美術を学ぶ学生さんの中には、絵本をつくる仕事に憧れを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。美術大学の卒業制作展を見に行くと、絵本作品を制作している人を毎年見かけます。今回は「絵本作家になりたいけど、具体的なイメージがつかめない……」という方々に向けて、絵本作家の仕事内容や仕事を得る方法をご紹介します!
編集・執筆 / tamachanz, AYUPY GOTO
イラスト / Miyagi Takumi
- 絵本作家とは
- 絵本作家になるには
- 著名な作家
- 最後に
1.絵本作家って何?
主となる読者は子供で、絵と文章のどちらも自分で務める作家もいれば、絵のみを担当する方もいます。絵のみを担当する職業のことは、絵本作家の中でも「絵本画家」と呼ばれています。
▽仕事スタイルは?
絵本作家の仕事は、出版社の編集者と打ち合わせをして原稿料(給料)や納期を決め、作家と編集者が一緒に作品を仕上げていきます。したがって、求められた絵を描く描写力や、編集者と円滑にコミュニケーションを取る力が大事です。
2.絵本作家になるには
絵本づくりに必要な表現力や描写力、文章の構成方法を習得するのに最短の手段として、美術学校に通ったり絵本づくりの講座を受講したりすることが挙げられます。文章のみを作成する場合は画力は必須ではありませんが、文章に絵をつける絵本画家の場合、いろんなお話に合わせた表現が求められます。絵本作家になるには、基礎的な描写力、構成力、編集力といったスキルを身につけなければいけません。
絵本作家になるためのスキルを身につけながらも、実際にデビューするためにはどのような行動をとれば良いのでしょうか。
主流とされている方法を3つご紹介いたします!
●コンペに応募する
現在活躍している絵本作家の多くはこの方法でデビューしています。コンペに関する情報はインターネットで簡単に調べることができ、出版社主催のコンペの数も1年に10回以上あります。以前に比べ、コンペに応募する敷居は低くなったのではないでしょうか。
狭き門ではありますが、受賞することでデビューの可能性は高くなるといえます。
●出版社に持ち込む
昔ながらの方法で、出版社に自分が制作した絵本作品を持っていくことです。
そこで編集者に助言をいただくことができ、出版までこぎつけた作家も多く存在します。出版社によっては持ち込みを禁止しているところもあるので、もし持ち込みをする際は事前に面談予約を取ると良いでしょう。
●SNSに作品を投稿する
SNSで自分の作品を他人にアピールすることも有効な手段です。近年ではSNSに投稿した作品がきっかけで仕事の依頼が来たり、作家本人の知名度が上がったりすることがあります。したがって、SNSを活用することはインターネット時代の新しい作家のあり方だと言えます。
3.著名な作家
美術予備校に通ったことのある人は、デッサンや色彩構成の上達のために先輩たちの絵を参考にしていた思い出はありませんか?何事も資料をたくさん見て技を盗むことが大切です。絵本づくりを上達させるためにも、著名な作家たちの絵本を見て吸収していきましょう。
●ヨシタケシンスケ
ヨシタケシンスケさんは、元はイラストレーターでしたが、数年前に絵本作家デビューを果たされました。イラストのみを担当する場合もありますが、両方担当する作品も多くあります。彼の豊かな想像力から生まれるお話は大人が読んでも楽しめます。インタビュー記事を読むと、"苦手なことに使う時間を、得意なことをする時間に充てる”という素敵な考えをお持ちだということがわかります。
引用:https://www.1101.com/yoshitake/2017-05-11.html
●シゲタサヤカ
原作と絵の両方を1人でこなすシゲタさんの絵本は遊び心に溢れています。面白い言葉の表現や想定外の展開に子供も大人も思わず笑ってしまうでしょう。彼女は、普段生活している中で興味を持ったものから作品の着想を得るそうです。
引用:https://matome.naver.jp/odai/2139825972598636001
●宮西達也
”お父さんはウルトラマン””おまえうまそうだな”など名作をたくさん生み出してきたこの方の作品は、ロングセラーとして子供達に愛され続けています。原作と絵の両方をご自身でこなされており、大人の心にも深く染み渡る物語を多く作られています。
引用:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784591129494
●エドワード・ゴーリー
エドワードさんは、デビュー初期は詩集の挿絵やブックデザインをされていましたが、数年後に原作とイラストを担当した絵本を出版しました。彼の描く話の内容はダークファンタジーなので、子供は面白さ以上に心に残るものがあるでしょう。
そんな魅力に惹かれ、アート作品として楽しむ大人のファンも少なくありません。
引用:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/518HNSYMY9L.jpg
●広野多珂子
彼女の代表作は”ねぼすけスーザ”シリーズです。異国の田舎で暮らす女の子を主人公にしたこのシリーズは、カラフルで可愛らしいものがたくさん描かれていて、読者の視線を釘付けにします。広野さんの物語を読むと、普段の生活が特別なもののように感じることができます。
”魔女の宅急便”シリーズでは、挿絵を担当されています。
引用:http://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=2254
●島田ゆか
島田さんの代表作は何といっても”バムとケロシリーズ”です。犬のバムとカエルのケロの穏やかな日常を描いた作品です。キャラクターデザインが可愛いこのシリーズは、度々商品化されています。絵本の空気感はのんびりとしていて微笑ましいです。(作家ページ)
引用:http://www.bamkero.com/works/works_oka.html
4.最後に
美術を学ぶ学生の中には、将来就職するか作家になるか迷っている方がいると思います。今回の記事では、絵本作家になる方法や仕事内容を中心に紹介しました。
絵本の表現方法という視点で見てみると、記事の中で紹介した物語絵本以外にも、仕掛け絵本やイラストのみで構成された絵本など、たくさんの種類があります。絵本作家の仕事に興味を持った方は、自分の作風に合った表現媒体でぜひ絵本をつくってみてください。
(2018.3.27)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア