今回の記事では、はたらくビビビット編集部で学生ライターとしてはたらく、私 (nishida) がクリエイターの為の就活サービス「ViViViT(ビビビット)」を就活でどのように活用したのか、体験談などを交えて“美大ファイン系学生の就職活動って実際どういったものなのか?”一例をご紹介できればと思います。進路に悩む方にとって、少しでも参考になれば幸いです。編集・執筆 /NISHIDA, AYUPY GOTO
はじめに
この「はたらくビビビット」内での過去の記事などを読むと、デザイン学科出身の方の体験談が多かったので、今回の記事ではファイン系学科出身の筆者が、実際に就職活動をしてみた体験談と実感を書いてみたいと思います。
「そもそも美大生って就職できるの? 絵なんか学んで何ができるの?」といった、親や親戚や少し遠い知人からの容赦ない質問攻めにあったことのある方は、少なくないのではないでしょうか。
結論から言いますと、筆者の身の回りにいた子たちは様々な職種で就職できているので、就職したいという思いを持ち、努力をすればできますし、作家活動に専念したいと思えば「就職しないという道を選ぶ」というだけのことです。あるいは、イラストレーターや漫画家として活躍する道に進むタイプの人もいるので、大学で絵画などを専攻したせいで(そのことが理由で)食うに困る、就職できない……ということは無いと思います。まず進路の時点で、なにかイチャモンをつけられることがあったら事実として是非参考にしてください。
さて、そしてその中でも筆者は【予備校で2年浪人した後に美大の日本画学科に入学し、さらに大学院に進学して、その後就職活動をした】人間なので、ひょっとすると一般的な学生の就職活動の流れとはズレた視点でいろいろと見ているかもしれませんが、いわゆる「就職できない」「しない」世捨て人(?)のようなイメージのあるファイン系学科の院生でも、ゲーム業界のデザイナー職を志望して、無事内定を頂くことができました。
なので、進路についての不安な気持ちを抱えて、モヤモヤしている学生さんたちの参考になれば良いなと思っています。
プロフィール
西田 歩未
にしだ あゆみ
武蔵野美術大学大学院 修士課程日本画コース所属 学部時代と院での2度の就職活動では「ViViViT」を使って複数の企業に出会う。
●志望業界
日本画学科からゲーム会社に行く人口が多いことや、最初にインターンをしたのがゲーム会社だったこともあり、最初はゲーム会社のデザイナーを、なんとなく「絵を描いて食べていける仕事」として目指していました。
就職活動を続けるうちに、考えが変わっていき、ゲーム内で必要なデザインの重要性について考えるようになり、もっとデザインについて思考していきたい、デザインを通じてゲームに携わりたいと考えるようになりました。
●就職活動スケジュール
【学部3年】
・4月 大学の就職支援プログラムに参加開始(ガイダンス、模擬試験等)
・2月 本格的にポートフォリオを作り始める(←遅いです)
・3月 友人に薦められ「ViViViT」に登録
春休み中にゲーム会社での2週間のインターンに参加。
【学部4年】
・4月 「ViViViT」を通して、声をかけてくださった企業さんを中心に選考開始。
・5月-8月 面接と課題が重なり、大変忙しい時期、しかし全落ち。自分がなにをしたいかもわからず受ける企業も定まらず迷走。(当時の面接では大変失礼なことばかり言っていたな……と、今思い出すと恐ろしいです。)
・9月 絵画を続けたい気持ちと就職すべきなのかという気持ちの間で迷いながら卒制期間に突入
・1月 ダメ元で院試を受ける→合格できたことで進学を決意
【修士1年】
・4月-12月 京橋での個展やグループ展、イベントへの参加や、ミュージカルのフライヤー制作を請け負うなど、作家活動のようなことに励む(も、迷走)
・1-2月 就職活動を再開することにする。ポートフォリオデータや「ViViViT」アカウントを復活させて更新する。
・3月 「ViViViT」社員の方と何度も面談して、アドバイスを貰いながらポートフォリオをブラッシュアップし、デジタルイラストの作品数を増やす。ページを更新したことで声をかけていただいた企業の説明会や会社訪問に参加する。
【修士2年】
・4月 「はたらくビビビット編集部」で学生ライターインターンをはじめる。選考も開始。面接の日々。「ViViViT」のポートフォリオ展にも参加。
・5‐6月 インターンをしながら、複数の面接をこなし、大学院の制作をこなし、アルバイトをしとめまぐるしい日々。
・7月初旬 志望していた企業から内定をいただく。就職活動の終了。
