東京都江戸川区に伝わる伝統工芸品。受け継がれてきた技術を現代に伝える新たな取り組みとは?

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継承されてきた職人の技術で作り上げられる伝統工芸品は、一つ一つ手作業で丁寧に作られているため、見る人の心を惹きつけます。また、日本らしい技術やデザインが使われているものは、海外から訪れた観光客の方にも人気 が高く、注目を集めています。今回は、そんな伝統工芸品の中から、東京都江戸川区で作られているものに焦点を当て、昔から受け継がれている部分を大切にしながら進化をし続けている匠の技について紹介していきたいと思います。編集・執筆 /SHIGEMATSU, AYUPY GOTO

江戸川区に伝わる伝統工芸品とは?

伝統工芸品という言葉を聞くと、どのようなものを想像しますか?大量生産が主流になってきている現在では、あまり見かける機会が少なくなっています。しかし、日本の地域ごとに工芸品が存在しており、実は首都である大都市東京の中にも古くからの技術を継承している伝統工芸品があるのです。江戸川区にはどのようなものが作られているのか、いくつかご紹介したいと思います。

 

江戸扇子

「江戸扇子(えどせんす)」は、一つの扇子を完成させるまでに、30項目もの作業を一人で行いながら作られています。なので、完成までに早くても4日はかかってしまうそうです。折幅が広く、骨の数も京都のものより少なめなので、すっきりとした見た目になっているのが特徴です。絵柄によってその雰囲気もガラッと変わります。


引用|http://www.meikoukai.com/contents/gallery/3_5/57.html

江戸風鈴

「江戸風鈴(えどふうりん)」という名称は、江戸時代から伝わったガラス風鈴が現在の江戸である東京に伝わっていることから、昭和40年頃に篠原儀治氏が名付けました。その音色はとても美しく、ひとつひとつ手作業で作られているため、同じ音のものがないというところが魅力的なポイントです。音が鳴る部分がギザギザになっていることによって、奏でられている音にも注目です。

引用|http://mikoshistorys.com/edofurin-4259.html

江戸絽刺し

絽刺しは奈良時代に仏教の伝来とともに日本に伝わってきたものです。そして、その技術が東京都の伝統工芸品として認定してした名前が「江戸絽刺し(えどろざし)」です。最大の特徴は、糸の刺し方によって模様が変化していくことです。縦方向に刺した時と、横の方向に刺した時では、全く違う雰囲気になります。色とりどりの色を作って作られる繊細で美しい刺繍は、一度布に刺したものをさらにアップリケのようにして縫い付けます。


引用|http://hana-rozashi.com/about-rozashi

つりしのぶ

「つりしのぶ」は夏の風物詩とも言われており、竹などの芯材となる部分に山苔を巻きつけて、しのぶ草を束ねて形を形成したものです。つりしのぶの「しのぶ」とは、湿り気のある場所に生えている植物のことを指しています。主に家の玄関先等の吊るしとして飾ります。見ているだけで涼しさを感じられるデザインがとても印象的です。

引用|http://ec.setsu-den.com/?p=106

 

江戸川区の伝統工芸品と職人さんを紹介しているサイト 江戸コレ!

一つ一つ職人による手作業で作られている

職人にしか出来ない細かい作業や、独特の技法はまさに匠の技と言えます。何十年、何百年も前から受け継がれてきた技術は腕を磨かなければ習得できないものばかりです。なので、一つのものを仕上げるために時間をかけながらやっと完成した商品は、職人の思いが詰まっています。そのため、細かい部分までしっかりとした作りになっています。大量生産が当たり前になりつつある現在では、このように手作業で作られているものを見る機会が減っているのではないでしょうか。一つ一つ全く同じものがない点も魅力的です。そして、心を込めて作られたものは自然と長い間に渡って使い続けるものだと思います。みなさんも、もし街などで伝統工芸品を見かけた際はどのような所が手作業で作られているのか見てみてくださいね。

新しいデザインを考える取り組み

今までにない新しい取り組みとして、江戸川区では「えどがわ伝統工芸産学公プロジェクト」という、現代のライフスタイルに合わせた伝統工芸品を生み出すプロジェクトが行われています。これは美術大学に通う学生に伝統工芸品のデザインを考えてもらい、新たな商品を開発するという取り組みです。2003年から行われており、伝統工芸品=昔ながらのものというイメージを一変させる、学生ならではの視点で考えられたデザインの商品が毎年生み出されています。
実際に百貨店やネットで販売しているため、伝統工芸品を若い人にも身近に感じてもらうための要素の一つになっています。商品を工芸士さんと何度も話し合いを重ねながら作ることで、その品質の高さ、職人の技を知ることができるところが大きな魅力です。高級なイメージがある伝統工芸品を身近に感じてもらうために、日常生活で使うものを掛け合わせたオリジナルの商品もたくさん考えられています。

 

 

引用|http://www.ddr38.com/topics/news_press/1256.html

オリンピックに向けて

そして、2020年に開催される東京オリンピックの開催に伴い、日本で古くから伝わる伝統工芸品が注目されています。オリンピックでは国内はもちろんですが海外からも多くの人が訪れるため、今まで伝統工芸品を見たことのなかった人にその良さを知ってもらういい機会になると考えられています。特に和のモチーフが取り入れられているものはデザインから日本らしさを感じることができることもあり、海外の方にも高く評価されています。このことから、富士山や桜の花などその国を象徴するデザインが、オリンピックでも多く販売されるのではないかというふうに考えられています。

最後に

一つ一つ職人の手によって作られる伝統工芸品の美しさは、日本の誇りです。しかし、工芸品を作る後継者が年々減少してきているという厳しい現実にも直面していることを忘れてはいけません。その中で江戸川区が行なっている取り組みは、伝統工芸品を現在に伝える良いきっかけになっていると考えられます。これからもこのような取り組みを行なっていく中で、多くの人が伝統工芸品について知ることのできる場が増えると、もっと日本の技術を世界に発信できるのでは無いかと考えます。今回の記事を通して、少しでも伝統工芸品に興味を持っていただけたら嬉しいです。

 

(2017.4.6)
ShigematsuFumika

著者紹介

重松芙史香ShigematsuFumika

女子美術大学デザイン・工芸学科のヴィジュアルデザイン専攻に所属しています。かわいいものを集めるのが大好きです♡
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