今回ご紹介するのは、虹を模したようなデザインの表紙がパッと目を引く児玉さんのポートフォリオです。交換留学の経験を武器に、留学先での作品も多数掲載していました。「見せたい作品を印象的にするには」「他と並んだときに印象づけるポートフォリオとは」を一緒に考えてみましょう!編集・執筆 /YOSHIKO INOUE
児玉 真綾 さん
京都造形芸術大学 芸術学部 情報デザイン学科卒業
デザイナー職内定
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
個性を出せる交換留学先での作品は、ページを割いて掲載
児玉さん:交換留学先の学校課題は、一目で作品の言語が違うことがわかり他の人とかぶることがなく、一番自分を表現できるものだったのでこだわりました。
日本語と英語が混ざったラフスケッチを載せたり、作品の一部をピックアップして全面に載せたり、ロゴデザインのページではボツになったものも何個か載せ、とにかくページ数を使って制作のプロセスまで伝わるようにしました。
プロジェクト活動は、ビジュアル制作とは違うアプローチを
児玉さん:実際にクライアントのいる「仕事」として立体をグループで制作するプロジェクト活動は、大学1年生の時から三年間続けてきました。グラフィックデザインとは違った方向から自分をアピールできるものだと思い、写真をたくさん載せました。
プロジェクトの目的・自分の役割・学んだことを明記し、完成した作品だけでなくクライアントへのプレゼンテーションの様子や模型制作、本制作までの過程がわかるようにしています。
書類選考を想定した自己紹介ページ。楽しい仕掛けも
児玉さん:就職活動の面接の前段階である書類選考を想定し、履歴書や作品だけでは伝わらない“自分のこれまで”をまとめたページです。大学で勉強していること・将来の夢・学歴・参加した展示会・プロジェクト・受賞歴を日本語と英語で載せました。
交換留学先の学校課題の美術館のブランディングで使用した6色のストライプと、ポートフォリオの中盤で出てくるポスターデザインで使用したイラストをモチーフにデザインしました。ページをめくったときに、見た人があっと気づいて楽しめるよう工夫しました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
広告、ブランディング、エディトリアル、映像、WEB
●コンセプト
カタログっぽくならず、見て楽しめるようなポートフォリオ
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介
- 交換留学先の学校課題
- グラフィックデザイン
- アニメーション
- イラスト
- マンスリーレポート
- 展示会の写真
- 学校課題の雑誌
- コンペ作品
- 学校課題のポスター
- 冊子デザイン
- フライヤーデザイン
- インターンの課題のwebデザイン
- グループ制作
- プロジェクト
- 裏表紙
●制作時期
4年生の5月
●制作プロセス
(1)作品をピックアップ
(2)ラフの制作
(3)作品撮影・写真加工、作品のブラッシュアップ
(4)InDesignでデータ制作
(5)印刷・製本
(6)ブラッシュアップ
(7)印刷・製本
●サイズ / ページ数
A4 / 84ページ
●制作に使用したソフト
InDesign 、 Illustrator、 Photoshop
●印刷 / 製本方法
大学のプリンターで印刷 / キンコーズでくるみ製本
●制作にかかった費用
約8000円
●制作するうえで参考にしたもの
雑誌、海外のデザインが載っているwebサイト、先輩のポートフォリオ
●制作中にもらったアドバイス
児玉さん:大学の先生に「作品を一つ一つテキストで説明したり、レイアウトに代わり映えがないとカタログのようになり見飽きてしまうので、ページによってレイアウトや写真による作品の見せ方も変えると良い」というアドバイスをもらいました。
●ViViViTページのこだわり、使い分け
児玉さん:企業にエントリーする際、データでのポートフォリオ提出が可能なところはデータで、それ以外は紙のポートフォリオを履歴書と一緒に郵送していました。ViViViT(ビビビット)ページは基本的に紙のポートフォリオと同じ作品を載せており、それを見て声をかけてきてくださった企業の方と実際にお話するときは紙のポートフォリオを持っていくようにしていました。
他の求人サイトには載っていないような企業がViViViTには多くあったので、気になった企業を探しやすかったです。こちらから企業ページに「話したい」を押させていただくときも、ポートフォリオページがあるので企業の方とスムーズにやり取りができて良かったです。(3年生の頃に大学の就職課からViViViTを紹介され知ったので、もっと早くから知っておきたかったなと思いました…!)
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
児玉さん:私は就職活動のスタートが遅くポートフォリオも作り始めるのが遅かったので、早いうちからとりかかることを強くおすすめします。そうすることで、ブラッシュアップを重ねる時間が取れて、より良いものが目指せると思います。
中身の作品はもちろんですが、レイアウトや写真の撮り方、紙の質感、製本などでポートフォリオ自体のクオリティは変わります。他の人のポートフォリオと並んだ時、どうすれば自分のものの印象が残るかがポイントです。時間もお金もかかるので大変だとは思いますが、ポートフォリオが良ければその分武器になり、自信がついて選考も上手く進むはずです。紙とデータのポートフォリオとViViViTページを上手く使い分け、めげずに頑張って下さい!
はたらくビビビット編集部より
インパクトのある表紙の児玉さんのポートフォリオをめくっていくと、「美術館のブランディング」のページで同じようなデザインに遭遇します。これは意図的なもので、ポートフォリオを手にした人が最初に見る“表紙”と、“自分が特に見てほしい作品”に統一感を出すことで、その作品をより印象的に見せたかったそうです。心理学の法則の一つに、繰り返し接することで好感度や印象がつきやすくなる「単純接触効果(ザイアンス効果)」というものがあります。基本的には1冊のポートフォリオの中では1作品1回しか登場しませんが、少しアレンジして何度も出すことで、この効果を見込めますね。
ビビットな色と大胆なレイアウトで読者を引きつけるポートフォリオからは、児玉さんの行動力や遊び心を感じました。
児玉さん、ありがとうございました!
(2020.3.18)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア