デザイン科へ入るには?現役美大生が教える美大受験・合格への道

 
2019年の美術大学の受験もいよいよ大詰め。美大のなかでも、毎年倍率が高く人気なのがデザイン科です。この記事の読者の中には、「いつか自分もデザイン科の学生に……。」と思っている高校生や、中学生の方もいるかと思います。デザイン科に入学するためには、まずどのように行動すれば良いのでしょうか?今回は、「デザイン科受験について知りたい!」「もっとデッサンや平面構成が上手くなりたい!」と思っている未来の美大生に向けて、現役の美大デザイン科所属である筆者の経験も交えて、受験の流れや普段できる試験対策についてご紹介します。
編集・執筆/AYUMI TSUDA , YOSHIKO INOUE

目次

  • 1.高校三年生からでも大丈夫?美術予備校について知りたい!
  • 2.デザイン科の試験方法って?
  • 3.実技がもっと上手くなりたい!普段やるべき3つのこと
  • 4.「絵は描けないけど美大に入りたい!」学科試験だけで入れるデザイン科
  • 5.最後に

 

1.高校三年生からでも大丈夫?
美術予備校について知りたい!

一般的な大学と同じように、美大受験生向けにも予備校があります。それが”美術予備校”と呼ばれるもので、美大を受験するほとんどの人が通います。美大受験で課される実技試験の専門的な知識を学び、美大出身の講師の方と共に技術的な練習を積み上げて一定の実力を身につけていきます。総合高校の美術科や芸術高校に所属している人も、学校の授業とは別に、受験のために予備校に通う人は多いそうです。
  
予備校に通い始める時期としては、高校二年生の冬期講習までには行き始めるのが理想です。基礎的な物の捉え方、道具の使い方などの基本を二年生のうちにある程度教わっておくと良いと思います。

高校三年生からの美術大学受験は「もう遅い」と感じ、あきらめてしまう人が多いかもしれません。しかし、どの大学に行き、何を学びたいかがはっきりとしていればあきらめなくても良いと思います。ピンポイントで対策を取り、必要な技術や知識を身につければ美術大学合格の時期に「遅い」ということはありません。
美術予備校では一般的に、高校三年生から志望する学科・専攻の入試対策をするコースへと分かれます。そして、最初から試験対策の課題に入る場合がほとんどです。
予備校にもよりますが、デザイン科は以下のように細かくコース分けされている場合があります。
・芸大を中心とした国公立美大デザイン科向けのコース
・私立美大のコース
・〇〇大学〇〇学科対策

……その他

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2.デザイン科に入りたい!試験方法って?

美大を目指す過程で重要視されるのが実技試験です。デザイン科はどんな試験が出るのでしょうか?大学によって方法は様々ですが、主に行われる試験方法を一緒に見てみましょう。

▼デッサン
  
デザイン科に限らず、どの学科でも試験課題として一番多く出題され、避けられないのがデッサンです。この課題によって、描写力や形を理解する力があるかを見られます。デザイン科では、鉛筆デッサンが多く見られます。時間内(3〜5時間ほど)に一枚のデッサンを完成させる試験形式で、何を描くかは学科により異なり、試験会場に用意されている人や物を描く場合と、想像して描く場合の2パターンあります。想像して描くというのは、例えば、「料理をしている手を想像して描きなさい」といった問題です。学科によっては描いたデッサンを鉛筆や水彩で着彩をする試験もあります。

▼平面構成
 
ポスターカラーやアクリルガッシュを使って作品を作る試験です。色彩構成とも呼ばれます。パターンは大きく分けて2つあり、果物や文房具等のモチーフを配られ、「モチーフを自由に構成(構図や配置、色を自分で決める)しなさい」というような具体的な物を描く試験と、「丸・四角を◯個づつ使い、与えられたキーワードに沿って構成しなさい」といった抽象的な試験があります。
「動物園のポスターを作りなさい」「flowerをいう単語のイメージを4色まで使って構成せよ」のような、文字を使った試験もあり、学科によってさまざまです。学校ごとに「平面構成 参考作品」などで検索して作品を見てみると、傾向がつかみやすいと思います。

▼立体構成
 
国公立の美大でよく見られる、粘土や紙等を使って立体作品を作る試験です。「配布されたモチーフを粘土で模刻しなさい」というデッサンの立体バージョンのような試験や、「柔らかいという単語をイメージした立体を紙で構成しなさい」というような試験などがあります。

3.実技がもっと上手くなりたい!普段やるべき3つのこと

 
「デッサンや平面構成がもっと上手くなりたいけど、具体的にどうしたら良いかわからない……。」と思う方もいると思います。そこで、筆者(津田)が受験生だった時にやっておいて良かったことや、日頃から気をつけていたことをご紹介します。
 

▼周りの物を観察する
デッサンにおいて重要なのが正確な形や陰影を描くことです。モチーフの特徴をあらかじめ把握し、課題でどんなモチーフが出題されても怖気づかないように準備しておくと良いでしょう。筆者は、家で時間があるとき、自分の手やモチーフとして出題されそうな物をスケッチしていました。

 

▼資料を作る
資料とは、自分が好きなデザインのポスターやフライヤー、綺麗な風景や花を撮った写真を集めてまとめたものです。これは平面構成のアイディアや、想像したモチーフを描くデッサンで役に立ちます。筆者は花や宝石、風景の写真を特に集めていました。予備校で花を想定して描く平面構成やデッサンの課題が出た時は、花の写真の資料がアイディア出しに役に立ち、クオリティを上げることができました。

▼筆者が実際に作った資料。ポスター・広告系のものと写真を分けて制作した。


 

▼自分の得意な表現を見つける
筆者は平面構成の課題で、派手な色使いと絵の具でグラデーションを作ることが得意でした。様々な色の組み合わせを試したり、誰よりも綺麗なグラデーションを作れるように練習をして自分の武器を磨いていました。得意なことを見つけることで自信がつき、誰にも他の人と差をつけることができるでしょう。

4.「絵は描けないけど美大に入りたい!」
学科試験だけで入れるデザイン科

小論文や数学で入学できる制度を取り入れている美大も近年増えています。「美大で勉強したいけど、自分は実技よりも学力で勝負したい!」という方におすすめです。
ここからは、入試で実技試験がない美大の学科・専攻をご紹介します。気になる大学があれば、詳細を確認してみてください。

  

武蔵野美術大学

▼デザイン情報学科
国語・英語の学科試験に加え次のうち一科目選択
・数学
・小論文(図説を含む)
・造形表現テスト 
  
▼基礎デザイン学科
大学入試センター試験 選択3教科のみ

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多摩美術大学

▼環境デザイン学科
▼情報デザイン学科 情報デザインコース
▼統合デザイン学科
▼演劇舞踊デザイン 劇場美術デザインコース

大学入試センター試験 3教科4科目のみ

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東京造形大学

▼グラフィックデザイン専攻
▼メディアデザイン専攻
▼インダストリアルデザイン専攻
▼テキスタイルデザイン専攻

学科試験に加え次のうち一科目選択
・鉛筆デッサン
・平面構成
・小論文
・構想表現

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女子美術大学

▼ファッションテキスタイル表現領域

学科試験に加え次のうち一科目選択
・鉛筆デッサン
・文章表現

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横浜美術大学

▼美術学部 美術・デザイン学科全て
国語・英語の学科試験

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名古屋造形大学

▼建築・インテリアデザインコース
▼ライフデザインコース
▼メディアデザインコース
▼ジュエリーデザインコース

国語・英語・数学・ストーリー構築のうち2科目選択

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京都造形芸術大学

▼全学科・コース共通
午前と午後でそれぞれ学科試験に加え1科目ずつ選択
・午前:国語・英語、鉛筆デッサン(静物)、鉛筆デッサン(手)
・午後:小論文、鉛筆デッサン(静物)、鉛筆デッサン(手)

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5.最後に

私が美術予備校に通い始めたのは高校二年生の夏期講習からでした。始めは週に二〜三回でしたが、高校三年生からは週五日とほぼ毎日通っていました。高校の勉強や部活動を両立しながらでとても大変でしたが、「絶対に受かる!」という強い気持ちと、周りの人の協力のおかげで無事現役で美大に進学することができました。予備校では、何が答えなのかわからなくなったり、調子が悪い日が続いたりとつらいこともあるかと思います。ですが、その分実力がついてきていると思って、あきらめないことが大切です。この記事を見て、デザイン科の美大受験に挑戦したい!という方が増えたら嬉しいです。
 

(2019.3.6)
Ayumi Tsuda

著者紹介

津田愛悠美Ayumi Tsuda

武蔵野美術大学 デザイン情報学科所属。イラストやグラフィック、アクセサリーを中心に制作しています。音楽と映画とお笑いが好きです。
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