塗り絵で考える!色づかいと塗り方による印象の変化

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皆さんは塗り絵をしたことがありますか。幼い頃に好きなキャラクターの塗り絵本を買って、色を塗ったことがある方が多くいるのではないでしょうか。線画状態の絵に色を塗っていく遊びですが、最近では子ども向けだけでなく、大人向けのものまで幅広く展開されています。今回はその塗り絵を題材に、色を塗っていくことや、配色していくことによる印象の変化について考えたいと思います。

編集・執筆 /YAMADA, AYUPY GOTO

●塗り絵の世界

従来の塗り絵は子ども向けの遊びでした。塗り絵をすることで色彩感覚を養ったり、枠内に納めて描く描写力の向上など、そこには教育目的の意味合いも含まれていました。
しかし近年、そのイメージは無くなりつつあります。脳のトレーニングにも効果がある塗り絵は、お年寄りにも愛されていますがそれとはまた違った意味合いで、1つの趣味として塗り絵を楽しむ大人が増えてきました。

大人の塗り絵?

趣味として塗り絵を楽しむ大人が増えたのは“大人の塗り絵”というものが誕生したからです。“大人の塗り絵”と呼んでいるだけあって、子ども向けの塗り絵とは絵の傾向が全く違います。太めで単純な線のキャラクターではなく、繊細で細かい線で描かれた花や動物、幾何学模様などが多く、細かい作業が必要とされています。


☆大人の塗り絵 「海の楽園」より

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http://hananurie.exblog.jp/i6/

描写面でも、色鉛筆やクレヨンを使って塗るイメージがあるかと思いますが、最近では水彩色鉛筆で描く、水彩画など硬度な技術で塗られた塗り絵があります。
見本があらかじめ存在しており模倣する方法もありますが、一から自分で色を選び配置し塗っていくことができるので、同じ線画であっても色と技法の違いによってオリジナリティが出るのが魅力です。

●色遣いによって全く見え方が変わる!

ではそのオリジナリティですが、色によってどのような差を生んでくれるのでしょうか。
そこで今回は、数人に同じ線画を渡し、各々に塗っていただきました。
塗っていただいた線画はこちら。
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大人の塗り絵のように細かいものではありませんが、場合によっては色数が多くなってくるのではないでしょうか。

ではさっそく、どのような違いが見受けられるのか様々なルールの中で比較してみましょう。

①同じ画法で、色のみ自由な場合

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ベタ塗りの指定をして、あとは好きな配色で塗っていただきました。
画法の差はありませんが、色の違いで大きく雰囲気が変わってきますね。

②色の指定があり画法が自由な場合

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こちらはベースとなる色を指定し、画法はそれぞれ好きな描き方で進めていただきました。
線画の色を変更して、影や光の表現、またそこに重ねる色の差によって、元の配色が同じでも完成の見え方は全く変わってくることが分かりました。

③画法も色も自由な場合

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最後にこちらは、なんの縛りも設けず各々自由に塗っていただいたもの。
違いは一目瞭然ですね。同じ線画であっても、ここまで差が出るのはやはり個人の画法と配色設定によるものでしょう。面白いですね。

★special thanks
左上:汐音 右上:川鍋春菜 左下:深澤百合亜

様々な変化がでましたね。色が違うだけで、受け取るイメージが大きく異なるのはもちろん、色が同じでも画法が違うだけで大きく変化することもわかりました。そして、③のようにベースの色は合わせ、その先に各々の描き込みが入ることで更に違ったものに見えてくることも確認出来ました。
塗り絵のイラスト線画は線のみで表されており、言わば骨組みの状態ですが、色を面として置くことによって、よりイラストの絵としての完成度が増します。その面の部分、色が立体的だったり幻想的だったり異なることによって、印象が大きく変化するのではないかと思います。

●自分の配色傾向を知ろう

線画が同じ塗り絵でも、配色と技法によって印象が異なってくることが実感できたかと思います。
では、その人それぞれの配色感覚をアウトプットしたときに、どうしたら定着させることができるでしょうか。

次のステップとして配色を武器にするには、まず自身の色づかいの傾向、特徴を理解することです。自身の色彩の特徴があまり気に入らなかったら、好きな配色を参考にして取り入れていくなど、どんなシーンに一番適応しそうかを把握しておくとそれだけで強みが1つできますね。もちろん苦手なものも、どんどん挑戦していくことが大切ですが、強みを持っていて損はありません。

ピンとこない…そんなときに塗り絵を活用する

自分の傾向、好みの配色がいまいちピンとこないという方は、色々な塗り絵を塗ってみましょう。
ぱきっとした配色傾向や、ファンシーな雰囲気、はたまたオリエンタルな雰囲気など、モチーフが違えばその度様々なイメージを自分の塗り絵から受け取ることができると思いますが、全体の雰囲気を考えたときに何か共通することはないでしょうか。塗った枚数があればあるほど、気づき易いのではないかと思います。

また、意外と自分が気づかないだけで、その人らしい配色というものが現れていたりすることがあります。なので、周りの人に意見を貰うというのも、大切かもしれません。

●さいごに

塗り絵には塗ることそのものの楽しさに加え、配色を考えること、様々な技法を使っていくことなど大切な要素が詰め込まれていました。絵を描くことが苦手な方も、塗り絵なら手軽にチャレンジできるのではないでしょうか。色で表現できることの幅は未知数です。塗る、面をつくるということを考えながら塗っていくと、表現技術の向上や新たな発見があるかもしれませんね。ぜひ、機会があれば好きな塗り絵を塗ってみてください!

(2016.10.17)
Yamada Miyu

著者紹介

山田実優Yamada Miyu

武蔵野美術大学でグラフィックデザインやパッケージデザイン、ブランディングデザインを主に勉強しています。 舞台鑑賞や洋服巡りが好きです。
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