ヒトとモノの相互作用をデザインする「インタラクションデザイン」の面白さとは

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今話題の「インタラクションデザイン」とは一体どのようなデザインなのか、美大生やアート・デザイン界隈の方でもまだまだ知らない方が多いのではないかと思います。そこで今回、インタラクションデザインとは何か、何が面白いのかを紐解き、魅力的な作品についてもご紹介したいと思います。編集・執筆 / OSARAGI, AYUPY GOTO

そもそもインタラクションデザインって何?

「インタラクション」とは……

インタラクションとは、英語の「 inter(相互に)」と「action(作用)」を合成した言葉です。「人間が何かアクション(操作や行動)をした時、そのアクションが一方通行にならず、相手側のシステムや機器がそのアクションに対応したリアクションをする」という意味で捉えられます。

ヒトとモノの相互作用

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私たちは「モノ」を通して色々な活動を行なっています。分かりやすい例を挙げると、「スマートフォン」があります。私たちはタッチスクリーンを通して見えない相手とやり取りをしたり、情報を得たりしています。ズバリ、世の中の「モノ」単体だけでは「ヒト」は効果を得ることができません。私たちは「モノ」コミュニケーションをすることで初めて「嬉しい」「安心する」などの体験を得ることができます。つまり、「モノ」には必ず「ヒト」との「インターフェイス(接点)」が存在するのです。その「インターフェイス」を誰にどこでどんなふうに見せたり操作させたりすると、どのような体験を得てもらえるのかをデザインするのが「インタラクションデザイン」です。

生活の中のインタラクション

蛇口

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「え?これがインタラクション?」と思うかもしれませんが、蛇口にも立派なインタラクションデザインが施されています。私たちは普段、「水を出したい」と思った時に蛇口のバルブをひねります。この「ひねる」という行為に注目してください。左(反時計回り)にひねると栓が空きますが、右(時計回り)にひねると閉まります。普段私たちは意識をしていませんが、「左にひねれば水が出る」ということを、「形状」「習慣」から判断しています。ただ「水を出す」という結果でも「目的」が異なれば、インターフェースは異なります。台所はレバー型になっています。それは洗い物の際に何度も水を出したり止めたりするからです。つまり、ヒトは身の回りのモノと対話する際の行為を学習し、経験しています。これらのプロダクトは「ヒト」と「モノ」がコミュニケーションを取ることができる、素晴らしいインタラクションデザインと言えます。

電話と電卓の数字のキー配置

電話の数字配置

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電話のボタン配列は、ITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)によるもので、上から1、2、3……と並ぶのは、そのならびが自然だからという理由からです。そして、一番下の段には「*」、0、「#」の順に並んでいます。

電卓の数字配置

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電卓は左下から横にに0があり、多くはその右に「00」「・」「=」などが並んでいます。そして下から上へ数字が大きくなっていっています。計算をするのに、最も多く使う「0」が手前にあった方が使いやすく、ヒトはボタンを押すときに、右手の人差し指を使う傾向があります。それらの理由から、0を電卓を操作する指に最も近い位置に配置し、それに続く数字を下から順に並べているのです。

 

同じ「数字キー」でも使用目的によって変化させていることが分かります。このように、私たちは生活をしている中で意識をして操作をしていませんが、インターフェースの工夫があって毎日を快適に過ごしているのです。インタラクションデザインは意外にも身近に存在します。

きっと夢中になる!インタラクション展示

生活の中にあるインタラクションデザインについて理解をしてもらった上で、非現実空間である展覧会へ行くと面白い発見がたくさんあります。身体を使って楽しむことができる、インタラクションデザインの展覧会をご紹介します。

見て食べる体験型デジタルアート 「食神さまの不思議なレストラン」展


 

(https://www.youtube.com/watch?v=s_Wh9Cmde8A)

 
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https://tabegamisama.com

 

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(https://tabegamisama.com)

 
「食神さまの不思議なレストラン」展は、日本人にとって馴染み深い「和食」をテーマにしたレストラン型のアート展です。なんと世界的に有名な体験型イベントのスペシャリスト集団「MOMENT FACTORY」が手掛けています。見る、聴く、触れるといった五感を使ったアート体験を楽しむことができます。何も感がずとも、直感的に分かる展示になっているので誰でも楽しみながら和食について理解を深めることができます。
そしてさらにレストランフロアでは、京都 美山荘・中東久人 特製の“神様のおいなりさん”をはじめとする、お味噌汁や、だし巻き卵、筑前煮など、本格的な料理人たちがつくる和食を実際に味わうことができます。期間限定の展示ですのでお急ぎください!

 

見て食べる体験型デジタルアート「食神さまの不思議なレストラン」展
会期:2017年1月28日(土)〜5月21日(日)
会場:東京都中央区日本橋茅場町1−8−1 茅場町1丁目平和ビル
開館時間:平日 10:00~21:00  金・土・祝前日 10:00~23:00 日・祝日 10:00~19:00
休館日:なし

食神さまの不思議なレストラン展 ホームページ

 

日本科学未来館

日々の素朴な疑問から最新テクノロジー、地球環境、宇宙の探求、生命の不思議まで、さまざまなスケールで現在進行形の科学技術を体験することができます。大人から子供まで幅広いユーザーから人気を得ています。ただ、最先端の科学を体験できるだけではなく、「展示の魅せ方」という点で美大生にとっては勉強になる場所です。インタラクションデザインは空間を扱う展示もあるので、学内で自分で作り上げる際にはなかなかイメージを掴みづらいと思います。インタラクションデザイン作品を展示しようと考えている方は必見です。

 

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http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/future/innovation/backward.html

 

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(http://www.miraikan.jst.go.jp/exhibition/future/information/anagura.html)

 

日本科学未来館
会期:常設展示
会場:日本科学未来館
開館時間:10:00~17:00
休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)、年末年始

日本科学未来館 ホームページ

 

最後に

インタラクションデザインとは「ヒトとモノの相互作用」をデザインすることです。普段何気なく使っているモノも、よく観察してみるとデザイン的な工夫がなされていることに気付かされます。紹介した蛇口や数字キーの他にも、工夫されたモノはまだまだ沢山あります。また、自分の作品を魅力的に展示する為にも、たまには外部の展覧会に足を運んでみるのもオススメです。記事をきっかけにインタラクションデザインの面白さに気づいていただけると嬉しいです。

(2017.5.11)
Mayu Osaragi

著者紹介

大佛茉由Mayu Osaragi

武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科所属。インタラクションデザインを勉強中です。最近の趣味はレトロゲームをすることとトイカメラで写真を撮ること。
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