あなたはいくつ知ってる?製本知識をマスターしよう

製本

普段私たちが読んでいる本は、様々な製本方法のもと読みやすいカタチに製本されています。例えば、辞書や百科事典なら上製本、文庫本なら無線綴じ(くるみ綴じ)製本など、いろんな種類に分けることができます。今回は本をより魅力的に見せるための秘密、製本の知識や種類を紹介していきたいと思います。
編集・執筆 / ARAAKEMAYU, AYUPY GOTO

● 本の知識を深めよう

本には一つ一つ名称がついています。本を扱う人たちはこの名称で呼び合います。本の名称がどの部分を意味しているのかを確認しましょう。

基礎知識 『本の名称』

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1. 天(てん)
本の上の部分。

2. 地(ち)
本の下の部分。

3. 小口(こぐち)
本を開く側。背の反対側。

4. のど
本を綴じている側。

5. 表紙(ひょうし)
書籍本体の一番外側の部分。

6. カバー
表紙の上にかけられている上。本を傷めないような役割があるが、本の「顔」とも言われ、様々なデザインや素材が施される重要な部分。

7. 帯(おび)
お客様にその本の魅力をアピールし、手にとってもらうことを目的に、内容説明やキャッチコピーが入れられたカバーの上に巻く細い紙です。

8. そで
カバーや帯をかける時に、表紙の内側に折り込む部分です。

9. 見返し(みかえし)
表紙と本の中身を接着するために用いられる紙です。表紙にくっついていない側を「遊び」とも言います。

10. 本扉(ほんとびら)
本の「中身」の最初のページです。

11. 中扉(なかとびら)
本の内容がいくつかの部分に分かれている時に、その区切りとして設けられるページです。

12. 背(せ)
本を束ねている部分です。

13. 溝(みぞ)
表紙の両面・背の近くに刻まれ、本を開きやすくする加工。

14. 花切れ(はんぎれ)
天地両側の背と本文の接着面を隠すように貼り付ける細い布です。

15. スピン
紐しおりです。

16. 束(つか)
本の厚さのことです。

● 製本の種類を知ろう

1.上製本(ハードカバー)

きっちりとした上質な本の製本

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上製本(ハードカバー)とは本の中身をしっかりと糸でとじ、別仕立ての厚めの表紙でくるむ製本のことを指します。表紙を上質の布でくるみ、本の題名を金箔押しした重厚な雰囲気のものが好まれますが、厚めの紙やビニールで表紙を仕立て、その上にブックジャケットを被せる本もあります。そして、上製本は背の形状によって「丸背製本」・「角背製本」などに分けられます。

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1−1.丸背製本
本の背が丸く綴じられてる製本。レキシブルバック、タイトバック、フォローバックの3種類があります。

1−2.角背製本
本の背が四角く綴じられてる製本。

▶︎ POINT
・特徴 … 上質な雰囲気を醸し、長期の保存に耐えられる
・使われる本 … 書籍・辞書・絵本

 

2.並製本(ソフトカバー)

低コストで簡易的な本の製本

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並製本(ソフトカバー)とは中身と表紙を同時にくるみ、三方を仕上げ裁ちした製本のことをいいます。表紙と中身の大きさが同じで、表紙は上製本と異なり芯紙を使用せず1枚の紙で仕上げます。そして、並製本には様々な綴じ方の種類があります。

 
2−1.無線綴じ(むせんとじ)
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針も糸も使わずに背の部分を高温の合成のりで綴じ、表紙でくるむ方法です。くるみ製本とも呼ばれます。

2−2.平綴じ(ひらとじ)
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背の近くを、表側から裏側にかけて針金などで綴じる方法です。ノドいっぱいまで開けないので、綴じしろの分だけスペースが狭くなりますが、頑丈なつくりになります。

2−3.中綴じ(なかとじ)
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週刊誌などによく見られる、表紙と中ページを開いた状態で、背になる部分を針金で綴じる方法です。

2−4.あじろ綴じ(あじろとじ)
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折り工程で折丁の背の部分に切り込みを入れて接着剤を入れ、接合しやすくした方法です。

▶︎ POINT
・ 特徴 … 工程・資材が簡略化されてて、加工時間・コストともに低い
・ 使われる本 … パンフレット・カタログ・雑誌・文庫本

 

3.和綴じ製本

日本の伝統的な製本

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https://www.creativebug.com/
和綴じ製本(わとじ製本)とは通常の糊や中綴じの針ではなく、本に穴を開けて紐を使った製本のことをいいます。和綴じ製本の一番の魅力は、紐の縫い目の美しさです。本来は中国から伝わった製本の仕方でしたが、平安時代に伝わり日本独自の発展を遂げました。

