みなさんは普段、ノートやスケッチブックを持ち歩いていますか?絵を描くことやデザインすることが好きな方であれば、学生生活のうちに何冊も消費しているかもしれませんね。ノートの活用は、使い方次第で大きな効果が期待できるようです。
今回はクリエイティブ業界で働く先輩に、愛用のノートや手帳についてお聞きしました。
編集・執筆 /YOSHIKO INOUE, AYUPY GOTO
●ダヴィンチ・ゴッホ・ピカソも……芸術家はノートを活用するメモ魔だった
みなさんは普段、どんなときにノートを利用しますか?
作品制作のアイデアメモやアイデアスケッチ、自由にイラストを描くときなど、ノートを毎日使っている……という方も少なくないと思います。
ゴッホやピカソなどの芸術家や、エジソンなどの発明家、スポーツの名選手の多くもノートを愛用していたと言われています。特に画家のレオナルド・ダ・ヴィンチはメモ魔として有名で、生涯に約1万枚以上のアイデアメモを残したそうです。
こうしたことも理由の一つに、近年ノートを活用する「ノート術」が注目を集めています。ノートにメモをとることは単に覚え書きの手段というだけでなく、自己実現や発想力・創造力を養うのに効果的と考えられているのです。
また、ビジネス上では、メモをとることで知的生産性(オフィスで効率よく質の良い成果を上げること)が向上するとされています。
クリエイター職では、常に新しいスキルを身につけたりアイデアを発想したりすることが求められるため、「メモる力」が特に必要になりそうです。
●クリエイターはどんなノートにメモしているの?
愛用のノートを教えてください!
今回、さまざまな業界で活躍する3名のクリエイターに、愛用しているノートについて伺いました。
3つのノートを、制作レシピ、言葉、スケッチ用に使い分け。
中村 綾花 さん
なかむら あやか
映像・アニメーション作家 / 木版画家
1988年東京都生まれ。2013年武蔵野美術大学油絵学科版画専攻卒業。
手描きをメインに繊細かつ力強い画面づくりを目指し、アーティストのミュージックビデオやアートワーク・テレビ番組のアニメーション・装丁のイラストなどを手がける。映像作家100人2015(BNN出版)に掲載。木版画家としても国内外で活動している。
Q1.普段愛用しているノートを教えてください。
●無印良品のモバイルノート(A6サイズ)
●マルマンのクロッキーブック(SQサイズ)
▼モレスキンのソフトカバーの手帳
Q2.ノートにはどんなことを書いていますか。
モバイルノートには日々の小ネタや日記、本からの引用など言葉をメインに書いています。クロッキーブックはアイディアやスケッチ、仮の絵コンテなど絵がメインで、モレスキンの手帳は制作のレシピノートのように使っています。
▼制作工程や使った画材・色、制作時間まで、制作に関することをくわしく書き込んでいる
Q3.そのノートを選んだ理由を教えてください。
ノートを選ぶ基準は、いつでもどこでもサッと取り出して描けるかどうかです。かつ、面のサイズが1つのイメージを出力するのにちょうど良いことも大事ですね。
Q4.そのノートの気に入っている点を教えてください。
モレスキンの手帳は、ゴムバンドがついているところが気に入っています。そのへんにある紙にメモをしてしまった時も、そのまま手帳に挟めて助かります。
本当に何でも挟めるので、押し花までできるんです!
Q5.ノートの使い方にこだわりはありますか。
なかなか難しいのですが、開いた瞬間に書いたときのことが分かるように使うのが理想です。
カラーバリエーション豊富なRollbahnは、3色愛用中。
佐藤 タカアキ さん
さとう たかあき
上野にあるWeb制作会社LIGInc.のデザイナー。3年目に突入しました。
主にLIGブログの開発を中心とした自社開発チームに所属し、撮影から合成などのビジュアルデザインを2年ちょい担当していました。
現在はデザイナー兼カメラマン的なフワフワした立ち位置で、良くも悪くも毎日多忙な日々を送っているフリをしています。
http://liginc.co.jp/member/member_detail?user=takaaki
Q1.普段愛用しているノートを教えてください。
●ノーブランドのスケッチブック
●Rollbahn Notebooks
Q2.どのように使い分けていますか。
Rollbahn Notebooksは、仕事用・本から得た情報のメモ用・持ち運び用に3冊を使い分けています。ノーブランドのスケッチブックは1冊で、イラストの練習用です。
Q3.ノートにはどんなことを書いていますか。
仕事用のノートには、デザインをする前に文字のみで行う情報整理やラフデザイン、アイディアメモを書きこんでいます。
▼情報設計が中心の仕事用ノート。会社や家でのiMac作業中に使っているそう
本から得た情報のメモ用ノートには、本を読んで気になった言葉や情報を書き込んでいます。蛍光ペンなどで本に直接印をつけても結局読み返さないので、ノートに書くんです。だいたい本1冊につきノート1、2ページくらい使いますね。
持ち運び用ノートは、仕事・プライベート問わず外出時に専用のケースでノートPCと一緒に持ち歩いてます。社内でも、打ち合わせや会議に携帯してます。
ノーブランドのスケッチブックは、最近趣味でイラストを描き始めたので、その練習に使ってます。
Q4.そのノートを選んだ理由を教えてください。
Rollbahn Notebooksは会社からの支給品であるため簡単に手に入り、カラーバリエーションが豊富で使い分けしやすいからです。ノーブランドのスケッチブックは、表紙にさえ何も書かれていないシンプルさに惹かれました。
Q5.そのノートの気に入っている点を教えてください。
Rollbahn Notebooksはゴムバンドで締めることができて持ち運びしやすく、巻末にクリアファイルがついていて便利な点が気に入ってます。
ノーブランドのスケッチブックは、絵が描きやすく色も塗りやすいところが良いですね。無地で一切線が引かれていないので、変に邪魔になるものがなく使いやすいです。
Q6.ノートの使い方にこだわりはありますか。
情報を整理するためにテキストを書きつらねるのであれば方眼紙を、イラストなど絵を描くためであれば画用紙を使うようにしています。
イメージをビジュアル化するにはやっぱりノート。キャラものは買いだめ!
神田 沙織 さん
かんだ さおり
株式会社wip取締役/Little Machine Studioスタジオマネージャー。
3Dプリントサービス運営に関わり、200名の「ものづくり系女子」コミュニティのリーダーとして講演や執筆活動を開始。2015年、独創的なICT(情報通信分野)への挑戦者を応援する総務省「異能vation」プロジェクトに採択され研究を進めている。夢は工場を建てること。 http://w-i-p.jp/lms/
Q1.普段愛用しているノートを教えてください。
●サンリオ×マルマンコラボのクロッキー帳(ポケット判)
Q2.ノートにはどんなことを書いていますか。
FABマシンで作りたいもののアイディアスケッチや、事業のイメージをビジュアル化したものを書き留めています。
Q3.そのノートを選んだ理由を教えてください。
クロッキー帳はスケッチブックの定番で、大きな文具店ですぐに入手できるからです。今は、キャラクターコラボのものを見つけたら買い溜めています。
Q4.そのノートの気に入っている点を教えてください。
横開きなので横書きに適していることと、プレゼンの下書きとして1ページ毎に内容を書き出せることです。気分によって縦書きでも使えるコンパクト感も気に入っています。
Q5.ノートの使い方にこだわりはありますか。
Macのメモアプリやタスク管理ツールのTrelloなども使っていますが、その一段階前の、言語化する過程ではノートを使いアイデアをどんどん出していきます。
また、ブックリーディングメモをマインドマップで書くと、後で見返した時に発見があり、おすすめですよ。
●最後に
愛用ノートを見せてくださったクリエイターのみなさん、ありがとうございました! パソコンを多く使うデザイン制作も、始めのアイデア出しやラフスケッチはノートを使い、手で描いて考えることが多いようです。また、テキスト用とスケッチ用など、自分にとって使いやすく分類している人が多い印象でした。
ノートにアウトプットした情報は、読み返してまとめたり情報整理して自分の中にきちんとインプットさせることが大切です。ぜひいろんな使い方を試しながら、ノートをクリエイティブに活用してみてください。
(2016.3.12)
はたらくビビビット
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