【Illustrator】パターンをグラフィックに取り入れよう│アールヌーヴォー・アールデコ編

今回は「Illustrator」を使ったパターン素材で作るグラフィックの作り方とコツをご紹介します!いつもとちょっと違うデザインができれば、表現の幅が増えてもっとデザインが楽しくなりますよ。ぜひ参考にしてみて下さい!
編集・執筆 / MAKO WATANABE,YOSHIKO INOUE

もくじ

1.使いこなせると便利! Illustratorのパターンツール

皆さんはIllustratorのパターンツールを使ったことはありますか?自分の理想に近い柄を作れるパターンツールは、使いこなせるととても便利ですよね。さて今回は、「パターン素材を自作し、グラフィックを制作」のメイキングをお届けします!

パターンを使うと画面の密度が上がります。普段シンプルなデザインが多い方は作風の印象を変えられますし、にぎやかなデザインが多い方は規則性を取り入れたすっきりとしたデザインに挑戦できます。ぜひ一緒に作ってみましょう!

2. アールヌーヴォー、アールデコをモチーフに
オリジナル素材をつくる

まずはパターン化する前の素材をつくっていきます。

今回は、モチーフとして19世紀末ごろから1940年にかけてヨーロッパを中心に開花した美術運動アールヌーヴォー、アールデコを取り入れました。アールヌーヴォーとは、19世紀初頭の産業革命後に「新しい芸術」として生まれました。優雅で装飾的な曲線が特徴的です。アールデコは第一次世界大戦の後大衆芸術の中から生まれ、アールヌーヴォーとは反対に幾何学的な形や直線が特徴的です。

関連資料を見て特徴を考えながら二つのモチーフを用意しました。

①アールヌーヴォー

曲線で優雅なイメージだったので、リボンや小鳥をモチーフにしました。レトロな雰囲気にしたかったので、ざらっとした鉛筆ツールで線画を描き、アナログ風のテクスチャを重ねました。

【アールヌーヴォーモチーフの特徴】
・曲線が多く含まれている
・華やかで装飾的な印象

②アールデコ

資料を調べていく上で丸、四角、直線などの図形が多く含まれていると感じたので幾何学模様を意識しました。最終的に図形を重ねる予定だったのでパターンの完成イメージを想像しながら制作しました。

【アールデコモチーフの特徴】
・丸、四角、直線などの図形が多く含まれている
・幾何学的な印象

3. Illustratorでパターンをつくる

図形パターンの作り方

①作った図形を「選択ツール」で選択

②オブジェクト→パターン→作成

③「パターンオプション」で自由に調整

筆者は図形を重ねたかったので、
・タイルの種類は「レンガ(横)」 
・オブジェクトにタイルサイズを合わせるにチェック
・横の間隔、縦の間隔を調整 
という風に調整しました!

4. 作成したパターンをグラフィックに取り入れよう!

それでは実際にこれらのパターンを使ってグラフィックを制作していきたいと思います。この記事のトップ画像を想定し、「グラフィックにパターンを取り入れよう」というコピーを入れて制作していきました。
まずラフを制作していきます。①アールヌーヴォー、②アールデコの2つのラフを制作し、編集部内でフィードバックを受けました。

【ラフ案】

①アールヌーヴォー

【工夫した点】
・パターンの大きさに強弱をつけ絵本のような世界観にした
・レトロな雰囲気になるように色味を調整した

【改善できる点】
・パターンの面積が少ないのでトップ画像としてパターンの記事だとわかりづらい

②アールデコ


【工夫した点】
・金属的なイメージがあったので背景を暗くした
・後ろのパターンと馴染ませるために一部を手前に出して表現しようとした

【改善できる点】
・真ん中の四角が浮いて見える
・モチーフが大きいため、パターンらしさが弱い


全面にパターンが使われ、この記事の趣旨が伝わりやすいという理由で②アールデコの案を清書していくことにしました。フィードバックで受けた改善点をもとにブラッシュアップしていきます。

【完成作品】

そして完成した作品がこちらです!
パターンというのがひと目で伝わるグラフィックになったと思います。

    【清書するにあたり意識したこと】
    ・モチーフのサイズを小さくし、パターンを敷き詰めた。
    ・アールデコ様式によりマッチしたフォント(新ゴシックなど)に変更。
    ・パターンに馴染むよう、文字の背景もひし形にした。
    ・ひし形に合うように言葉を入れ替え、強弱をつけた。

5.まとめ

文字が含まれるグラフィックにパターンを取り入れる際は、パターンと文字の統一性が大事だと思いました。完成図のように文字の背景にパターンと同じ図形を用いるなど、文字とパターンの重なりを出すと関連性が生まれ、統一感が増します。
また、アールヌーヴォーなどの手描きのパターンだと、一気に画面の密度が増え、文字を目立たせることが難しくなると感じました。みなさんの制作で取り入れるときも、部分的に使用したり、やや大きめに配置したりするなど調整してみてください。

筆者(渡邊)は今回初めて図形パターンを使ったグラフィックを制作し、いつもの作品とは少し違う印象になったように感じました。
パターンは、丸や三角などの図形でも手軽に作れます。作品をより魅力的に魅せる手段として、長い休み期間などにぜひ挑戦してみて下さいね!

(2020.7.31)

著者

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渡邉真湖

2022年3月多摩美術大学絵画学科の油画を卒業・4月からデザイナーです。犬と漫画と辛いラーメンが好きです。

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