▶︎ POINT
・ 特徴 … 紐の縫い目の模様が魅力的、和紙など柔らかい紙を綴じるのにおすすめ
・ 使われる本 … お寺の経本や・長唄などの謡本

● 自分の手で製本してみよう

今回は『手作り上製本』の手順をご紹介したいと思います!百均などお家にあるもので簡単に材料を揃えることができるので、気軽に上製本ができると思います。
 

▼ 製本に使う道具
・スチール定規
・アクリル定規
・クリップ
・へら
・カッターナイフ
・紙ヤスリ
・ミゾ付け棒
(直径2㎜くらいの竹ひご、バーベキューの竹串などを利用します。本の縦寸法より長く、出来るだけ曲がりにくいものが良いです。2本の棒を固定するのに、両端を輪ゴムで軽く止めます。)
・ボンド
(市販の木工用ボンドに水を加えて、溶かして使います。※ボンド:水=4:1)
・ガーゼのハンカチ
(余分なボンドを拭き取るために、湿らしたものを1枚。貼り合わせ用に、乾いたものを1枚。)
・カッター台
・クラフト紙
・重石と板
(制作の本と同じか、大きめの板と重石になるもの。)
・吸取り紙
(コピー用紙を2枚or4枚、本文と同じくらいの大きさに切っておきます。見返しを貼った後、余分な水分を取るのに使います。)

▼ 表紙に使う材料
・表紙用の布
今回は好きな柄の布を使って表紙を作りました。
(他にも紙を使用してもできます。紙を使用する場合は、100~130kgくらいのある程度厚みがある紙を使います。薄いと、ボンドを塗った時すぐに丸まってしまうので、扱いづらいです。)
本文2つと背の幅を合わせた分より、一回り(ぐるり1.5㎝以上)大きいものが必要です。
・見返し用紙
100~130kgくらいの厚みで、本の雰囲気に合った色合いのファンシーペーパーなどを使います。本文と同じ用紙でも大丈夫です。
・板ボール ……芯になります
厚さが1.5mm~2mmのボール紙や厚紙。
・寒冷紗(かんれいしゃ)
大きな手芸品店にあります。目の粗い、木綿の芯地です。5㎝幅×(本文縦-1)㎝くらいにカットして使います。
なければ、和紙やハトロン紙のような薄くて丈夫な紙で代用します。補強用なので、省略も可能です。

〜 表紙を作ろう 〜

①表紙の芯となる厚紙をカット
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厚紙を『表・裏』(本文よこ-3mm×本文たて+6mm)、『背』(本文の厚さ+4mm)にカットします。
 
②表紙(布)をカット
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上端と左端から15mmのところに線を引きます。その線に合わせて図のように板ボールを置き、背の両側、右端、下端の位置を書きます。
右端と下端にも15mmを取って、余分を切り落とします。さらに四隅の角を、5mmの折り代を付けてカットします。
 
③厚紙とセット
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大きな広告紙を、数枚重ねて置きます。(ボンド用下敷き紙A)その中央に表紙用紙を置きます。
ボンドがボンド用下敷き紙Aに付かないように間に紙を敷きます。ボンド用下敷き紙Bは後ではずしやすいように、天地に分けておきます。
 
④厚紙を貼る
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まず、右側にボンドを塗ります。そして板ボールの線の外まで、表紙用紙からはみ出ないように、均一に手早く塗ります。
 
⑤天と地を包む
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天と地の折り代に、ボンドを塗ります。ボンドは多すぎないようにしましょう。ボンド用下敷き紙Bを取り除きます。
ボンド用下敷き紙Aから3枚ほど取り、下敷き紙ごと厚紙を包むように、表紙を折ります。左手で下敷き紙を引っ張りながら、右手に持ったヘラで、厚紙の側面と折り代を圧着します。

次にボンド用下敷き紙を離してヘラで直に、写真のように、中央部分と角を成形します。角の折りは、箱の包装と同じ要領です。
中央部分は力を入れすぎると破れてしまいやすいの気をつけましょう。
 
⑥小口を包む
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小口の下に、ボンド用下敷き紙Cを敷き、小口の折り代にボンドを塗ります。
※このとき、上下の角にボンドが溜まらないように注意します。角部分にボンドが多く付いていると、はみ出して汚れることがあります。ボンド用下敷き紙Cを取り除き、ボンド用下敷き紙Aごと厚紙を包むように折って側面と折り代をヘラで圧着します。
 