前提として、そもそも私は美大生ですがまったく優秀でないほうの部類だったので、絵が下手で、また、絵画ばかり頑張っていたので、このご時世パソコンが本当に使えず、デジタルイラストも描けない、フォトショップもイラストレーターもまともに使えない、超アナログ人間でした。
就職活動の時期になれば必ず必要になるポートフォリオも、今思うと大変残念なクオリティのものを必死にいじくりまわしていたなと思います。レイアウトということの基本すらわからず、ただWordで画像を並べたものを印刷してポートフォリオだと言っているような残念ぶりでした。
初めにゲーム会社や業界を志望したのもなんとなく絵が描けそうだし、前例も多いし、絵を描く以外自分には出来ないからなぁという大変適当な理由でした。
またイラストをガンガン描いて、Web上で発表しているようなタイプでも無かったので、自分の強みとしてアピールできることといえば「基礎デッサン力」の一点張り。
大学課題の作品は、うまいかヘタかもわからないごちゃごちゃした絵画作品。
面接では何度も「日本画みせられてもなぁ」「じゃあ作家になれば?」という反応を返され、自分が頑張ってきたことは何の価値もないことだったのだろうか……と当時は悲しくなりました。が、今思えば当然の反応だったと分かります。
途中からこのままではいけないと思い「スキルはまだまだですがこれから頑張ります」と言って、付け焼刃的に描いたデジタルイラストを描いて、ポートフォリオに載せました。ひどいクオリティだったので、ある面接でははっきりと「これは残念な絵だね」と言われました。
今更イラストを付け焼刃的に描いても作品数もクオリティも足りない、時間をかけてきた絵画は全否定、プレゼンもデザイン科と違って慣れていないのでしゃべり下手、じゃあこの大学生活って作家にならない(なれない)人間にとってはなんだったんだろう? といった感じで、私にとって就職活動は地獄のようなイベントでした。
今思うに、就職活動で大切なことというのは本当に「自己分析」だなと思います。
耳にタコができるほど言われるとは思うのですが、他人に言われてやる自己分析(シートや診断形式のテストなど)ではなく、実感として自分はこういう人間なんだな、ということがわかることが非常に大切なんだなと思います。
これが得意!これがやりたい!といったポジティブな自己分析ももちろんですが、これが苦手、出来ない、不得意、といった点も自分で理解できているかどうかは大切です。
そういった両面で自分の能力を判断した上で、自分が力を発揮できて、なるべく苦しくない場所はどこだろうか、と考えると、おのずと進む方向がわかる気がします。
就職するということは、憧れている場所に行くことではなく、自分が力を発揮できる居場所を冷静に判断して見つけることだと思います。それがうまく噛み合ったときに、内定がもらえるのではないでしょうか。
さて、再び筆者の話になってしまいますが、
自分の場合は、ものを作るときの根の考え方はデザイン的(理論的、正解を探す)なのに、やってきたことや身を置いてきたのがファイン的な(直感、感覚がモノを言う)場所だったので、就職活動をしている過程でデザイン的思考というほうがとても自分にしっくりくるじゃないか!ということに気がつきました。
それまで自分自身のことを、典型的なファイン系の人間だと思い込んでいたのですが、絵画制作の時もどちらかというと感覚派ではなくて理屈っぽいやり方をしており、それで教授や周囲とも話が合わないことや絵画に対してモヤモヤしたものを感じて苦しんでいたので、それが就職活動を通してスッと晴れていきました。
そんな経緯を経て、私は「ファイン専攻 → デザイナー職」という真逆の向きに方向転換しました。(※「絵を描く」仕事であるキャラクターデザイナー等の「デザイナー」ではなく、UIやゲーム全体をデザインしていく「デザイナー」職なので、ファイン専攻とはある意味真逆だということ。また、クライアントの為に依頼されたものを作り、そして修正していくデザイナーの仕事というのもそもそも純粋芸術の世界とは真逆)
しかしその気づきや考えを、自然と口で説明できるようになっていた時、作品としてクオリティの低いポートフォリオの存在は、あまり重要ではなくなっていました。思考やこれからやっていきたいことがきちんと提示できたので、アピールしたことも画力ではなく、文章力や思考についてでした。
このように、筆者は非常に遠回りなやり方で今の進路にたどり着いたのですが、余裕ある皆さんは是非就職活動が本格化する前に、色々な業界について知っておくと自分とマッチする企業も見つかりやすくなるのではないでしょうか?
