どんな作品か一目でわかるメインビジュアル。読みやすい文字サイズに文字量。読まずとも伝わる「学校課題」「インターン」「依頼」などのアイコン。
今回ご紹介するのは、とにかく見やすく、かつデザイン性の高いポートフォリオです。手元の作品全てをまとめた100ページ以上(!)の初稿を経て、50人以上に意見をもらい完成されたそう。見る側の「気持ちよさ」が追求されたポートフォリオを、さっそく見せていただきましょう!
★麻生さんの実物ポートフォリオを見られる!
ポートフォリオ展(京都)は今月末編集・執筆 /YOSHIKO INOUE
麻生あおい さん
2020年3月京都市立芸術大学ビジュアルデザイン専攻卒業予定
コンシューマゲーム会社内定
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
文字のジャンプ率を大きめに!読んでもらえる「見出し」をつける
麻生さん:基本的に中見出しや説明文は読んでもらえないので、見出しを読むだけで「これは何の作品で、どんなところがすごいのか」わかるようにしました。また見開き1ページの中で、見出し・中見出し・説明文を意識的に分けて、文字のジャンプ率を大きめに設定しています。
章ごとに伝えたいことを決め、1冊を通して“自分”を伝える
麻生さん:私のポートフォリオは4部構成になっていて、それぞれの章に以下のようなメッセージを込めています。
第1部:ゲーム作品「ゲームが作りたいです!」
第2部:2Dイラスト「画力はこんな感じです。」
第3部:プロジェクト「コミュニケーション力があります」
第4部:大学課題作品「作品に幅があります」
ポートフォリオをめくっていくだけで、自分がどのような人間なのかをわかってもらえる構成にしました。
「あ!」と思わせる工夫で、最後のページまで飽きさせない
麻生さん:スケッチが全面に載っているページでは紙の素材を変えてみました。ポートフォリオの中盤は見る側も飽きてくると思ったので、手触りで「あ!」と思わせ、新鮮な気持ちで後半まで読んでもらえるよう工夫しました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ゲーム業界
●コンセプト
シンプルに、見やすく、わかりやすく
▼最後まで悩んだ表紙のデザイン。コンセプト「シンプル」に立ち返り、白地に文字だけのデザインに
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介ページ
- ゲーム作品(ボードゲーム等)
- 2Dイラスト
- プロジェクト活動
(舞台作品、イベントディレクション等) - 大学課題作品
(フィギュア、グラフィックデザイン、テキスタイル等) - デッサン
- 裏表紙
●制作プロセス
(1)手元の作品すべてをInDesignに入れて初稿を作ってみる(100ページ超えました笑)
(2)作品の撮り直し、整理
(3)プリンターで印刷
(4)教授や友人、企業の方の意見をもらう
(5)縦型から横型に変更、いらない作品を大幅にカット
(6)キンコーズで印刷・製本
(7)教授や友人、企業の方に意見をもらう
(8)データ修正
(9)キンコーズで印刷・製本
▼プロジェクトのページ。自分が担当したこと、学んだこと、成し遂げたことが一目でわかる
●制作時期
第一版 2回生春
第二版 3回生6月
第三版 3回生11月〜3月
●制作に使用したソフト
InDesign , Photoshop
●印刷 / 製本方法
キンコーズ / リング製本
●サイズ / ページ数
A3横 / 58ページ
●制作にかかった費用
約8000円×8冊
●制作するうえで参考にしたもの
第一志望の会社に受かっている先輩2人のポートフォリオ
●制作中にアドバイスをもらった人
大学の教授、友人、志望業界のデザイナーの方
麻生さん:志望業界のデザイナーの方にお会いしたとき「あなたはゲームの会社でイラストが書きたいの?ゲームが作りたいの?入りたいというだけでなく、入社してからどのような事をやりたいのかが、わかるような構成にすべき」という意見をいただき、構成が大きく変わりました。
●ViViViTページのこだわり、使い分け
麻生さん:ViViViT(ビビビット)ページは、紙ポートフォリオを作る以前から作品を投稿していました。パソコンの画面上で映える作品と印刷して映える作品は違うので、載せる作品を変えていました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
麻生さん:とにかく人に見せることが一番大切だと思います。私は最終版のデザインができるまでに50人ほどの方に意見をもらいました。ただ意見をもらうだけでなく、どのようなところで反応があるか、インパクトがあるページや飽きてくる箇所がどこなのか、ポートフォリオを見ている姿を観察するとわかってくると思います。同時に他の人のポートフォリオをたくさん見て、良いところを学んでいきましょう。
はたらくビビビット編集部より
麻生さんのポートフォリオはA3横で、中の画像も大きく配置されています。文字も見やすく、すっきり情報整理されているのが印象的でした。その制作やプロジェクトで「自分が何をしたのか」「何を学んだのか」が把握しやすいため、ストレスなく読み進めることができます。
読み手にストレスを感じさせないポートフォリオを完成させるまでには、「とにかく人に見せる・相手の反応を観察する・改善する」を真摯に繰り返し、数をこなしていました。そんなポートフォリオをつくる麻生さんは、これからゲーム業界でプレイヤーを楽しませるべくたくさんの試行錯誤をされるのではないでしょうか。どんなゲームが生み出されるのか、楽しみですね!
麻生さん、ありがとうございました!
(2019.11.26)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア