画風はさまざま!いろんなイラストの中から自分の表現を見つけよう

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日本のアニメや漫画は世界的に発展しており、今や日本を代表するカルチャーの1つです。
そのアニメや漫画を形成する欠かせないもののひとつに「イラスト」があります。近年、カラーイラストはデジタルが主流になり、パソコンを使用してイラストを制作することが多くなっています。そこで今回はカラーイラストについて、そしてその表現幅について考えていこうと思います。
編集・執筆 / YAMADA, AYUPY GOTO, イラスト / YAMADA

●デジタルとアナログ表現の違い

「アナログイラスト」と「デジタルイラスト」が一番に異なってくる点は使用するツールと描写対象の媒体です。
アナログイラストは、紙や布など、目の前にあるキャンパスに直接描いていくもの、そして鉛筆や絵の具等の実在する画材を使用して作成するものです。それに対してデジタルイラストは、パソコンやタブレット、スマートフォンを使用し、液晶画面に映し出されたキャンパスにペンタブレットや指で描いていきます。液晶タブレットと呼ばれる、液晶画面に直に専用のデジタルペンを走らせることで、よりアナログに近い感覚で描くことが出来るものも存在しますが、デジタルで描かれたイラストは簡単に言ってしまうとすべてデータで編成されているということになります。
先ほどにも述べたように、カラーイラストは現在デジタルが多くなってきていますが、それぞれにメリット、デメリットがあり優劣がつくものではありません。アナログとデジタル両方を使ったハイブリット型のものもあります。
こういった制作ツールの差によっても完成が大きく異なり、画風の特徴の1つとなります。

●画風の種類は無限大

一概にイラストといっても、かなりの表現幅があります。人物デッサンなどのリアルテイストからデフォルメまで、表現方法は様々です。そこに更に人それぞれの絵柄が入って、違った画風になっていきます。
そこで今回は、画風の差が分かりやすいように日本のイラストと、特徴的かつ不変的なアメリカン・コミックス、いわゆるアメコミのイラストと比較しながら考えていきたいと思います。

自分の画風って?

100人居たら100通りの画風があるといっても良いくらい、画風、絵柄というものは人それぞれ違います。どれが良くて悪いなど正解はなく、突き詰めると好みの問題になってきます。線、色遣い、塗り方、使用ツール……人それぞれの表現方法と手癖があります。好きなイラストレーターさんを手本にしていたとしても、どこかしらに自身の中にある潜在的な意識で個性が出ています。
また、日本のイラストには、画風は十人十色とはいえその中にも流行(トレンド)が存在します。その時代に合ったテイストがあることによって、過去のイラストに“昔”の感覚を得ることがあります。
一方、アメコミにそういったイメージを抱かないのは、内容こそ時代の背景になぞらえた作品が多かったようですが、特に目立った絵柄の流行はなく、現在も1930年代と同じような表現が使われているからだと考えます。

日本のイラスト表現はさまざま!

日本はサブカルチャーの最先端であり、漫画やアニメの発展、展開は今や世界トップレベルです。
技法も画風も、その発展によって幅は広がり、様々な方法で表現されています。
リアルタッチで描かれたイラストや、日本の代表的な“萌え絵”と言われるイラストなど
細かく見ていくと分類ができないほどの数なので、大まかに線画のアリ/ナシで分類してみました。

線画があるイラスト

線画というのはイラストを面ではなく線で描いたものです。塗り絵のイラストを想像すると分かりやすいかと思います。そしてその線画に、面としての着彩をしていく形になります。

・線画の重要性
塗り方や配色、更に使用するツールによって変わっていきますが、線画は枠組み、絵の輪郭となる部分なのでとても大切です。線画の描写にもアナログの鉛筆を使うのか、デジタルで描くのか、強弱がついている線なのか均等な線なのか……。こういった細かな情報が重なり合いその人独自の画風が完成していきます。

このほかにも沢山ありますが、今回は4種類で比べてみました。

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まず上段は
①はデフォルメに近く、線が少なめ、色数もすくなめ
②は柔らかくシンプルな最近のアニメ寄りのパーツに
③はライトノベル表紙寄りを目指して
④は90年代のイメージでメリハリを大きく

そして下段は
①の塗り方ですべて塗った場合です。また違った見え方がしますね。
塗りも重要な構成要素の1つなのが分かります。それぞれの線画にあった色の塗り方を見つけることで、更にイラストに説得力や魅力が生まれてきます。

線画がないイラスト

線画がないものとして代表的なのは厚塗りの方法ですね。色を重ねて、面で作っていく方法です。絵の具を使って絵を描くイメージです。線画があるものより立体感や重厚感、リアリティが出やすいです。厚塗りの手法で描いていき、最後に線を作っていく方法もあります。

海外の作風

次に海外のイラストを見てみましょう。海外にも国や地域によって特徴ある絵が展開されていますが最も日本のイラスト文化に似通ったものがあり、かつ特徴が顕著なものと言えば、アメコミです。映画になったりグッズになったりと、日本にも沢山のファンを持つこのジャンル。1930年代にアクション・コミックスとして発売されて以来、細かく見ていくと変化しているところはありますが、基本的な絵柄には大きな変化があまりないと感じます。これらの中にもデフォルメ要素が強いもの、リアリティが高いものと幅がありますが、アメコミイラストに総じて言える特徴としては、線が太め、はっきりくっきりしているもの、配色が原色寄りでカラフルということです。型がある程度決まっています。これらは誕生時から今もなお変わっていない点です。
ではアメコミイラストの中でおおまかに分類してみます。

1.リアリティが強いテイスト

塗りの質感はリアルですが配色はポップです。線画はぼかしや水彩の質感を使わずはっきりとした線で表現しているところに“らしさ”が出ているのかもしれません。
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http://geekleagueofamerica.com/2014/10/21/nycc-interview-comics-artist-adam-hughes/

2.コミック感が強いテイスト

1930年代に発売されたアクション・コミックスのイメージが変わらず受け継がれています。
リアリティテイストのアメコミと違うところは色で、単色であったりドットで表現されているところです。影になる部分は黒ベタで表現。
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http://matome.naver.jp/odai/2133267623782141401/2133645383922780703

3.デフォルメテイスト

配色はとにかくポップなイメージ。線もパスのような太めではっきりとしたもので、簡略化して表現されています。明暗の表現は最低限なく、一色で塗られていることが多く、グラフィカル要素が強めです。
EX:パワーパフガールズやディズニー、セサミストリートなど。カートゥーンのイメージ。
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http://www.cartoonnetwork.jp

●自分の画風をみつける

アメリカのイラストと聞くと、アメコミ表現をイメージしますが、日本のイラストは幅が広く、雰囲気や傾向といった抽象的なイメージを掴む事はできますが、特徴を断定して捉えることは難しいです。
もし、アメコミの要素が好みであれば、こういった特徴と捉えていけば、独自の絵柄もイメージに傾いてくると思います。

目指す絵柄を持つことで固まっていく土台

そして、それは日本のイラストでも同じことです。全体の特徴は顕著ではなく、流行も個性も広くある中、自分らしさをみつけることは、すごく大変なことなように感じるかもしれません。
絵を描く人、描かない人、誰にも好きな絵柄、画風というのはそれぞれ存在します。描きたい絵と好きな絵は違うことがよくありますが、それでもなにか、目指す絵柄が1つでもあれば最終的に望んだ絵柄にならなくても、前に進むことが出来ると思います。まずは好きな絵を真似してみたり、使っているツールを真似てみるだけでもなにか掴めるものがあるかもしれません。今一度、自分の好きな作風、描けるようになりたい作風を考えて、そこから盗める技は盗んでいきましょう。ただしコピーは違います。全く同じものを目指すのではなく、その作風を自分の中で咀嚼してアウトプットすることを意識して制作していきましょう。

人に意見をもらう

時に、客観的な意見が大きく成長させてくれるときがあります。どんな絵柄に見えるか、どんなタイプなのかを自分で把握することは簡単ではありません。特に初めのうちやスランプの時期はさぐりさぐりで絵を描くことが多いと思います。自分が思っていたタイプと違うものに見えてることもあります。そういったとき、人からの率直な意見はとても参考になると思います。もちろん一人だけではなく複数の人に聞いて総合的に考察することが大切です。

おまけ キュピピットを描いてみた!

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ビビビットのマスコットキャラクター「キュピピット」を描いてみました。線はしっかり、ポップな感じを目指しました。
基本的な色、形はほぼ決まっているのに、描く人によって雰囲気が異なりますね。
ビビビット内あちこちに登場しているので、是非色んなキュピピットを探してみてください!

「キュピピットの描き方講座」をこの記事で紹介されています。
あなたも「CLIP STUDIO PAINT」でデジタルイラストデビュー!

●さいごに

同じテーマで10人が絵を描いても、10枚の違った絵が出来上がるのは本当に不思議でおもしろいことです。人それぞれの表現と感覚によって姿形を変えるイラスト。生きてきた環境や体験、好みによって変化するそれはその人の個性です。自分には個性がないと思っていても、どこかに潜在する“あなたらしさ”があるはず。
基本的なことが多かったかもしれませんが、イラストを描くのが好きな方、これから挑戦したい方、もちろん見るのが好きな方も。何か新しい発見になったり絵を描く事について考えた時、この記事が少しでも役に立てば嬉しいです。

(2016.8.3)
Yamada Miyu

著者紹介

山田実優Yamada Miyu

武蔵野美術大学でグラフィックデザインやパッケージデザイン、ブランディングデザインを主に勉強しています。 舞台鑑賞や洋服巡りが好きです。
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