」の二択だと思っています。
といっても、ほぼ読んでもらえないことのほうが多かったので、端的なキャッチコピーの考え大きく入れました。クラスメイトや教授だと、どんな課題をやっていたのか分かるからスルーされがちですが、これを見せる相手は初見なのを忘れないように、常に意識していました。
―
―「おはしを持つほうが右手、とは教えられないから。」「物語の、顔」「名画コミュニケーション」など作品を知っている私から見ても、興味のそそられるキャッチコピーがとても良いなと思いました!ありがとうございました!
▼よしださんのポートフォリオ制作の極意
ゲーム会社とかだと漫画系のイラスト求められるかなと思って二次創作のイラストも入れてみました。
納得できていない作品は入れていません。
どういう順番で作品を入れるかは迷うし、正解はないとは思うのですが、意図を分かってくれる会社が自分に合う会社だと思うので、自分の考えにこだわってもいいと思います。みなさん就活頑張ってくださいね。
最後に
筆者とよしださんは同じ学校で、何度も何度もデータを作り直し、紙にもこだわって印刷・製本する姿を見ていました。そのため、ぜひポートフォリオについて詳しく聞いてみたいと思っていました。私自身「ポスターはどう載せたらいいのかな?」とか「どう作ればわかりやすいのだろう」といった疑問を持ちながら制作していたので、同じような疑問を持つ後輩の皆さんに役立つよう細かく聞いてまとめたつもりです。
クリエイター職採用でのポートフォリオは、私たちの名刺です。また、ポートフォリオは面接時に私たちを助けてくれるカンペにもなります!
わかりやすく、自分らしく、より良いポートフォリオが作れると良いですね。
(2018.4.2)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア