今回は、大手コンシューマーゲーム会社に内定した平山さんのポートフォリオをご紹介します。画集のようにただ作品を並べるのではなく、その作品の世界観までわかりやすく記載されています。「選考の直前までスキルアップを目指す」という姿勢で取り組まれた平山さんのポートフォリオを、さっそく見てみましょう!
編集・執筆 / HINAKO MIYOSHI , YOSHIKO INOUE
平山 智樹さん
多摩美術大学 情報デザイン学科
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
絵だけでなく世界観まで考慮して作品を魅せる
編集部:一枚絵のイラストを載せるだけでなく、ゲームの設定資料のように世界観まで紹介されています。建物は外見だけでなく内部の構造まで練られていたり、どんな住民がどう建築物を利用しているかを読み取ることができ、平山さんが「イラストを描ける」だけでなく「ゲームの世界観をつくる」力もあることがわかります。シェル構造やゴシック建築など、架空の建造物でも具体的に考えられており、作品を見た人がワクワクできる・説得力のあるイラスト作りを心掛けていることが伝わります。
趣味を入れたプロフィールで自分の人柄を伝える
編集部:プロフィールページでは、使えるソフトの一覧、参加したインターン、取り組んだ仕事などが記載されています。背景に載せている趣味の写真については、面接時にちょっとした話で盛り上がることもあったそうです。自身の好きな話題で面接のアイスブレイクできると、緊張が少しやわらぎそうですね!
見せたいビジュアルをしっかり見せ、伝えるべきことも忘れない
編集部:平山さんのポートフォリオでは、一番見せたい「イラスト」が大きくレイアウトされています。文字数は多くせずとも、採用担当が知りたい制作時間や使ったソフト、工夫した点などをしっかり記載しています。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ゲーム業界
●コンセプト
コンセプトアート、背景デザイン
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介ページ
- 2Dイラスト
- インターンの制作物
- 学校課題のグラフィックデザイン
- 美大受験作品
- 裏表紙
●制作時期
大学3年生の1月ごろ〜3月
●制作プロセス
(1)作品をピックアップ
(2)Illustratorでデータ制作
(3)キンコーズで印刷
(4)ファイリング
●制作に使用したソフト
Illustrator
●印刷 / 製本方法
キンコーズで印刷 / ファイリング
●サイズ / ページ数
39ページ
●制作にかかった費用
4000円
●制作するうえで参考にしたもの
ビビビットのポートフォリオ展
●表紙をつくるときに工夫した点
一押しのイラストを表紙にしたこと
●制作中、アドバイスをもらった人
ゲーム会社、イラスト会社のイラストレーター、漫画の出版社の担当編集
▼CHECK!フォトバッシュの使いすぎに注意!
▼フォトバッシュの作品は、ポートフォリオ内でこの作品のみ。
編集部:フォトバッシュとは、写真を合成してイラストを作成する技法です。平山さんは、フォトバッシュを使った作品はなるべくポートフォリオには載せないようにしていたそうです。オリジナルではなく素材を使っているため比較的簡単に制作ができ、本当の描写力が伝わりづらくなってしまうからです。
企業の人に自身のスキルを正しく伝えるためにも、フォトバッシュを使った作品の扱いには注意しましょう。
●ViViViTページとの使い分け
平山さん:ViViViTは企業とコンタクトを取ることに、紙は企業に持参するために使用しました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
平山さん:たくさん企業の方に見せて上手くなってください!
はたらくビビビット編集部より
「ポートフォリオの体裁を整えるのも大事だけど、個々の作品のクオリティを上げることも同じくらい大切」と話していた平山さん。就職活動が本格化する前の期間から積極的に企業(ゲーム会社やイラスト制作会社)に作品を持ち込み、多くのアドバイスをもらっていたそうです。その中でも「ただ“きれい”なだけでなく、色やモチーフの意味まで説明できる絵作りができると説得力が増す」というアドバイスが印象的だったとのこと。その結果、ポートフォリオでは一枚絵に加え、そのイラストの世界観までプレゼンされていました。その世界の文化や住民の行動などを説明することで、イラストがゲームに使用されるイメージが湧いてきます。
就活本番以降も、技術向上を目指して描き続けた平山さん。ポートフォリオや作品の出来はもちろん、その取り組む姿勢もお手本にしたいですね!
平山さん、ありがとうございました!
平山さんも活用した!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2020.8.24)
はたらくビビビット
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