⑦形を整える
背の厚紙を芯にして、背の折り目を付けます。湿った紙は傷つきやすいので、直接指を触れずにガーゼなどを当てて折ります

〜 表紙と本文を合体させよう 〜

①組ませる
天・地・小口のチリが同寸になるように本文を挟み、本文がずれないように机に置いて、上側の表紙をそっと開きます。
 
②ミゾを付ける
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小筆で、背と表紙の厚紙の間に、多めにボンドを塗ります。このボンドは、貼るというよりは、ミゾを成形するのが目的です。

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次に表紙を本文にかぶせます。
指で軽く押さえると、表紙に厚紙の端が写ります。そこがミゾの位置になります。
※図のように、アクリル定規を垂直に立てて、擦らずに強く押さえつけてミゾを作ります。反対側も同様にします。
 
③ミゾ付け棒をセットする
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ミゾにちょうどはまるように、ミゾ付け棒をセットします。

ミゾ付け棒がミゾを押し当てるように板で挟み、クリップで固定します。
 
④重石15分程度置く
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ミゾ部分が押さえられて、全体に重石がかかれば、どんな方法でも大丈夫です。
 
⑤見返しを貼る
※一番難しい工程です。焦らずゆっくり丁寧やりましょう。
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見返しの下に下敷き紙を挟みます。ノドの奥までしっかり挟みます。
これから先、表紙が90度より開かないように、左手で表紙を固定して作業します。
小筆で、寒冷紗を板ボールに留めます。

見返しに手早くボンドを塗ります。ノド付近にボンドが溜まらないように、放射状に塗ります。
下敷き紙を抜き取り、いったん表紙を伏せて、しっかり押さえます。

表紙を開き、見返しをガーゼで擦って貼り付けます。しわが出来そうなときは、小口方向に逃がすように擦ります。水分取りの紙を挟んで閉じ、反対側を同様に貼り合わせます。
 
⑥水分取り風入れる
水分取りの紙が湿っていたら取り替え、ミゾ付け棒をセットして重石をします。10分くらいしたら一度ミゾ付け棒をはずして、水分を吸った紙を取り除きます。もし余分なところが貼り付いていたら、剥がしてボンドをよく拭き取ります。
 
⑦プレス
再びミゾ付け棒をセットして、重石をします。24時間置きます。

完成です!!

〜手作り上製本をやってみて〜
材料は百均などで揃えることができるので手軽に製本することができました。是非製本に興味のある人にはやってみてもらいたいです。しかし、一つ一つの工程が難しいところもあるので、一回で綺麗な製本をすることは難しいと感じました。自分で製本するときは、時間をかけて丁寧に作業することをおすすめします。

● おすすめ製本スポット

自分の手で製本することも可能ですが、冊数が多い場合は製本会社にお願いしてみるのもおすすめします。製本する冊数が多いとお得になる場合もあります。自分だけの一冊を作ることができる製本会社を紹介していきたいと思います。

手軽に製本ができる

◯ キンコーズ・ジャパン  http://www.kinkos.co.jp/price/binding.html

・製本の種類 ★★★★☆
リング製本・ツインループ製本・くるみ製本・テープ製本・シュア製本・中とじ製本(サイズ、厚さによってできないものがあります。)
・コスト ★★★★☆
冊数が多いとお得になり、プリントサービスや学割などが使えます。
・時間 ★★★★★
冊数や製本にもよりますが、早いと1時間ぐらいで終わるものもあり、その日のうちに製本ができるのもあります。営業時間が24時間というところも便利です。(印刷、製本などサービスによって受付時間は異なります。)

低コストで製本できる

◯ 印刷通販  http://www.printpac.co.jp/

・製本の種類 ★★★★★
冊子・パンフレット(中綴じ、無線綴じ)・写真集・ノート
・コスト ★★★★★
一部から製本できるのもあります。自分がやりたい製本の見積もりを簡単に出すことができます。
・時間 ★★★☆☆
WEB入稿ということもあり、製本の種類、曜日、入稿時間によって時間が異なります。

他にも様々な製本サービスを行っている会社があります。製本は印刷よりも時間がかかるため、しっかりと計画を立てて入稿日を決めましょう。また、製本会社によっては少ない冊数では製本してくれない場合もあるので、製本会社について下調べをする必要があります。

● 最後に

いかがでしたか?製本についての知識をつけておくと今後のまたポートフォリオ制作に役立たせることができると思います。素敵な本に出会ったらその本の中身だけでなく、どんな作りでどんな製本方法なのかも見ておくと自分の作品につなげることができるかもしれません。

(2016.8.23)
araakemayu

著者紹介

荒明真柚araakemayu

武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科在学。グラフィックデザイン、パンフレットや本のエディトリアルデザインを主に勉強しています。最近はラジオを聴くのにはまっています!
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