現役デザイナーに聞く!定番フォントと“推し”フォント

みなさんは普段、どのようにフォントを選んで使っていますか?そのときのデザインによると思いますが、好きなフォントやよく使用するフォントは人それぞれです。今回は特別に、現役デザイナーのみなさんに“定番フォント”と“推しフォント”を尋ねてみました!
あなたのお気に入りやよく使うフォントも登場するかもしれません。制作の参考に、ぜひご覧ください。
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現役デザイナーに聞く!好きなフォントとよく使うフォント!?
編集・執筆 / MAYU KUGUTSU , YOSHIKO INOUE

目次

  • 1.フォントの基礎知識
  • 2.フォントの特徴
  • 3.クリエイターの方々にアンケート
  • 4.最後に

1. フォントの基礎知識

まずはフォントについて簡単に説明します。フォントの基礎知識をつけることで、書体を選ぶ基準を見つけることができます。
フォント基礎-01
和文のフォントは明朝体、ゴシック体、筆書体、手書き文字の4つに分けられます。また、欧文のフォントはセリフ体、サンセリフ体、筆記体、手書き文字の4つに分けられます。

明朝体もセリフ体も、横線が細く縦線が太くなっています。また、横線や曲がり角にウロコがついているのが特徴です。一方、ゴシック体とサンセリフ体は線の太さが同じで、ウロコはついていません。サンセリフの「サン」は「ない」という意味で、「セリフ」は「ウロコ」を意味します。
フォント基礎2-01

次に、それぞれの書体の特徴について見ていきます。デザインを学ぶ学生だけでなく、プレゼン資料など制作する場面があるノンデザイナーの方もフォントを選ぶときの参考にしてみてください。

2. フォントの特徴

【和文フォント / 欧文フォント】
<明朝体 / セリフ体>
・可読性が高い
・本文に適している
・堅く誠実な印象

<筆書体 / 筆記体>
・フォーマルなデザインに適している
・明朝体より少し柔らかい印象

<ゴシック体 / サンセリフ体>
・遠くからでも字を認識できる
・見出しやタイトルに適している
・やわらかく明るい印象

<手書き文字>
・個性のあるデザインに適している
・ゴシック体よりもやわらかい印象

上記の特徴を踏まえ、シーン別で適切と言われるフォントについて考えてみます。

◎分かりやすいプレゼン資料が作りたい
→プレゼン資料では可視性の高いゴシック体/セリフ体を使用するのが一般的です。メイリオやヒラギノ角ゴ、游ゴシックなどがよく使用されているようです。

◎レジュメや報告書を作りたい
→比較的内容が固く文量が多ければ、明朝体を使用するのがおすすめです。ヒラギノ明朝や遊明朝体、MS明朝などが使われることが多いようです。テキストの内容や文量によっては、タイトルをゴシックにし、本文は明朝体にしても良いでしょう。

このように、まずはフォントの特徴と効果を覚えておくことで、場面によって適切なフォントを選択できる能力が身につきます。それでは、クリエイターの方々はどのようなフォントを好み、どのようなフォントをよく使用しているのでしょうか。現役デザイナーの方々に聞いてみましょう!

 

3.“推しフォント”“定番フォント”を教えてください!

ご回答いただいたクリエイターの皆さん
■Iwabuchi Mamiさん ■めいめいさん ■ちゃんたくさん ■小島 香澄さん ■moneさん ■せんざきさん

情報伝達ができ、かつビジュアルが美しいフォントを

Iwabuchi Mami さん

デザイナー Instagram

 

Q1.“推しフォント”はなんですか?

DNP秀英角ゴシック銀
太すぎず細すぎない、かたくなりすぎず抜けすぎない印象のとても好きなフォントです。ところどころ字の間に少し空間があり、しっとりしながらも品のあるゴシック体……たまらないです。

DNP秀英角ゴシック銀
▲DNP秀英角ゴシック銀
 

Q2.定番フォントはなんですか?

Arial(エイリアル)
安定感もあり、太字や斜体にも対応しているのでよく使用しています。
平成角ゴシック体
見出しで使うことが多いです。直線的なフォントですが、ひらがなでは曲線的な部分も見えてくるのでいかつくなりすぎず、とても重宝しています。


▲Arial(エイリアル)

 
平成角ゴシック体
 
▲平成角ゴシック体 引用元:https://www.axisfont.com/
 
 

Q3.フォントを選ぶときのこだわりを教えてください。

デザインのイメージに合わせてフォントを選ぶのはもちろんですが、フォントメインではなく、イラストや写真などのビジュアルを見せたい時はゴシック体やサンセリフ体を使用するよう心掛けています。デザインを制作していく上で、しっかりと情報を伝えることができ、さらにビジュアルとしても魅力的に感じてもらえるよう日々制作をしています。

 

 

パイ生地の最後に塗る溶き卵のように。主役の魅力を底上げするフォントを

めいめい さん

グラフィックデザイナー Twitter

 

Q1.“推しフォント”はなんですか?

