「仕事を任せられそう」そんな印象を持ってもらうことを目指し、ポートフォリオ上でプレゼンできることを最大限に考えた3DCGデザイナー長谷部さん。採用活動で企業がポートフォリオを見る目的は、入社後の活躍が見込める、一緒に働きたいメンバーを探すため。それらを判断するために必要な制作スキルと人物像はどう伝えることができるのでしょうか。画像をクリック拡大してじっくりご覧ください。
編集・執筆 / YOSHIKO INOUE
※閲覧にはViViViTへの登録/ログインが必要です。
ここを見て!ポートフォリオの注目ポイント
■的確に言語化されたポートフォリオの解説コメント
編集部:今回の注目ポイントは、ポートフォリオの中身はもちろん、本記事のために回答いただいたご本人の解説コメントです。最後の質問「これからポートフォリオをつくる方へのアドバイス」ではポートフォリオをつくるうえでの大切な考え方を語っていただいています!3DCGデザイナー志望でなくとも、ポートフォリオづくりが必要な方にぜひ読んでいただきたいです。
さっそく本編を見ていきましょう!
PROFILE
長谷部 瑶 さん
HAL東京ゲームデザイン学科4年生
ゲーム用のプロップ制作と背景デザインをメインにCG全般を勉強中です。
2023年4月からゲーム会社にデザイナーとして就職します。
デモリール|Twitter|ArtStation|Sketchfab
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
クオリティの高さを入り口に、惹き込む表紙
長谷部さん:表紙はポートフォリオの全てと言っても過言ではないくらい、とても大事なページだと考えています。興味を持ってもらえなければ勝負にすらならないので、出来るだけインパクトのある表紙にしたいと考えました。背景一面を自信のある作品で埋め、注目を集めて作品のラインナップを紹介しています。また、作品画像の一部をズームアップして載せることで、作品の続き見てみたいと思わせることができると考えました。
作品画像は大きく見せる
長谷部さん:画像と文章のバランスは7:3程度で画像を大きく多めにしました。強いインパクトを残すために画像は大きいに越したことはありません。各作品ごとに必ず1枚は全面画像のページを作りました。また、ポートフォリオは就活時の応募以外にも使用する機会があります。インターンシップや面接時にポートフォリオを見ながら質問されたり、ビビビット展のような就活イベントでプレゼンする時にも使用されます。そのため、プレゼン資料のように文章は詳細に書き過ぎずに、質問や回答ができる余地を残しておきました。
作品情報は厳選。特筆事項と価値観が伝わる内容を
長谷部さん:すべての情報を載せるのは不可能であり、また情報が多すぎると見る方も億劫に感じてしまいます。そのため掲載する情報を厳選し、文章量も制限しました。見る方はプロなので、技術的な部分はそこまで詳細に書く必要は無いと考え、特殊な工夫をした部分や自分の感覚と考えについて重点的に紹介しました。デモリールと併せて制作したため、互いに補完するように載せる情報を選択しました。
パソコン表示を想定した構図、文字サイズの設計
長谷部さん:コロナ禍の影響もあり、対面での就職活動はほとんど無いと考えました。そのため基本的にデジタルデータでの閲覧を想定し、パソコン画面で見たときに最高の状態になるよう、画像の明るさや文字の大きさを決定しました。パソコン画面での閲覧なので、レイアウトは横向きにし、Webサイトを参考に文字の大きさをある程度大きめに設定しました。また、インターネットに繋がったパソコンで閲覧する可能性が高いため、外部サイトへのリンクを多数掲載しました。
※閲覧にはViViViTへの登録/ログインが必要です。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ゲーム業界
●コンセプト
高級感とインパクト
センスの良さと技術力をバランスよく伝えられるように情報量を調整しました。見た人の印象として「しっかりしてそう」「仕事を任せられそう」と感じてもらえるように意識しました。
●制作時期
4年制専門学校3年生の6月~12月
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 目次
- スキルセット
- 自主制作
- インターンの制作物
- 学校の課題
- プロフィール
- あとがき
●制作プロセス
- 作品をピックアップ
- ポートフォリオのコンセプトを決定
- 表紙をデザイン
- ページ構成を検討
- アイコン等の素材を作成
- InDesignでベースレイアウトを作成
- 作品制作時のスクショや別アングルの画像を用意
- InDesignで実制作
- 推敲とブラッシュアップを繰り返す
- PDFで出力
●ポートフォリオ制作に使ったソフト
Adobe InDesign
●サイズ / ページ数
A4 横 / 29ページ
●印刷 / 製本方法
なし(データ提出のみだったため)
●制作にかかった費用
なし(データ提出のみだったため)
●制作するうえで参考にしたもの
制作開始前にフリーランスで活躍している同職種の方々のポートフォリオを拝見し、全体の構成や載せるべき情報を勉強
●ポートフォリオプレゼンのための対策
長谷部さん:プロップのデザイン、ライティング、構図など、掲載したものは全ての部分において意味やこだわりを答えられるように、予め考えておきました。
●制作中にアドバイスをもらった人
長谷部さん:ゲーム会社が主催しているポートフォリオアドバイス会に積極的に参加しました。プロの方々の意見が聞けるだけでなく、そこがきっかけで書類審査免除の特別選考に繋がることもあるので、とてもおすすめです。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
長谷部さん:まずは何のためにポートフォリオを制作するのかをよく認識しましょう。私の場合は就職活動のためでした。そのため、とにかく書類選考を通過することを意識して制作しました。どんなポートフォリオなら「一度話してみたい」と思うか、どういう印象なら「一緒に仕事がしたい」と感じるか、選考する側の立場に立って制作しました。見た人にどんな感情を与えたいかよく考えてみてください。選考する側はあなたについて何も知りません。数少ない情報をもとに優秀で伸び代がありそうな学生を選ばなければなりません。優れた作品でも自分でアピールしなければ伝わることは困難です。しっかりと自己分析して、自分の個性や長所、強みや売りが何なのかを明確にし、発信していくことが重要です。ポートフォリオはその手段の一つだと考えてください。ViViViTやSNSなど、他のコンテンツも上手く活用し、自分自身をブランディングしていきましょう。応援しています!
編集部:長谷部さん、ありがとうございました!
長谷部さんも使った!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2022.12.27)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア