ポートフォリオづくりで最も聞くべきは「自身が志望している企業の意見」。大手広告制作会社のクリエイティブプランナーに内定した大島さんのポートフォリオは、現場のアートディレクターの方にフィードバックをもらいながらつくられました。
「疑問が生じないクオリティ」を基準に選抜された作品たちと、そのまとめ方を紐解いていきましょう!編集・執筆 / YOSHIKO INOUE
ここを見て!ポートフォリオの注目ポイント
■提出企業の評価方法に合わせてカスタマイズ
編集部:広告制作会社に内定したこのポートフォリオは、文字情報が少なく作品メインの構成です。制作時間やプロセス、使用ソフトの情報も記載していません。大島さんは提出業界のアートディレクターの方々にフィードバックを受けるなかで、「なぜ?という疑問が生じないクオリティの作品」や「必要最低限の情報かつ画としてのおもしろさ」「本として美しく成立していること」を求められていると感じたそうです。それを受け、情報を削ぎ落とすブラッシュアップを行ったと話していました。
一方、他業界に提出する場合は制作プロセスなども載せたそうで、企業の評価の仕方に合わせて見せ方を調整したことがわかります。面談や説明会、求人情報など就活中にはさまざまなシーンで企業や業界ごとの“最適解”をリサーチできると思います。
始めは基本を踏襲しながら、提出企業の正解を目指してカスタマイズしていきましょう!
PROFILE
大島 さん
武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科 2023年3月卒業
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
A3横で大きく印刷される作品写真。妥協しない一枚を
大島さん:写真撮影は一眼レフを使い、必ずPhotoshopで見え方や光のバランスを調整しています。内容に説得力を上げるために使っているシーンを撮影し、友達などにモデルになってもらいました。
花瓶のプロダクトは、作品の世界観を最大限演出できるよう入れる花の本数なども検討しました。
▼A3横冊子で全画面に写真が配置されるとインパクトがありますね!
デザイナーの価値観や興味関心が現れる“本棚”を切り取る
大島さん:受けた会社は印刷したポートフォリオの提出を求められる機会が多かったので、面接では何冊か持参し、実際に触ってもらいながらプレゼンしました。表紙は開いた時に驚いて欲しかったのでなるべくシンプルにしています。
編集部:自己紹介ページにはご自身のお部屋の本棚の写真を大きく掲載。「本棚は人を表す」と言われることがありますが、興味関心や好きなもの、デザイナーの価値観を伝えるのに有効そうですよね。面接で自己紹介を行った際、話題が広がることもあったそうです!
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
広告・テレビ・玩具・ゲーム業界
●コンセプト
自分の人柄や好みだけではなく、普段の考えていることや作品の独創性が伝わるポートフォリオ
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介ページ
- グラフィックデザイン①
- グラフィックデザイン②
- プロダクトデザイン①
- プロダクトデザイン②
- プロダクトデザイン③
- インターンの制作物①
- インターンの制作物②
- プロダクトデザイン④
- グラフィックデザイン③
編集部:載せる作品には一つひとつに役割を持たせ、自身の着眼点や展開力が伝わり、性格が表れるポートフォリオを目指したそうです。
●制作時期
大学3年の2021年10月〜2022年3月
●制作プロセス
(1)作品をピックアップ
(2)InDesignでデータ制作
(3)世界堂で出力&テープ製本
●ポートフォリオ制作に使ったソフト
InDesign
●サイズ / ページ数
A3横位置 / 見開き35ページ
●印刷 / 製本方法
大学の世界堂でレーザープリンタ / テープ製本
●制作にかかった費用
約13000円
●制作するうえで参考にしたもの
先輩のポートフォリオ 現職のアートディレクターからのアドバイス
●制作中にもらったアドバイス
大島さん:電通でアートディレクターをしていらっしゃる窪田新さんと玉置太一さんに見ていただき、なるべく文字を使わずに説明できるわかりやすい内容にしました。
友人にも見てもらい、「さらっと見たときにどう思うか」を聞いたりその反応を観察したりしました。良いアウトプットには疑問が生まれないはずだと思っているので、説得力のある作品だけを残しています。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
大島さん:ポートフォリオは人に見せれば見せるほど良くなります!
ぜひ先輩や先生などいろんな人に見せていってください!!
編集部:大島さん、ありがとうございました!
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(2023.3.17)
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