HG明朝E
水平比率135%くらいにして使うのが好きです。なんだろう、昔の新聞のような重厚感と懐かしさと愛らしさがあるというか……。エッセイなどに使うと言葉に油がのっていい感じに仕上げてくれる、気がします。

 
HG明朝E
 
▲HG明朝E 引用元:https://font.designers-garage.jp/products/detail/2211

 

Q2.定番フォントはなんですか?

AXIS Std
太~くしても細~くしても暑苦しさとか物足りなさとかが無いし、英語も日本語も安定感のあるフォルムで精神的に(笑)使いやすいです。

 
AXIS Std
 
▲AXIS Std 引用元:https://www.axisfont.com/

 

Q3.フォントを選ぶときのこだわりを教えてください。

作品性や記述された文章の内容をより引き上げてくれるような、主張は少ないけれど主役をより魅せてくれるようなフォントを選ぶようにしています。(あ、当たり前か……?)なんだろう、パイ生地に最後に塗る溶き卵のような、作品をアゲてくれるようなフォントを選びたいです。

 

ガーッと組んだあと、ひとつひとつとじっくり向き合う

ちゃんたく さん

デザイナー InstagramTwitter

 

Q1.“推しフォント”はなんですか?

Helvetica
筑紫ゴシック
Univers

学生時代から馴染みがあるフォントです。

Helvetica
▲Helvetica

 

筑紫ゴシック

▲筑紫ゴシック 引用元:https://fontworks.co.jp/fontsearch/item?TsukuGoPr5-R&word=%E7%AD%91%E7%B4%AB%E3%82%B4%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AFR

 
 

Univers
 
▲Univers 引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9_(%E6%9B%B8%E4%BD%93)

 

Q2.定番フォントはなんですか?

見出ゴMB31
使いやすいため。


▲見出ゴMB31

 

Q3.フォントを選ぶときのこだわりを教えてください。

最初はガーっと組んでみます。
そのあと、ひとつひとつの書体と面接をしていきます。

今回必要な書体はどんな雰囲気なんだっけ。どんな機能なんだっけ。最適な書体と出会うまで何度でも対話していきます。それは柔らかな曲線による繊細さ?円と直線だけでできたミニマルさ?それともゴツゴツした固さや強さ?どんなところでも識字できる読みやすさ?読めないけど勢いがあればいい?
書体の設計思想を辿ることもあります。なんのためにつくられているのか。なんのために生まれたのか。起源は活版?石碑?はたまた最初のパソコン用につくられたもの?古ければいいわけでも、新しければいいわけでもないはずです。
もちろん、読み手のことも考えてみます。誰が、どんな時に、どこで、どんな媒体で。それらによってまた最適が変わります。

そんな理屈は置いておいて、自分がいいなと思う線を描いているものを選ぶ時もあります。使ってて楽しいとか、これイケてるな、洒落てるな、今っぽいな。自分の直感を信じることも時には大切。
長くなりましたが、自分が選んだフォントを好きになって、研究して、自信を持って使いきることができればそれで十分だと思います。
フォント選びに正解なんてないので。

 

伝えたい世界観にマッチするか、イメージや雰囲気を比較しながらつくる

小島 香澄(こじま かすみ) さん 

デザイナー Twitter

 

Q1.“推しフォント”はなんですか?

Futura
安定的なスマートさが好きです。個人的にはどこに使ってもなんとなくそれっぽくなる魔法のフォントだと思ってます。
筑紫A丸ゴシック
フォントから伝わる女性らしさや柔らかさがとても好きです。


▲Futura


▲筑紫A丸ゴシック

 

Q2.定番フォントはなんですか?

Gotham
ウェイトの豊富さと絶妙なフォントの横幅がお気に入りです。boldやblackなどの太字にしても、力強さがありつつ少し丸っこさが残るところもバランスが取りやすくて使いやすいです!
見出ゴMB31、秀英丸ゴシック
雑誌などでよく使われていることもあり、Instagramのストーリーズなどで少し雑誌っぽくしたいなという時に重宝します。
游ゴシック
フォント自体に安定感と知的なイメージがあって、長文でも読み疲れないイメージがあり、Webサイト制作時によく使います。

▲Gotham 引用元:https://mt-fc.net/standard-sans-serif-fonts#Gotham


▲見出ゴMB31


▲游ゴシック


▲秀英丸ゴシック

 

Q3.フォントを選ぶときのこだわりを教えてください。

そのデザインで伝えたいモノ・コト・人・サービスなどの世界観とマッチするように選んでいます。実際のテキストを打ってみて、イメージや雰囲気を比較しながら作ることが多いです。

 

ジャンル特有の、特別感のあるフォントに惹かれる

mone さん

ディレクター・クリエイター https://mone-creator.com/

 

Q1.“推しフォント”はなんですか?

