ライブやクラブで盛り上がる時、その魅力は音楽だけでなく、演出や照明も大きく影響していると感じませんか。ものづくりをしていると、このショーの演出はどのようにつくられているか、裏方目線で見てしまうことも多いと思います。今回は、アーティストやDJの後ろに流れる映像を表現する「VJ」と呼ばれている仕事についてご紹介します。
映像の勉強をしている方や、音楽が好きな方はぜひご覧ください!
編集・執筆 / YOSHIKO INOUE, AYUPY GOTO
目次
- 1.VJって何?
- 2.どんな人がしているの?
- 3.どうやってなるの?
- 4.VJが使っているソフト
- 5.最後に
1. VJって何?
●ビジュアルジョッキーの略。簡単に言えば、DJの映像版
VJとは、ビジュアルジョッキー、ビデオジョッキーの略称です。クラブやコンサートなどでフロア正面のDJブース後ろにあるスクリーンに流れる映像を演出する人です。そのフロアの雰囲気に合わせ、準備された映像を操作したり、即興で映像演出を行ったりします。
クラブやイベントなどでその場の雰囲気に合わせ音楽をセレクトしていくDJ=ディスクジョッキー(Diskjockey)に対し、VJは音楽に合わせて映像をセレクトし、空間を演出していきます。
VJの成り立ちは古く、1980年代中盤にはステージ演出の手法の一つとして活用されています。その後ビデオデッキやノートパソコンの登場、周辺機器の進化と普及により大きく発展してきました。最近では昼間の明るい野外でもLEDスクリーンによって映像が投影できるので、VJ・DJの活躍の場は広がってきています。
2. どんな人がしているの?
●デザイナーなどクリエイター職と兼業の人が多い!もちろん学生も
VJとして活躍する人の中には、普段はグラフィックデザイナーや映像制作会社など、クリエイターとして働いている人もいます。学生から始めて経験を積み、社会人になった後もライフワークとして続けられるようです。
またイベントに関わっていると、映像制作だけでなく、フライヤーやグッズデザインなど、様々な形でデザイン業に関わるチャンスがあります。イベント内容や客層、自分の作る映像を考えながらグラフィック制作ができるため、デザインスキルだけでなくディレクションやブランディングの力も養えます。
音楽関係やデザイン業界・ファッション業界で働く大人など感度の高い人が足を運ぶイベントであればあるほど、一つ一つのグラフィックの注目度は高く、仕事を任されると大きなやりがいにつながるでしょう。
3. どうやってなるの?
●いろんな人とのコミュニケーションを通して、つながりをつくろう
VJになったきっかけをVJとして活躍している方に聞くと、「お客さんとして楽しんでいた時にできた繋がりからVJをすることになった」と話す方が多いです。クラブやイベントは社交の場でもあるので、コミュニケーションを活発にすることで、仕事やその後の関係性に発展できます。
始めからコネ作りを狙って行動するというわけではなく、積極的に周りの人と楽しみ、気の合う仲間や尊敬できる大人を見つけられると良いですね。
4. VJが使っているソフト
●いろんなソフトを試して、独自の表現を極めよう!
フリーの映像素材も多くありますが、操作に慣れてきたら自分の手でグラフィックなどを組み合わせて、オリジナルの映像素材をつくる人が多いようです。
制作手順は人それぞれ違うようですが、ざっくりとした手順は
①撮影→②編集→③エフェクト(加工)です。
近年では本格的なカメラを使わなくても、スマートフォンで十分質の高い映像が撮れます。また、簡単に使える編集ソフトも無料で手に入るため、気軽に映像制作を始められます。その後、撮影した映像を加工したり、CG編集しながら映像にオリジナリティを出していきます。
以下は、VJ映像をつくる際もよく使われる、一般的なソフトです。
・Adobe After effects
…AdobeSystemsが販売する、映像合成やモーショングラフィックス、VFXを制作できるソフト。動画編集から合成までできる。略称はAE。
※VFX…Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)の略。現実には見ることのできない視覚効果を演出する技術のこと。
・Final Cut Pro
…撮影したビデオの編集から加工までできるソフト。特殊効果を付けたり、ムービーペイント(ロトスコーピング)を施すこともできる。
※ムービーペイント…レーザ光線やオーラなどの効果を動画の1フレームごとにペイントで施すこと
・Apple Motion
…Final Cut Proに対応している、モーショングラフィックスのソフト。 2D/3Dどちらにも対応しており、編集しながらその場で修正できる。使い易いUIが特徴。
・Maya
…アニメーション、モデリング、シミュレーション、レンダリングができるソフト。3DCG加工が施せる。
・CINEMA4D
…ドイツのMAXON Computer社によるCG制作ソフト。操作性が良く、3Dグラフィックが簡単に制作できる。C4Dと略されることが多い。
・3dsMax
…3Dのモデリング・レンダリングソフト。ゲーム、映画、モーショングラフィックスが制作できる。シミュレーションやレンダリング機能などが充実している。初心者にもおすすめ。
5. 最後に
今回は、音楽シーンで活躍するVJについてご紹介しました。VJの活躍は、学生イベントやクラブから、大規模なイベントやコンサートに展開していくこともあります。
イベントの盛り上がりは、VJの活躍次第で左右されるといっても過言ではありません。自分のつくった映像に音楽が組み合わさり、観衆と一体となってひとつの空間がつくりあげられる高揚感は、やみつきになってしまうのではないでしょうか。またVJに限らず、音楽シーンに演出する側で関わると、衣装・照明・予算・集客など、イベント運営全体が見えてきます。
興味のあることを極めつつ、社会と繋がるチャンスは逃さずつかみましょう!
(2016.4.13)
はたらくビビビット
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