インターンは通るのに本選考は難しい?内定者ポートフォリオのBefore/Afterからヒントを得よう


就職活動が本格化する3〜4月、「イラストレーターのインターンには合格できたのに書類選考を通過できない」「絵を描くことは好きだし自信もあるけれど、なかなか面接につながらない……」と悩む方も多いのではないでしょうか。
2023年卒でイラストレーター職に就職する筆者(山口)も、同じように悩んでいました。ですが、少しの気づきと意識の変化でポートフォリオが生まれ変わり、無事大学4年生の5月に内定をいただくことができました!
この記事では、当時の気づきと実践したブラッシュアップをご紹介します。あくまで私個人の体験記となりますが、書類選考でつまづいている就活生の参考になれば幸いです。

編集・執筆 / MINAKO YAMAGUCHI , YOSHIKO INOUE

もくじ

内定まで、三段階のポートフォリオ
内定ポートフォリオに変身するまでの気づきと実践
①内定ポートフォリオを研究!ブラッシュアップ過程を載せることに
②ゲーム設定資料集をヒントに!レイアウトと内容を大改良
③雑誌や新聞を参考に!「見せる文字」と「読ませる文字」を使い分ける
終わりに【まずはポートフォリオを客観的に見てみよう!】

内定まで、三段階のポートフォリオ

細かい手直しを除くと、私のポートフォリオは大きく三段階で完成しました。

①インターン挑戦ポートフォリオ(制作:大学3年生6月〜8月)

インターン応募のためにとりあえず作ったものです。
作品とタイトルなどをまとめて体裁は整っているように見えますが、このポートフォリオではインターンに一社も行けませんでした。イラストの作品数も少なく、志望している企業のことも自分の将来像も何もイメージできていなかった時期です。

②インターン通過ポートフォリオ(制作:大学3年生11月〜2月)

志望業界(ゲーム)でやりたいことが定まってから制作したポートフォリオでは、インターンに複数社合格することができました!制作過程やスケッチを載せたことで作品集ではなくなり結果も出るようになりましたが、いざ就活の本選考には全く歯が立たず、書類選考で何度もつまづいてしまいました。

③内定ポートフォリオ(制作:大学3年生2月〜大学4年生5月)

ゲーム業界に内定したポートフォリオをとにかくたくさん見て、比較・研究していきました。そこで得られた客観的視点と気づきを活かした就活ポートフォリオが完成!作品本体とポートフォリオのクオリティの底上げを行い、本選考通過・内定を取ることができました。

ここからは、私の②[インターンは通過するものの書類選考をなかなかクリアできなかった時期のポートフォリオ]と③[内定獲得時のポートフォリオ]を解説していきます。
実はこの過程では就活中ということもあり、掲載作品そのものは大きく変わっていません。
ですが、作品の見せ方(載せる情報やレイアウト)を変えたことにより良い結果を得られるようになりました。
変化が特にわかりやすいページはこちらです。
▼インターン通過ポートフォリオ

▼内定ポートフォリオ

想定ゲームのメインキャラクターのページです。キャラクターは同じですが、イラストの内容やページ全体の雰囲気がガラッと変わっているのが伝わると思います。
背景色で世界観を演出したり文字情報をわかりやすくしたり……。細かく解説していきます!

3.内定ポートフォリオに変身するまでの気づきと実践

  • 3つのポイント
    ポイント①作品のブラッシュアップ過程をわかりやすく載せる!
    ポイント②レイアウトと内容を見直す!
    ポイント③「見せる文字」と「読ませる文字」を使い分ける!

①内定ポートフォリオを研究!ブラッシュアップ過程を載せることに

本選考を通過するポートフォリオにレベルアップしたかった私は、ゲーム業界に内定したポートフォリオをたくさん見ていました。そこで、内定者のポートフォリオには作品の完成形だけでなく改善案や過程なども載せていることに気づき、私も載せることにしました。
▼インターン通過ポートフォリオ

▼内定ポートフォリオ

[意識したこと]

・(実際に売り物を作っている想定で)魅力的でユーザーさんに喜ばれるようなデザインになっているのか
・デザイン的に余白ができていないか
・特徴的な部分がデザインに設けられているか など

プロにイラストを添削してもらい、そこから修正したものを載せるのが理想ではありますが、私はそういった機会は特になかったため、大学3年生の3月頃に参加したインターン(キャラクター・衣装デザインのもの)期間に学んだことと、そこの社員の方にいただいたポートフォリオへのアドバイスを参考に、自分なりにイラストをブラッシュアップして載せました。直接作品の改善点を教えてもらえる状況がなくても、それ以外の場面でもらったアドバイスをもとに自分で取り組めることも多いと思います!