しねきゃぷしょん
点々体ゴシック
国鉄方向幕書体
American Typewriter

ありすぎて「これ!!」って決められないんですが、上記のように、見るだけで伝えたいジャンルがわかる書体(映画:しねきゃぷしょん/ゲーム:点々体ゴシック/鉄道:国鉄方向幕書体など)が好きです。そのジャンルのためだけに存在している特別感を感じるからだと思います。
新卒で入社した会社がエディトリアルの会社だったんですが、雑誌のコーナータイトルロゴを考える時、文字でデザインを伝えられるジャンル特化のフォントにすごくお世話になりました。時間に追われている中、フォントの偉大さに感動と尊敬をしていたのも大きい気がします。
欧文はクラシカルな書体が好きです。

 

 
▲しねきゃぷしょん 引用元:https://fontdasu.com/429
 
 

 
▲点々体ゴシック 引用元:https://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=207

 


▲国鉄方向幕書体


▲American Typewriter

 

Q2.定番フォントはなんですか?

見出ゴMB31
見出しゴシックは、安心するんですよね。


▲見出ゴMB31

 

Q3.フォントを選ぶときのこだわりを教えてください。

フォントが与える印象を大切にしています。デザインの現場にいない大学の友人に「このフォントどんな風な印象持つ?」と聞くこともあります。

 

洗練された、美しい「王道」を選ぶことが多い

せんざき さん

デザイナー。WEB、グラフィック、ロゴデザインなど。#毎日クリエイティブで毎日デザイン(主に作字)を投稿しています。
Twitter

 

Q1.“推しフォント”はなんですか?

Cochin(コシャン)
線の端の処理はシャープながらも、丸みの強い形をしているので、上品さと親しみやすさのバランスが良い、しっとりしたフォントだと思っています。私の場合、実際のデザインはサンセリフ体のフォントを使用する場面が多く、使う頻度はあまり高くないのですが、セリフ体が合うデザインでは大体選択肢に挙がります。


▲Cochin(コシャン)

 

Q2.定番フォントはなんですか?

A1ゴシック
ゴシック体には珍しく角が少し丸みがかっていて、かといって丸ゴシックのような幼さではなく、墨だまりのような温かみを感じるところがとても好きです。汎用性も高いので、かなりよく使っています。あと、日本語フォントだと欧文のクオリティがそこまで高くないことが多いと思うのですが、A1ゴシックの欧文はとてもかわいく、A1ゴシックだけで組むことができるのもいいところだなと思っています。


▲A1ゴシック

 

Q3.フォントを選ぶときのこだわりを教えてください。

気をつけているポイントは3つあって、
・フォントの可読性
・フォントのクオリティ
・表現したい雰囲気と、字体の雰囲気の相性
です。
人によって違うところだとは思うのですが、基本的には「定番フォント」と言われるものを使うことが多いです。(もちろん例外もあります)
定番、王道のものは長く洗練されてきた綺麗な形をしていて読みやすいので、定番の中から雰囲気に合わせて選びつつ、文字組みを調整しながらより理想の雰囲気に近づける、という方法でデザインしています。文字組みでまたフォントの表情も変わるので、一つのフォントでもいろいろな表現ができるのが楽しいなと思います。

 

4.最後に

現役で活躍されているクリエイターさんの“推しフォント”と“定番フォント”はいかがでしたか。その理由から、フォントの選び方や扱い方のヒントが得られ、奥深さ・楽しさが伝わったのではないでしょうか。
このフォントいいな!と思ったら、名称を調べて利用シーンなどをイメージしてみましょう。その癖がつけば、知識の幅が増えていくと思います。自身のデザインに合った素敵なフォントを見つけていきたいですね。
ご協力いただいたクリエイターの皆さん、ありがとうございました!

 
 

(2020.1.8)
mayu kugutsu

著者紹介

くぐつまゆmayu kugutsu

東京デザイン専門学校グラフィックデザイン科所属。 お笑いと深夜ラジオが大好き。 毎日大きなトマトを2個ずつ食べています。 Twitter
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