進化しつづけるヘアスタイル!カラー&アレンジから生まれるヘアアート作品

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髪を染めること、アレンジをすることは、現代において特に変わったことではなく、誰にとっても身近な行為だと思います。みなさん自身も、周りの人も、髪を染めている方が多いのではないでしょうか。髪の色が年中変わる人がいるように、近年のヘアカラー事情そのものも、変化を遂げています。そしてアレンジの域は日常で使えるものからアートの域に達したものまで、幅広く展開されています。そこで今回は、芸術性のあるヘアスタイルについて書いていきたいと思います。

編集・執筆 /YAMADA, AYUPY GOTO

●人はなぜ、髪を染めるのか

そもそも、人はなぜ薬品を使って髪を痛めてまで染めるのでしょうか。いろんな服や靴を楽しむように、髪も色を変えてオシャレを楽しむため……と言われればそれまでですが、歴史を振り返ってみると、髪を染めるという行為には、様々な想いが込められていました。
例えば、古代エジプトでは、魔除けの意味合があったり、日本では平安時代の武将、斎藤実盛が白髪に染まった毛を、最後の戦地では若々しくいたいという意味合いで黒く染めたりしていました。昔はなにかしら意味をもった染髪でしたが、それは段々とオシャレのために、よりクリエイティブな作品を創作するために、今日まで進化し続けてきました。

☆髪型は外見にどのくらい影響するのか
なんと人の印象は7割が髪型で変わると言われています。同じ顔でも、髪型が違うと他人に与える印象は大きく変わるということです。同じように、色でも印象は大きく変わります。
相手にどのような印象を与えたいのか、どんな自分でいたいのか。これは自分自身をデザインする、ということでもあると思います。
また、近年は個性を重視し、他人とは少し違った髪型や色を好む傾向があります。
以前ならピンク色の髪の毛で街を歩こうものならば、一斉に視線を集めたものですが、近年は日常にイレギュラーな髪色で生活をしていても、物珍しさはあまりなく、文化として馴染みつつあります。

●もはやアート!芸術的なヘアスタイリング

では進化し続けたヘア技術、そしてヘアカラーの自由度と世間への浸透性。これらが掛け合わさった現代ではどのような発展があるのでしょうか。
カラーリング薬品の進歩はもちろん、技術的にもすごいことになっています。

★人間の生とリアリティが作り出す世界

無機質なものでなく、人がベースになっている生きたアート作品。
近年人気のアクアアートリウムも、金魚という生きている生物をアート作品に仕立て上げ、注目を集めました。生きたものをアート題材として扱うことで無機物には出せない“生”ならではのリアリティと臨場感を演出しています。
ヘアスタイリングは、最終的に写真作品になることが多いですが、クリエイティブの力とモデルが生きた一瞬を捉えた写真は、自然の美しさと人工的な美しさが交わっているように感じます。

イラストや3Dのみでは表現しきれない領域のスタイリング作品を、いくつかピックアップしてみます。

★色と曲線、直線美

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m.sumally.com

黒髪の内側に発色の良い赤が入っており、角度によって見え方が変わってきますね。
人の髪が作り出す美しい曲線と頭のまるいフォルムが気持ちが良いです。主役は赤色ですが黒髪の美しさも引き立っています。

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ukhairdressers.com / j-h-a.com

どちらも肌色との相性もしっかり考えられており、色遣いが美しいです。影も効果的に使われています。曲線や直線の形で魅せる効果と、色で魅せる効果が相乗した絶妙なバランスです。

★世界観が確立!

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http://hma.shiseidogroup.jp/kera/

まるでアニメからそのままとびでてきたようなスタイリング。
カチっとした遊びある髪型で重力を感じさせないような二次元要素を含んでいますが、チープにならず作品として確立しています。

★芸術性溢れる、独創的なスタイル

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modernsalon.com

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hma.shiseidogroup.jp/harada/ / s-media-cache-ak0.pinimg.com / https://www.instagram.com

独創的な発想と構成で見た人をワッと驚かせる圧巻の作品。ヘアスタイルがすごい!だけでなく、女性特有の身体のラインやうなじ、肌の質感など、人体そのものの美しさも存分に伝わってきます。人間だからこそ魅せられる作品というところに魅力を感じます。

★クラシカルなヘアスタイルから……?

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髪の毛を海に見立てて、船を飲み込んでいます。造形的にも美しく物語性があります。
ロココ期貴族であったマリー・アントワネットが、ヘアスタイルとして頭に船を飾りとして乗せていたことが有名ですが、この作品はそこからインスピレーションを受けたのではないかと考えます。髪に色彩を加え、船を飲み込むような造形がプラスされています。クラシカルなヘアスタイルが現代にもなお影響をもたらしていることが伺えますね。

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exercicedestyle.tumblr.com

一方こちらは日本の和髪をベースとした作品。
伝統ある日本スタイルは崩さず、その上に洋風のモチーフが取り入れられています。形は同じでも、色や飾りの変化で雰囲気ががらっと変わりますね。

非日常的で、カラフルな髪色や突飛なヘアスタイルの数々でした。プロのヘアアーティストの方は、スタイルを作っていく上で、造形そのものの美しさはもちろん、色彩への配慮が繊細です。モデルの肌色、目の色に合ったもの、そしてメイクとのバランス、衣装とのバランス、全てがよく考えられており、ヘアスタイルを形にする技術、色彩感覚、構成等のセンスがぎゅっと詰め込まれています。
ポスターをみるのと同じように、色の組み合わせの参考にしたり、綺麗なフォルムを感覚的に捉えること、配置や構図など、参考にできることは沢山あるかと思います。直感的にも綺麗だな、かわいい、かっこいいと思える作品からは創作意欲を掻立てられたり、記憶に強く残ったり、どんなに小さなことでもプラスの効果が得られると思います。こういったアーティスティックなヘアスタイルも、見て感動するだけでなく、そこからさらに見て楽しんで、自分の学びに生かせるような何かを吸収できたら、とても有意義だと考えます。

●さいごに

髪は身近な存在でありながらも、このようにクリエイターの手にかかると素晴らしい作品に変貌することがあります。髪に手を加えることは魔除けから始まり、今やおしゃれを楽しむもの、そして創作の意欲と芸術性が含まれている作品にまで発展しました。
絵画や彫刻、デザイン作品を鑑賞し心にとどめるのと同じように、ヘアスタイルにも今後注目してみると新しい発見や収穫があるかもしれませんね。今回ご紹介した意外にもまだまだ沢山の作品があるので、興味がある方は是非調べてみてください!

(2016.9.13)

著者

山田実優

武蔵野美術大学でグラフィックデザインやパッケージデザイン、ブランディングデザインを主に勉強しています。 舞台鑑賞や洋服巡りが好きです。

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