【自己分析についてはこちら】
本当にやりたいことはなんだろう?就活前の自己分析のススメ
ファイン系の学生さんには、是非、自分の制作と「働く」ということの間にある隙間をどのような形で埋めるのが理想であるのか、あるいは切り離すのか、仕事する上で自分にとっては何が譲れないポイントなのか?という答えを、それぞれ探してほしいと思います。
院生になってからの就活では、ViViViTの社員さんと面談させていただいたことで(ViViViTキャリアセンターを活用することで就活に関する相談にのってもらえました)明確に向かう方向を見つけられたり、自分に課題を課せられたり、また、わからないところは相談して自分のレベルを客観的に見つめられたりという作業ができました。
もちろん選考で落ちた企業は沢山ありましたし、スムーズな就活というわけではありませんでしたが、面接の回数を重ねるうちに自分の考えがまとまっていったり、面接先でキツイことを言われたりお説教されたりという経験も、最終的には糧になったと思います。
続いて私の「ViViViT」の活用方法についてご紹介します。「ViViViT」は企業側からは学生のページが自由に見られるのですが、学生側からは他の登録者の情報は見られないので、他の学生がどんなページを作っているのかは知ることが出来ません。
ですので、筆者のページが良いか悪いかはわからないのですが、こんな感じですよというあくまで一例と、それから、これくらいのレベルでも意外とたくさんの企業さんから声をかけていただけるので、作品数やクオリティを気にして恐れずに、まずは登録してみてほしいなと思います。
ViViViTの活用方法
クリエイターのための就活サイト「ViViViT(ビビビット)」は、クリエイターを目指す学生のための就職活動サービスです。クリエイター職の就職活動に特化しており、自身の作品画像を投稿するだけで、Web上にポートフォリオを作成することができます。また、様々な企業の採用担当の方がそのポートフォリオを見てくれるので、企業側からスカウト連絡がきたり、自分から気になった企業とコンタクトを取ったりすることもできます。
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【ViViViTについてもっと詳しく知りたい方はこちら】
こちらでViViViTのサービスの具体的な使い方についても丁寧に紹介されているので、参考にしてみてください。
学生クリエイターのためのクリエイティブな就職活動の仕方ーViViViT編ー
クリエイター向け就活サービス「ViViViT(ビビビット)」の活用方法 〜制作会社デザイナー職編〜
就活後までを全力サポート!ViViViTの活用方法〜IT業界デザイナー職編〜
「ViViViT」は、Web上にポートフォリオを作成することができます。
画像をアップロードして、作品についてのキャプション情報を入れていくだけなのでとても簡単です。
画像の入れ替えもしやすいです。
メインビジュアル画像
▼ViViViTマイページ画面
▲このような感じです。
筆者は自分の描いた日本画作品をトップ画像(作品ページのカバー画像)にしていました。
作品ページ
▲デッサンだけがアピールできる唯一のことだったので、デッサンページは多めに作っていました。
面接でも、デッサンは見たよ、デッサン覚えているよ……と言われたことがありました。
ゲーム系のデザイナー職だと、デッサンを重視する企業や必ずデッサンを何枚いれてくださいと指定する企業があるので、用意しておいて損はないと思います。
▲インターンに参加した際の衣装デザインのアイデア出しの図は、面接などでも多くの方に興味を持っていただけました。インターンに参加できるととても良い経験が出来ますし、やりたいことが具体的になるのでお勧めです。
▲趣味のスケッチなども載せておくと意外と良いと言っていただけることがありました。
自己紹介にもなりますし、自分の得意なものをアピール出来て良いのではないでしょうか。
筆者の場合は