[効果]

2つのページを比較してみると、作品のブラッシュアップ過程を載せることで、作品本体のクオリティが上がると同時に、現状に満足しない向上心もアピールすることができたと思います。
内定している人のポートフォリオを見るときは、自分のポートフォリオと何が違うのかをよく観察しましょう!この時意識すべきは作品のクオリティではなく、ポートフォリオとしての(見せ方の)クオリティです。どんなものが分かりやすいと感じるのか、すごいと思うのはどうしてなのかなどをいろいろ分析してみると、自分のポートフォリオに足りない部分が見えてくると思います。

②ゲーム設定資料集をヒントに!レイアウトと内容を大改良

どうしたら書類選考を通過できるのかを考えていくうちに、採用者の目線でポートフォリオについて考えるようになりました。「もし私が採用者なら、たくさんあるイラストレーターのポートフォリオで目に着くのは、インパクトがある続きが気になるワクワクするものかもしれない」という風に気づき、自分の[インターン通過ポートフォリオ]を見直しました。

「私が読んでいてワクワクするものってなんだろう?」と参考資料を探しはじめ、見つけたのが[ゲームの設定資料集]でした。ゲームそのものをプレイしていなくても自然と世界観に引き込まれるような感覚が大好きだったので、これをポートフォリオに活かしてみようと考えました。
▼インターン通過ポートフォリオ

▼内定ポートフォリオ

[実践したこと]

①パッと見の印象の分析
どういう雰囲気の作品なのかが一瞬でわかるようなデザインを目指しました。

②背景の色
それぞれの作品で考えた世界観に合う色や質感選びをしました。ダークで排他的なものにはガサガサした質感、和風ファンタジーには和紙の質感を背景にして雰囲気を演出しました。

③フォント選び
②と同じような考え方で、それぞれの世界観に合わせて文字の雰囲気も修正していきました。

④イメージボードの追加
より世界観を伝えるために、キャラクターを取り巻く環境や実際に敵と闘うシーンなどを想定してラフを制作し、読む人の想像が膨らみやすいようにしました。
▼ゲーム設定資料集を参考に追加したイメージボード

[効果]

プロが制作した、自分も楽しく読めるゲーム設定資料集を参考に、最後までワクワクするポートフォリオを作ることができました。世界観の雰囲気をしっかりと出し切ることによって、作品そのものは変わっていなくても全体的にインパクトが強くなりました!

③雑誌や新聞を参考に!「見せる文字」「読ませる文字」を使い分ける

イラスト作品の解説や制作過程などの編集をしていると、どうしても文字量が多くなってしまい読みづらくなってしまうことがありました。そこで参考にしたのがファッション雑誌や新聞でした。どちらも文字と画像がたくさん載っていますが、さっと目を通しただけでも内容がなんとなく理解できるものになっていますよね。
目に入ってくる情報の優先順位がはっきりしている雑誌や新聞を参考に、文字情報のブラッシュアップを行いました。
▼インターン通過ポートフォリオ

▼内定ポートフォリオ

[インターン通過ポートフォリオ]はパッと見ただけで文字が長々しく見えて、制作者である私でも読む気が起きません。そのため[内定ポートフォリオ]では、ちゃんと最後まで読んでもらうための工夫をしました。

[実践したこと]

▼作品の文章をブレスト


①作品の要素を箇条書きにする
できるだけ簡潔な言葉で書き出します。

②要素に優先順位をつけ、見出しやキャッチコピーを作る
作品を伝える上で一番強く言わなくてはいけないことをランク付けしていきます。1、2番目にランク付けされた言葉で見出しを作ります。

③余った他の要点を肉付けして簡単な説明文を作る
大体の世界観がイラストで表現できていれば、文字量が少なくてもしっかりと伝わります。ご自身の作品と文章を比較して、バランスを見ていきましょう!

[効果]

文章を簡潔でわかりやすいものにしたところ、ちゃんと読んでもらえて、なおかつまとまった印象のページになりました!

終わりに【まずはポートフォリオを客観的に見てみよう!】

最後に、ご自身のポートフォリオと、周りのたくさんのポートフォリオと比較する上でのチェックポイントです。

✓ ポートフォリオで就活の軸が表現できているか
就活の軸(企業に伝えたいこと)がポートフォリオと矛盾していないか再確認する!
✓ 内定レベルの作品が用意できているか
クオリティはもちろん、胸を張って自信作と言える作品を選ぶ!
✓ 作品の完成度を補強するレイアウトができているか
上手くいかない原因は必ずしも作品本体だけではありません!作品本体とレイアウトのブラッシュアップも大切!

「自分は大丈夫だ」と思っていても、改めて見返すと「ポートフォリオでは主張できていなかったな」と気づくこともあるのではないでしょうか。私の場合、そういう風に気づいた点を改善していった結果、良い方向に働き、内定ポートフォリオへ変身させることができました。
ですが、ポートフォリオや作品のゴールは本当に人それぞれなので、今回の内容で皆さんのポートフォリオの全てが良くなるとは限りません。
ご自身にとってのゴールは何なのか明確にするためにも、可能な限りインターンでお世話になった社員の方や、学校のOBOG、家族や友人などに見てもらって、さまざまな意見をもらいに行くことをオススメします!
書類選考でつまづいてしまう時期はとても苦しいと思いますが、「イラストが好き!」という気持ちはいつまでも忘れずに頑張っていきましょう!

筆者も活用!
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(2023.4.13)

著者

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山口美菜子

東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。趣味はお絵描きとゲーム。

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