全国の大学生の約3%!芸術を学ぶ大学生の放課後

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みなさんは放課後や休日をどのように過ごしていますか?中学から高校までは部活動が中心であったように思いますが、大学生になると行動範囲が広がり、ますます放課後の活動が活発になります。その中でも、美大生の放課後は一般的には知られていないように思います。そこで今回は、芸術(アート、デザイン)を学んでいる学生に放課後の過ごし方について聞いてみました!
編集・執筆 /OSARAGI, AYUPY GOTO

美大生とは…?

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美大生とは「美術に関する単科大学に通う学生」のことを指します。なんと驚くことに、芸術に関することを学ぶ大学生は、日本全国の中でたった3パーセント*1しかいないのです!医学部や薬学部の学生より少ないんです。ですから、芸術を学ぶ学生は日本ではかなり希少価値の高い学生とも言えます。

*1……平成27年 政府統計の窓口より

 
そんな約3パーセントしかいない学生の実態は、世間ではやはり認知されにくいのが現状です。テレビの報道などで「変わり者」「ただ絵を描いている」「才能を持ってる」などのイメージが先行してしまっていますが、果たしてどうなのでしょうか。彼らは授業が終わった後、どのような活動をしているのか知りたくありませんか?
 
また、同じ美大生でも、他の人の活動には興味があるのではないかと思います。
 

一般大学生と美大生の放課後の過ごし方

ですが、まずはどのような違いがあるのか比べてみたいと思います。
 
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一般大学生は放課後に体育系のサークル活動で汗を流したり、ボランティア活動をしたり、中にはディベート大会に出る学生もいるようです。
 
また、文系の学生ですと比較的アルバイトをする時間を設けることができ、アルバイトを積極的にしてお金を貯め、旅行などに行く人も多いようですね。逆に、理系の場合、不定期に実験が続くので長期アルバイトを続けるのが難しいようです。資格取得に向けて勉強時間に当てる人も多いようです。
 
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一方、美大生は一般の大学生がするような活動をしている人もいますが、異なる点がたくさんあります!
 
顕著に違うのは「作家活動」でしょう。筆者(武蔵野美術大学の美大生)の周りでも漫画家、イラストレーターを目指し、学生時代から展覧会やフリーマーケットに参加をする人が多くいます。
 
次に多いのが「コンペティション」への参加です。1年中たくさんのアートやデザインのコンペティションが開催されています。今まで勉強してきたことを作品に落とし込み、外に発表することで、腕試しすることができ、自分の得意不得意を知ることができるのです。
 
また、参加する「サークル」や「アルバイト」は、美大生の表現力を生かしたものがとても多いように感じます。
 

    注意:もちろん、カラオケやゲームなどの娯楽を楽しむ日もあります。

美大生の放課後の過ごし方

では、実際に美大生がどんな放課後を過ごしているのか見てみましょう!
 

美大だけでは学べないことを学ぶ

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ふうさん

武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科3年
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Q1.放課後は主に何をしていますか?
大学1年の頃から、IT×ものづくり教室『LITALICOワンダー』でスタッフのアルバイトをしています。幼児や中高生向けに、ロボット・CADソフト・プログラミングの基礎を教えつつ、参加している子供達の創造力を引き出すために「ワクワクしてもらうにはどうすればいいか」を、いつも考えています。 
 
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▲教室で作れる創作物

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▲LITALICOワンダーのスタッフの皆様
 

Q2.その活動の「面白さ」を教えてください。

美大では学ばないような教育や心理に近い分野を、研修や現場で学べることです。また、賢くて個性的な(ヘンな)スタッフがたくさんいて、たくさんの刺激をもらいます。何と言っても美大の話をしていたら、生徒から大学の後輩になってくれた子がいて、とても嬉しかったです。
 
Q3.これから「やってみたいこと」はありますか?
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▲東京工業大学のエンジニアリングデザインプロジェクト

武蔵野美術大学での制作や経験を持って、学外に出ることを楽しめたらいいなと思っています。武蔵野美術大学生のRA(リサーチ・アシスタント)として参加する、東京工業大学のエンジニアリングデザインプロジェクトが始まり、異分野の方とチームで動く機会が増えるので、専門分野も勉強しながら幅広い物の見方を知れたらいいなと思っています。

 
【ふうさんのアルバイト先についてはこちら】
LITALICOワンダー ホームページ

 