1.デジタルイラスト作品
2.インターンでの制作物
3.デッサン作品
4.日本画作品
という優先度とバランスでポートフォリオを作成していました。様々な場所で(就活ガイダンスなど)最適なポートフォリオについては色々と紹介されていたり、先輩の先例があったりすると思うので、参考にしてみてください。
ViViViTを利用した結果
私が「ViViViT」を利用して良かった点を挙げてみます
「ViViViT」はクリエイターに特化した就活サービスです。
便利なのは本当に間違いないので、ずぼらな人や自信がない人ほど、とりあえず登録してみることをお勧めします。
就職活動は最初から完璧な自分を目指すというよりは、様々な場所(就活イベントや面接、面談の場)でフィードバックを貰いながら自分をどんどん改良・進化させていく作業のように思いました。
ポートフォリオの使い方・見せ方・話し方も、まずはやってみて、足りないところを知って変えていく、というプロセスが大切だと思います。
そこでまず面談するにも、企業を探して見つけてアポをとって、というのを一からやるのでは大変な労力が必要です。
その点、vivivitに登録すれば、自分では見つけられなかったような企業側から声をかけていただけて、出会うことが出来て、まず自分の作品に興味を持ってもらってから話すことになるのでお互い的外れな出会いにはならないのが良いところだと思います。
そしてとにかく楽です。
学部生時代はViViViT半分、一般の就活ナビサイト半分の割合で利用していましたが、その時の大変さと楽さの差は大きかったです。とりあえず行ったけれど見当違いの場所に来てしまい時間の無駄だった……と思う説明会や就活イベントが全く無くなりました。
また、私が最終的に内定をいただいた企業も、もともとは知らなかった企業で、ViViViTを通して声をかけていただいたおかげで知ることができました。また、デザイナー向けの会社説明会は開いていない企業だったので、もし連絡をいただいて会社訪問させていただいていなかったら、知ることはなかっただろうなと思います。
そういったチャンスがあるのもViViViTの良さではないでしょうか。
就活後も、ViViViTが役立つ
就活後のViViViTの利用
インターン、アルバイトの案内
私は「ViViViT」の内のチャットツールを通して「はたらくビビビット」のライターインターンに声をかけていただいたことで応募し、参加することになりました。就活中から始めたインターンでしたが、学部時代のゲーム会社でのインターンもビビビットでのライターのインターンも、自分が就活をしていく中で非常に強みになり、そこでの経験が力になっていると実感しています。
ライターインターン以外のインターンやアルバイトの案内もあるので、そちらも是非活用してみると良いと思います。
最後に
さて、今回はファイン系学生の就活について、筆者の体験から一例を紹介させていただきました。
筆者はスムーズに就活できた訳ではないので参考になるかはわかりませんが、ファイン系就活生の多くがぶつかる壁に、だいたい当たってきたと思うので、もし不安に思っている方がいたら、こんな人でも内定もらえるんだということと、焦らずにやっていけばいいんだということを知ってもらえれば良いかなと思います。足を止めない、動くのを止めない、ということが大事です!
就職活動で不安なことやストレスが沢山あるとは思いますが、それを経験する前と後では考え方が大きく変わっていたり、就活生だからという理由だけでいろいろな企業に行ってお話が聞けたり、そこで働く方とお話できる、というのはとても貴重な体験だと思います。就活の只中にいるうちはそれを楽しむ余裕もないとは思いますが、きっと後から「よかったな」と思えるときがくると思うので、頑張ってくださいね。この記事を読んでくださっている就活生の皆さんを応援しています。
ViViViTをはじめる
(2018.2.15)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア