VR / AR / MR / SR の違いって何?|仕事百科


最近よく耳にする、AR / VR / MR / SR という言葉。なんとなくは知っていても、これらの違いをしっかり理解して、説明できている人は少ないのではないでしょうか。テクノロジーの進化とともに、今後もその可能性に期待が集まる AR / VR / MR / SR 。今回は、それぞれの特徴と違いを、身近な具体例とともにわかりやすく紹介します。
編集・執筆 / Ayako Yamada, AYUPY GOTO
イラスト / Miyagi Takumi

目次

  • 1. VR / AR / MR / SR の違い、わかりますか?
  • 2. それぞれの特徴と具体例
  •  -  VR (仮想現実) とは
  •  -  AR (拡張現実) とは
  •  -  MR (複合現実) とは
  •  -  SR (代替現実) とは
  • 3. VR / AR / MR / SR のこれから
  • 4. 最後に


1. VR / AR / MR /SR の違い、わかりますか?

「VR元年」と呼ばれた2016年以降、テレビなどのメディアでよく耳にするようになった、「VR」「AR」「MR」という言葉。最近では「SR」と呼ばれる技術があることを知っていますか?これらの技術を総称して、「XR」*1と呼びます。近年これらはアート作品にも多く取り入れられており、クリエイティブを学ぶ学生なら、この違いはしっかり理解しておきたいところです。
世界中で活発に研究が行われているこれらの技術は、日々進化を続けています。アップデートされていく情報に置いていかれないように、それぞれどういった概念で、どんな違いがあるのか、基本を押さえていきましょう!


*1……X Reality (クロスリアリティ), または Extended Reality (エクステンデッドリアリティ) の略

2. それぞれの特徴と具体例

● VR (仮想現実) とは

「VR」とはVirtual Reality (バーチャルリアリティ : 仮想現実) の略です。コンピューター上で作成された仮想空間・映像空間の中に、実際にいるかのような没入感のある体験ができる技術で、現実世界とは異なる仮想世界に入り込むことが特徴です。「VR」では、ヘッドマウントディスプレイVRゴーグルといったデバイスを装着して体験します。体験者は360度すべての視界を覆い仮想空間に没入するため、安全が確保された室内での使用がメインです。

「VR」を使うと、本当に体験しているかのような、リアルなバーチャル体験ができるため、エンターテインメントはもちろん、教育や訓練といった場でも活用されています。
日本では、ゲームやアトラクションとして活発に使用されています。2016年に発売された「PlayStation®VR (PSVR)」や、2017年にオープンしたVR体験施設「VR ZONE SHINJUKU」が有名です。

■ PlayStation®VR (PSVR)

■ VR ZONE SHINJUKU


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● AR (拡張現実) とは

「AR」とはAugmented Reality (オーグメンテッドリアリティ : 拡張現実) の略です。周囲を取り巻く現実世界に、CGなどによって現実には無い新たな情報を付与し、現実世界を拡張します。“現実世界とは異なる仮想世界”に入り込むVRに対して、「AR」は現実世界をベースとし、現実と非現実を重ねて、現実世界を拡張させていることが特徴です。

「AR」では、ARグラスというメガネ型のデバイスがあります。こちらは屋外での使用も多く、小型・軽量化や、ドローンとの活用が進んでいます。また、スマートフォンアプリの分野で多く利用されていることもポイントです。『Pokémon GO(ポケモンGO)』や、可愛い自撮りができる『SNOW (スノー)』といったアプリを使ったことがある人は多いのではないでしょうか。家具店IKEAの提供するアプリ『IKEA Place』では、部屋にスマートフォンをかざすだけで、実際に家具を置いた際のサイズ感や雰囲気をシュミレーションすることができます。エンターテインメント分野では、リオ五輪閉会式での東京のパフォーマンスで「AR」の技術が使用されていました。このほか、ビジネス面でも活用が期待されています。

■ Epson Moverio

■ IKEA Place


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● MR (複合現実) とは

VR/AR と比べると、まだ耳慣れない言葉かもしれない「MR」。これはMixed Reality (ミクストリアリティ : 複合現実) の略で、現実世界と仮想世界を融合させる技術です。AR と似ているように感じるかもしれませんが、実際はその逆で「MR」ではカメラなどで受け取った現実世界の情報を、バーチャル空間に反映させます。つまり、AR は現実世界が主体なのに対し、「MR」ではバーチャル空間が主体になっています。VR との違いとしては、VR が現実と異なる仮想空間に没入することに対し、「MR」は現実世界と仮想世界が連動していることにあります。「MR」は VR/AR を発展させた技術と言えます。

「MR」では、VR 同様ゴーグル型のデバイスを使用します。代表的なものに「Microsoft HoloLens」があります。MR用のデバイスにはOSやカメラも内臓されているため、スマートフォンと同じような機能があり、製造・研究開発のほかイベントでのプロモーションなど、ビジネスシーンでの幅広い活用が期待されています。

■ Microsoft HoloLens


● ここまでの、VR / AR / MR の違いをまとめました!
似ているようですが、比べてみるとそれぞれの特徴がわかります。

● SR (代替現実) とは

「SR」とはSubstitutional Reality (サブスティチューショナルリアリティ : 代替現実) の略で、理化学研究所の脳科学総合研究センター(BSI)適応知性研究チームが実験を進めている新しい技術です。

体験者が装着したヘッドマウントディスプレイには、目線の位置に付けたカメラからのライブ映像と、あらかじめ同じ場所で撮影された過去映像が織り交ぜて表示されます。過去映像は全方位を記録できるパノラマビデオカメラで撮影されており、体験者はライブ映像同様、自由に周囲を見渡すことが可能です。そのため、ライブ映像と過去映像の区別がつかなくなり、体験者に気づかれることなく、現実世界を過去の世界や仮想世界に差し替える(substitute) ことができるのです。この技術は実験段階でまだ実例はあまりありませんが、今後、人間の心理・認知に関わる実験に活用される可能性があるとのことです。

■ Substitutional Reality



3. VR / AR / MR / SR のこれから

2016年以降、拡大を続ける XR(クロスリアリティ) の技術。スマートフォンアプリで活用されているARは、すでに日常的に多くの人が触れている技術と言えます。対して、VRやMRはヘッドマウントディスプレイなどのデバイスが高価なため、まだあまり一般に普及しているとは言えませんが、今後新たなデバイスの開発や低価格化などにより、より私たちの生活に身近なものになっていくことでしょう。

また、これらXR技術と、AI(人工知能)やドローン、8K映像などといった最新テクノロジーとの融合も研究開発が進んでいます。今後の展開に注目したいですね。

■ 8K:VR Ride featuring "Tokyo Victory"


▲ NHKエンタープライズにより開発が進められている「8K:VR」。2017年に行われた「SXSW 2017」*2では、「8K映像+ドーム型ワイドスクリーン+モーションライド+5.1chサラウンド」という、世界初の8K映像によるモーションライドを発表し、大きな反響を呼びました。これは、ヘッドマウントディスプレイを使わずにVR体験を実現するもので、他者とも体験を共有できることが特徴です。


*2……サウス・バイ・サウスウエスト(South by Southwest)、アメリカ・テキサス州オースティンで行われる、世界最大のクリエイティブの見本市


4. 最後に

AR / VR / MR / SR の違いは理解できたでしょうか?これらの技術は今後さらに私たちの身近になり、クリエイティブの学生にとっては体験する側だけでなく、コンテンツを作る側として関わることも増えそうです。すでにVRやAR技術を使った学生作品を、各大学の展示などで見かけるようになりました。それぞれの技術の特性を理解すると、自身の制作にも活かせるかもしれません。今後のXR技術の最新情報をぜひチェックしてみてください。


(2018.8.30)

著者

山田彩子

筑波大学 芸術専門学群を2019年3月に卒業。イラストを描いたり、雑誌を作ったりします。玉子焼きがあれば幸せです。

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