盆栽を通してクリエイティブを養う

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武蔵野美術大学 造形学部 デザイン情報学科3年
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Q1.放課後は主に何をしていますか?
盆栽部の部長をしています。サークルではなく課外講座という形なので、隔月に1〜2回のペースで活動をしています。「盆栽を作る」のではなく「まずは盆栽の知識を増やす」ことを活動の軸にしていて、関東各地にある盆栽の美術館やその他公共機関へ足を運びます。16年度は盆栽を通じて繋がった職人の方を学内に講師としてお招きし、盆栽の苗を曲げる工程を体験することが出来る、ワークショップを行っていただきました。

 

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▲講師による盆栽ワークショップ

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▲講師のお話を熱心に聞く部員

Q2.その活動の「面白さ」を教えてください。

PCやスマホなどデジタル媒体を通じて国内・海外の作品をみる機会が増えつつある美大生にとって、いま必要な事は、盆栽のような日本の文化を実際に肌で感じることなんじゃないかなと思い盆栽部に入ったのですが、まさにその通りで盆栽を実際に見物することで自然物の造形美の奥深さを知り、モノの見方を再発見するがことできました。また、人脈がどんどん広がって行くところもすごく面白く、職人さんの貴重なお話を間近で聞くことができるのも盆栽部だからできることなんじゃないかと思います。

 
Q3.これから「やってみたいこと」はありますか。
盆栽を実際に育てるのではなく、美大生的な観点を活かして、盆栽に触れ合って行きたいです。例えばですが、盆栽の展示方法を考えるとか、美大生×盆栽で何かカタチに残るモノを作りたいです。また、様々な講師の方を学内にお招きし、僕らと同じ世代の人たちにもっと盆栽を普及させていきたいです。

 

作家活動の中で表現の幅を広げる

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前歯粉

武蔵野美術大学 造形学部 映像学科3年
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Q1.放課後は主に何をしていますか
女の子をモチーフにしたイラスト、アニメーションを主に制作しています。口と鼻がないのが特徴です。また、フィルムカメラで写真を撮りに行ったり、展覧会を観に行ったりしています。
 
時には制作に必要なものを買いに、リサイクルショップに行きます。

 
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▲前歯粉さんの女の子をモチーフにしたイラスト

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▲前歯粉さんの写真
 

Q2.その活動の「面白さ」を教えてください。

私が描く女の子のイラストは、美大の女の子たちがモデルになっています。美大にはオシャレでちょっと違う感覚を持った人がたくさんいて、描いていてとても楽しいです。写真を撮ったり、展覧会を開いたりすることで、色々なことが自分の創作活動の幅を広げ、チャンネルが増えていくことで充実感が増します。
 
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▲リサイクルショップで品定め中

リサイクルショップ屋さんは、フィルムカメラやサーキットベンディング*2が安く手に入るのでよく行きます。また、古いレコードやレトロゲーム機は眺めているだけで楽しいですね。この間はジャンク品の中からフィルムムービーカメラを500円で買ったんですが、実際に使えました。まるで宝探しをしている感覚ですね!
 
*2……音の出るおもちゃなどの内部を改造して変な音の出る楽器にすること。

 
Q3.これから「やってみたいこと」はありますか。
学外で、メディアアートの分野の作品を発表をしたいです。その展示を通して、人の反応をみてみたいです。

 

最後に

3人は自身の「アルバイト」「部活」「作家活動」についてお話してくれました!いずれの活動も自分自身のスキルアップのためにしていることがわかりましたね。このことから、美大生は真面目で熱心な人が多いのではないかというのが、筆者(Mayu Osaragi)の感想です。確かに、「変わり者」は多いですが、奇抜な見た目に反して、真面目な考えを持っています。普段の講義だけでは培うことのできない技術や知識、人との繋がりを積極的に求め、意欲的に行動をしている人が非常に多いのです。
 
世間では「才能に溢れている」と思われている美大生ではありますが、それは汗と努力の結晶があってこそのイメージなのです。何もせずにうまくデザインができるわけではありません。それぞれの夢へ向かって頑張る、直向きな姿勢が素晴らしいなと感じました。
 
この記事をきっかけにみなさんも「放課後」をうまく活用して、何か新しいチャレンジをしていただけたら嬉しいです。

 

(2017.6.28)
Mayu Osaragi

著者紹介

大佛茉由Mayu Osaragi

武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科所属。インタラクションデザインを勉強中です。最近の趣味はレトロゲームをすることとトイデジで写真を撮ること。
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