色のいろいろ ニュアンスカラーって何?配色の秘密

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近年、ファッションやメイクに関連して“ニュアンスカラー”というワードをよく耳にします。流行として取り入れられてきたこのカラーですが、感覚的には知っている、という方が多いのではなでしょうか。そこで今回は一体ニュアンスカラーはどういうものなのか、どのように取り入れられているのかご紹介したいと思います。
編集・執筆 /YAMADA, AYUPY GOTO

●ニュアンスカラーって何?

ニュアンスとは、微妙な違い、細かい差異を意味します。言葉からしてもざっくりしていますね。“微妙な違いの色を合わせる”ような、ふわっとした色彩のイメージがついていると思います。ではもっと具体的な、色としての表現はどのようになってくるのでしょうか。

ニュアンスカラーの定義とは?

“色”におけるニュアンスという言葉の意味は、“微妙な色合い”“細かなグラデーション”になりますが、そういった配色になっていればOKというわけでなく、ある程度色の明度、彩度に共通があるようです。

・正反対のビビットカラー

ニュアンスカラーと真逆サイドに置けるのが、原色のビビットカラーです。パッキリとした高彩度の色はニュアンスカラーには含まれません。こちらの記事、色のいろいろ、日本のポップカルチャー配色術!でご紹介した配色は対になるような配色が多く含まれています。
しかしこの中に、“ゆめかわいい”と呼ばれるパステル調の配色が存在しています。こちらの配色も、ふわっとした色合いが多く、近いものがある場合がありますが、どのように区別がつけられるのでしょうか。

・彩度の違い

ゆめかわ配色とニュアンスカラーの大きな違いは、まず単色については“彩度”に、配色としては色彩の幅にあります。
ゆめかわ配色は高めの彩度、ニュアンスカラーは全体的に彩度が多少低く、彩度が低めな色、くすみの入ったグレイッシュな色がニュアンスカラーに含まれる可能性が高いです。

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とはいえ、はっきりとした規定もなければくくりもなく、色もふわっとしているので、ニュアンスカラーとして扱うのかどうかはそれぞれの感覚になってきます。

●ニュアンスカラーの配色バランス

では、ニュアンスカラーを指す色がどのようなものか分かったところで、次はどのように扱っていけば自身のクリエイティブワークに取り入れられるのかを考えてみます。

組み合わせ方は……?

まず、配色ついて。カラーそのものが“柔らかい微妙な風合いの色”なのですが、配色も微妙な風合いで合わせることが多いです。ファッションなどでは同系列の色を微妙なトーンの差でまとめるテクニックがよく使われます。
色自体はグレイッシュなトーンですが、明度が高めなので地味にはならず、くすみが入っているのでキュートにはなりすぎず……丁度良い緩さの柔らかい印象作ってくれます。ファッションで“ヌケ感”と言われているものですね。パステル調ではあるものの、どこか落ち着きがあるので幅広い年齢層から愛されています。
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・さし色を持ってくる

また、配色は同系色で合わせたものも良いのですが、その中にさし色や全体を締める色を持ってくると雰囲気が変わります。
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こちらはブルーベースのグレイッシュな色の配色です。ニュアンスカラー配色の特徴の1つである、同じ様な色を4色まとめてみました。
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一番左の色のみ変更してみました。一番上は明度が低くしっかりとした色を持ってくることで全体が引き締まりました。
中央は、単品でみるとそこまで彩度が高いわけではありませんが、他3色と組み合わせると色相が大きく違うので色の振り幅が広がりました。
最後に一番下の配色は、元配色の色を明度、彩度ともにあげたものです。さっぱりとしたライトブルーが、グレイッシュな色と響き合って、普通のブルー系配色とはまた違った不思議な色合いになりました。

柔らかくぼやけた印象だったものが、一色変えるだけで随分と違った印象を持つようになりました。

・組み方って……?

このような配色にチャレンジしてみたいけど、色の組み方はどうすればいいのか……。そこで、ニュアンスカラーの取り入れ方、特徴を整理してみます。
まず、理解しておきたいのはニュアンスカラーは単色で成り立つ、ということです。
上記では、一色の変化によって配色の見え方が変わることに注目したので、4色組み合わせたのですが、一色でも充分成立します。そもそも、ニュアンスカラーは色そのものを指しているので、色を組み合わせること=出来上がるものではありません。
ファッションやインテリアにおいて、ニュアンスカラーをさらに、ニュアンスな微妙な色でまとめることで柔らかくきれいな配色になっているので、そこに注目し、今回は配色術として扱っています。

組み合わせとしてすぐに取り入れられそうな方法として

・同系等の似た様な色合いを合わせる
・自身の色使いの中に、一色加えてみる
・自身の配色をグレイッシュにしてみる

などが挙げられます。簡単な一例ですので、上手くいかない場合は少しずつ変えて自己流で探してみることをお勧めします。新しい配色に出会えるかもしれないきっかけ程度に捉えて、お試ししてみてはいかがでしょうか?

配色例

これらを踏まえた上でニュアンスカラーベースの色々な配色例を挙げてみました。

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同系まとめや、色相は違くても同明度、彩度でまとめてみたりと、いくつか出してみました。
この他にも組み合わせは無限にあるので、自分好みをカスタマイズしてみて下さい。

●さいごに

ニュアンスカラーといえば、インテリアやファッション、ネイル、メイクなどで多く使われていますが、色使いのひとつなのでグラフィックやイラストなど、クリエイティブ作品にも取り入れることが出来ると思います。こういった配色も普段使用している色使いの中にプラス使えるようになると、また表現の幅が広がるのではないでしょうか。色の響き合いは何万通りもあります。組み合わせも無限です。普段グレイッシュな色を使わない方も、自分の色使いの中に使ってみると、新しい配色、個性になるかもしれません。

(2017.3.1)

著者

山田実優

武蔵野美術大学でグラフィックデザインやパッケージデザイン、ブランディングデザインを主に勉強しています。 舞台鑑賞や洋服巡りが好きです。

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