“デザインができる”チケットを持って、大企業の新規事業創出に携わる。|Creww プランナー 近藤志人さん

KONCHAN

就職先を選択する際、みなさんはどういった点に注目されていますか?働きたいと思っている業界や職種で選ぶ方もいれば、大企業、中小企業、スタートアップといった会社の大きさや成長幅で判断する方もいると思います。今回お話を伺った近藤さんは、大きなクライアント案件を任せてもらいたいという思いから、大手広告制作会社に就職したものの、求めていた働き方と違ったことから、入社1ヶ月で退職し社員10名ほどのスタートアップに転職した一人です。現在プランナーとしてスタートアップ支援を行う近藤さん、業界、職種、会社の規模と、大きく変化した環境で働く彼には、どんな心境の変化があったのでしょうか。お話を伺ってみました。編集・執筆 / AYUPY GOTO

近藤 志人こんどう ゆきと

Planner

京都精華大学デザイン学部 グラフィックデザインコース卒業。
現在、Creww株式会社にプランナーとして所属。

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クリエイティブ制作とプランニングの仕事を掛け持つ働き方

― 近藤さんの働いている“creww(クルー)”は、どのような会社ですか。

近藤さん:crewwは、“挑戦したいすべての人が、挑戦できる世界をつくる”をスローガンに掲げています。リスクをとって、今までにない革新的なビジネスモデルを生み出す “スタートアップ”とよばれる企業を支援する、国内最大級のスタートアップコミュニティーを運営しています。

様々な巨大な経営リソースを活かして、新たなビジネスを創造することを求めている“大企業”と、最短最速で企業成長したい “スタートアップ”をビジネスマッチングさせ、効率的なイノベーションの場を提供しています。

― 近藤さんはcrewwでどのようなお仕事をされているのでしょうか。

近藤さん:会社の中にはサービスを開発するプロダクトチームと、スタートアップと大企業を繋ぐセールスチーム、crewwの取り組みを発信するマーケティングチームの3つに分かれています。僕はマーケティングチームに所属していますが、プランナーという肩書きで3つチームそれぞれでお仕事を担当しています。

例えばプロダクトチームのお仕事ですと、以前Google×日本政府×crewwで、スタートアップのCEOの方々にお集まりいただきスタートアップがもっと活動しやすい法整備を作って行くために、政府の政策立案社に直に意見を届けるイベントを行ったのですが、そのイベントのための広報グッズやランディングページ、ポスターなどをつくらせていただきました。議員の方々が、僕の制作した広報用のポスターを気に入ってくださり、議員会館の中にそのポスターを飾ってくださっているそうです。自分のつくった物で、良い反応をもらえるのはとてもうれしかったです。

また、セールスチームのお仕事ですと、スタートアップと大企業が繋がることでどういったイノベーションが起こるのか考え、セールス資料を作成しています。セールスチームに同行し直接提案を行う事もあります。決まった案件に関しては、担当のセールチームの方と一緒に大企業とのプロジェクトの運用と企画設計を行っています。

マーケティングチームのお仕事ですとサイトの利用者の行動分析や、ニュースレター、イベント、広告、ソーシャルアカウントなどを通して外部へ情報発信をしています。もちろん、各部署の方々と一緒にですが、セールス資料をつくって、決まった案件のプロジェクトを運用して、ページデザインとしてアウトプットしたものを情報発信し、効果測定を行う。という一連の流れを一つなぎに経験できることにとてもやりがいを感じています。

― クリエイティブ制作から企画提案営業まで幅広い業務内容ですね!どういったメンバーで働かれているのでしょうか。

近藤さん:社内メンバーは全員で17名ほどになりました。国内外で活躍してきたメンバーが集まっているので、英語が話せる人がほとんどだったり、海外出身のメンバーや、海外出身の学生がインターンでユニークな人が多いです。

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近藤さんがデザイン制作を担当|Google × 政策立案者 × creww企画のランディングページ(一部)

挑戦する人たちのために、自分も挑戦し続ける。
スタートアップのためのスタートアップ。

― 学生時代はどのように過ごされていましたか?

近藤さん:幼い頃から絵を描くのが好きで、美大に入りたいと中学生の頃からなんとなく思っていました。ですが考えが変わる可能性もあると思い、選択肢を増やすために美術系の高校には入学せず、進学校を選択しました。高校に入学してみると、周りの人はみんな有名な大学を目指し3年間猛勉強していました。ですが、僕は高校生になっても変わることなく美術が好きで、放課後になれば美術室で油絵を描いていました。結局3年間油絵を続けて、コンテストなどで賞をいただくことがあったので自信がついて、美大に進学したいという気持ちがさらに強くなりました。

― 高校生の時は油絵を描かれていたのですね!何故グラフィックを学ぶ道を選択されたのでしょうか。

近藤さん:グラフィックデザインコースを選んだのは1番倍率が高かったからですね(笑)。1番倍率が高いところに入れたら失敗はないかなって、当時の僕は思ったんです。

― 選択基準が面白いですね(笑)大学ではどのような活動をされていましたか?

近藤さん:グラフィックデザインがすごくやりたかったわけではないので、入学してからは何を頑張ればいいかわからない状態でした。とにかく与えられた課題に一生懸命取り組み、同じコースの先輩と繋がりをつくっては、“卒業後はどうするのか”“4年間どういうふうに過ごしたか”など、聞いてまわっていましたね。いろんな先輩たちの話を聞くことで、グラフィックデザインとは何なのか、どういった仕事ができるのかを知ることができました。そうしてリサーチをした結果、僕は表面的なデザインをつくる仕事ではなく、プロジェクトの立ち上げから関わり、企画からデザインまで1→10に携わることがしたいと思うようになりました。

2年生になると学外で様々な自主企画を行いました。僕が代表をつとめた企画ですと、美大生の自宅数10件をギャラリーとして解放し、40人ほどのアーティストが作品展示をする『家ギャラリー』という企画を行いました。美大生は毎日作品を制作していますが、そのつくられた作品は、誰にも見られないまま埋もれていくことがほとんどで、外で発表しようとするとギャラリーを借りるのに10万円ほどのお金がかかってしまい、学生にとってはすごく大きな出費となるので、その状況に違和感を覚えて家ギャラリーのような企画を行ったんです。身近な問題意識と、1→10までを作り上げる経験がしたいという思いから生まれましたね。母校である京都精華大学と、京都造形芸術大学がすごく近い位置にあったので、その近辺に住む美大生の自宅を借りることができたんです。反省点もありましたが、本当にやれてよかったと思っています。

また、京都でせっかく学生生活を送っているので、京都のためになる京都らしい企画をしたいと思い『都ライト』というプロジェクトに代表として携わりました。京都の町家100件以上同時にライトアップするイベントを行い、2000人ほどの観光客を招くことができました。テレビに出たり、京都の偉いおじ様にお座敷に連れて行ってもらったりこちらも面白い経験がつめました。

― すごくアクティブですね。大学3年生になると就職活動がはじまると思いますが、その時期は何をされていましたか?

近藤さん:大学生活で就職活動はしていませんでした。学生の自由で貴重な時間を就活に使うより、今しかできないこと、やりたいことをやろうと思ったんです。

3〜4年生にかけては、ビジコン(ビジネスプランコンテスト)に参加したり、つくった作品をコンペに出したりしていました。作品づくりに没頭して身につけたスキルと、美大生ならではの企画力が活かせる場がないかと考えた時に思いついたのがビジコンだったんです。他大学の友人たちとチームを組み、関西の中でも大規模なビジコンに参加したのですが、選考を順調にクリアすることができて、最終的にファイナリストとして選出されました。初めてチームでビジネスを組み立てる経験をして、それが社会人も混ざったコンテストで評価されたことはすごく嬉しかったです。

また、6つの美術大学で『伝統工芸商品デザイン共同コンペ』が行われていたのですが、そこで京都老舗の紙石鹸を新商品開発を提案したら、見事最優秀賞をとることができました。

― 幅広く結果をだされていたのですね。卒業後はどうされていたのですか?

近藤さん:『伝統工芸商品デザイン共同コンペ』で最優秀賞をとったことや京都の地場を活かした活動をしていた事から、京都府とのプロジェクトで、伝統工芸のリデザイン業務を半年間受けていました。京都府の仕事を通して、老舗や歴史に深く関わって仕事をするようになったのでとても勉強になりました。しかし、そういった仕事をしていた反動で、マスや都会的な仕事に興味を持つようになり、京都府からの半年の任期を終えたため、そのタイミングで東京で就職活動を行うようになりました。

数社エントリーしたのですが、エントリーした会社6社から内定をいただきました。就活をした経験がなかったのと既卒だったことで、内定をもらうのも苦労すると思っていたのですが意外な結果でしたね。内定をいただいた会社の中で、元々関心の強かった広告のプランニングが出来る、大手制作会社さんに入社することにしました。

― 卒業後入社したのはcrewwさんではなかったのですね!

近藤さん:そうなんです。その制作会社は自社でクライアントを持っていて、大企業のプロモーション企画や広告制作をしていたので、ここにいれば、僕のやりたかったプランニングの仕事を任せてもらえそうだと思い入社することにしたのですが、実際はそんなことはなくて(笑)大手制作会社はピラミッドが出来上がっていて、新入社員がプランニングのお仕事を任せてもらえるには、10数年時間かかる世界であると入社して初めて知って、愕然としました。学生時代から自ら企画したものを形にしていた自分にとって、その数十年の時間は待ちきれず、会社の中でも恵まれた部署だったのですが、1ヶ月で辞めることになりました。

― 1ヶ月で退職!?早いですね!その後の転職先は決まっていたのですか?

近藤さん:就活時代に出会っていたcrewwという会社が記憶に強く残っていたので人事部の人に辞めることを告げた帰り道に、代表に電話をかけたんです。そうしたら直接会おうって話になり試用期間を3ヶ月頂き、その3ヶ月の成果を40ページぐらいの資料にしてプレゼンしたところ入社させていただけることになりました。本当に人と出会いに恵まれていると思いましたね。

― 制作系から、スタートアップのプラットフォームに転職とは、業界も違いますし驚きです。何故crewwさんに入ろうと思ったのでしょうか。

近藤さん:“挑戦したい全ての人が、挑戦できる環境をつくる”をビジョンとして掲げている会社が、僕に挑戦させてくらなかったら嘘だろうな、と思って(笑)幅広い業務内容から、制作以外のプランニングにも関われそうだと思い、入社することを決意しました。あと、単純に『スタートアップのためのスタートアップ』ってかっこいいな、と思ったんですよね。なんか課題に真っ正面から向き合ってる感じがして。挑戦する人たちのために、僕も挑戦し続けたいと思いました。

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デザインが出来るチケット(スキル)を持って、プランニングの仕事に携わる

― 実際入社してみていかがでしたか?

近藤さん:大企業の末端で働く新入社員から、少人数精鋭のベンチャー企業に移ったことで、かなりギャップはありました。メンバーそれぞれ属人的ですが、個性を発揮して結果を出していてすごいと思ったんです。その様子を見て“早く成長したい!”という思いは強くなりましたね。尊敬できる仲間に囲まれて働けるのは幸せです。

― 何故、プランナーのお仕事にこだわられているのですか?

近藤さん:プランナーになりたいという思いは、大学1年生の時に同期のイラストレーターを当時目指していた友人と喧嘩したことで決意しました。イラストレーションとプランニングはどちらが凄いかという話をカフェで2〜3時間繰り広げて、そこでプランニングの魅力を熱く語ったら、もう僕はこの仕事の魅力を伝えるためにプランニングの仕事をするしかないと、決意しまして。その友人はイラストレーターとして凄い活躍しているので僕もプランナーとしてもっと活躍しないとあのときの喧嘩に負けちゃいます。(笑)

― crewwの魅力はどういったところでしょうか。

近藤さん:大企業の経営層の人々や、政府関係者、起業家、投資家、企業準備中の学生とありとあらゆる層の面白い人に出会い、仕事で関われることですね。大企業の経営層の方に提案をしたり、起業家の方の成長をお手伝いできたりを同時に経験するってなかなか出来ない経験だと思います。また、日本の抱えている“社会の構造的課題解決”に取り組んでいるというところにも、すごくやりがいを感じています。

― 今後どういったことに挑戦したいですか?

近藤さん:crewwの存在をもっと世界に広めることができる一人になりたいです。また、幅広い企業さんと付き合いのある会社なので、この業界のことなら誰よりもわかります!と、言える得意分野をつくりたいですね。

― 最後に学生にメッセージお願いします。

近藤さん:デザインが出来ることは一種のチケットだと思っています。デザインは言語関係なく、世界中のありとあらゆる場所に入れるレアなチケットなので、僕は身につけれるだけのチケット(スキル)を持って、遊んでみたいテーマパークに入場するような気持ちで就活していました。僕のような個人事例も、ひとつの参考として汲み取ってもらえたら嬉しいです。

creww コーポレートサイト スタートアップコミュニティ creww

(2015.7.30)

著者

後藤あゆみ

はたらくビビビット編集長。 フリーランスで“『ツクル』を仕事にしたい未来の子供たちのために。”を、コンセプトとして活動。クリエイター支援、スタートアップ支援を行っています。おばあちゃんになるまでに美術館をつくるのが夢です 。

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