今回ご紹介するのは、ファンシー雑貨を手がける会社のデザイナーに内定した、古家さんの就活ポートフォリオです。数多くのイラスト作品と、それをグッズ化した作品も多く掲載しています。雑貨業界のデザイナーという狭き門をくぐり抜けたポートフォリオは、どのようなものなのでしょうか。さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / RINA SAITO,YOSHIKO INOUE
古家さくらさん
ふるいえ さくら
京都精華大学デザイン学部イラスト学科イラストコース在学。
ファンシー雑貨デザイン職に内定。
PICKUP!
まず、ポートフォリオ制作でこだわった点を教えていただきました。
自分のデザインの個性を、イラストや手触りで伝えた表紙
古家さん:表紙では、私の大好きな「パン」と「おじさん」をデザインし、自分の個性をアピールしました!ほんわかとした魅力を引き出すため、また手に取ったときに「おっ」と思っていただくために、イラスト部分を「ソフトウーペIJ」というモコモコした手触りの紙に印刷し、無地の厚紙表紙に貼り付けました。
実物や販売実績も載せ、マーケティング力をアピール
古家さん:オリジナル雑貨は、デザインデータだけでなく、実物写真も載せました。さらに、イベントや雑貨店で販売した際の写真や販売数も記載し、マーケティング力をアピールしています。
凝ったページデザインよりも、わかりやすくシンプルに作品を見せる
古家さん:凝ったページデザインや字詰めをするのは苦手なので、シンプルに「たくさんの作品と必要な情報」を載せることを心がけました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ファンシーグッズ業界
●コンセプト
ファンシーグッズ業界で必須の「デザインの幅」「デザインの展開力」を見せながらも、自分の個性が伝わる、見た人の印象に残るポートフォリオ
▼CHECK!雑貨業界では、ここが見られる!
①展開力
いろんな会社の選考を受ける中で、「展開力」が求められていることに気づいた古家さん。それを受け、キャラクターグッズとして掲載していた「缶バッチ」と「ポチ袋」に、「メモ帳」と「メモセット」も追加しました。
②幅広い表現力
ファンシーグッズ業界といえど、商品を購入するターゲットは中高生やこどもだけではありません。選考課題では大人向けのデザインを求められることが多かったそうです。
▼ターゲット(女子大生〜20代女性)に人気の色合いやモチーフを、デザインに取り入れたレターセットを制作。
③リサーチ力
選考中は、作品について「何を参考につくりましたか?」と聞かれることも。雑貨業界では、デザイナーにもマーケティング力が求められます。雑貨店やSNS、雑誌などからトレンドを調べ、自分らしさとかけ合わせて制作したそうです。
▼中高生に人気の雑貨には「線画のタイポグラフィ×イラスト」デザインのものが多いことに注目。この作品で、幅広いテイストが描けることを評価してもらえたそう。
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介ページ
- もくじ
- デジタル作品(オリジナル雑貨)
- デジタル作品(グラフィックデザイン)
- アナログ作品(イラスト)
- アナログ作品(キャラクター)
- アナログ作品(絵本)
- アナログ作品(その他)
- お仕事作品
- お礼のことば
- 裏表紙
●制作した時期
大学2年生の1月頃につくり始め、
就職活動用の本制作は大学3年生2月頃から
●ポートフォリオの制作プロセス
(1)InDesignでデータを製作しながら作品をピックアップ
(2)自宅プリンターで印刷
(3)製本屋さんで製本
(4)表紙・裏表紙に別紙に印刷したイラストを貼って完成
▼面接にはポートフォリオと一緒に、グッズの実物を持参していたそう。
●制作に使用したソフト
In Design CC 2015
●製本・印刷方法
自宅のプリンターで印刷 / 製本屋さんでくるみ製本
●サイズ・ページ
A4サイズ / 48ページ
●制作にかかった費用
約4000円
●ポートフォリオを作る上で参考したもの
先輩のポートフォリオ
●ポートフォリオ制作時に見てもらった人
学科の先生や、実際にファンシー雑貨業界で働いていた方
▼「自分の好きなものだけでなく、幅広いデザインの作品を」というアドバイスをもらい、トレンドを取り入れたり画風を変えたりと試行錯誤した。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
古家さん:雑貨のデザインとポートフォリオの編集はまた別のスキルなので、私のように編集作業が苦手な方は多いのではないかと思います……。でも、初めから「完璧に作ろう!」と固くならず、自分の見せたい部分に絞って取りかかると制作しやすいですよ。
私の場合は表紙の紙の触り心地で表現したのですが、自分らしいちょっとした工夫を入れると、グッと印象に残るポートフォリオになると思います。ぜひ取り入れてみてください!
はたらくビビビット編集部より
古家さんは、就活を進めるうえで一番の気付きを「自分の好きなもの=売れるものとは限らない。と知ること」と話していました。古家さんが好きなテイストは、アナログタッチとパンのモチーフ。学校課題では流行を意識したことはなく、「意識してしまったらありふれたものしか出来ないのでは」と考えていたそうです。しかし就活時、雑貨デザイナーの方のお話をきっかけに意識が変わり、ポートフォリオを制作しながらいろんなデザインに挑戦しました。すると、その後再び好きなテイストで制作しようとした際、自分でもデザインスキルの広がりを感じたそうです。”自分らしさ”と”就活用”の狭間で悩んでいる方には、心強いエピソードではないでしょうか。
そんな古家さんから、今後どのようなファンシー雑貨が生み出されるのか、とても楽しみですね!
古家さん、ありがとうございました!
古家さんも活用した!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2019/07/29更新)
(2019.1.21)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア