今回紹介させていただくポートフォリオは、グリー株式会社でゲームデザイナーとして働く宮部さんの就活ポートフォリオです!大学生の時、ゲーム会社を中心に受けたという宮部さん。キャラクターやイラスト作品が沢山載ったポートフォリオ、どういったところを意識して制作されていたのか覗いてみましょう!編集・執筆 / AYUPY GOTO
宮部 遼太朗みやべ りょうたろう
GameDesigner
2009年京都精華大学ビジュアルデザイン学科入学。幼少期から絵を描くことが好きで、大学1年次にはイラストだけではなく、映像やペーパークラフトなど、幅広い分野を学ぶ。3年次にアメリカの大学へ留学し、アニメーションなどを学ぶが、アニメではなくゲーム作りに携わりたいと決意。帰国後はゲーム会社を中心に就活し、2013年グリー入社。1年目でソーシャルゲーム「ハコニワ」のUI改善を任され、その成果が認められアートディレクターを経験。デザインだけでなく、ゲーム企画も経験するなど、現在までに約10プロダクトの制作に携わる。”デザイナー”という枠に囚われず、幅広く業務を担当している。
PICKUP!
まずは、宮部さんお気に入りのポートフォリオページをご紹介します!
(1)表紙・目次
宮部さん:表紙や目次、テーマの区切りには、ピンクのビビットカラーを使ったページを挟みました。ページの変化がわかりやすいように強弱をつけるためです。プロフィールをあまり書いていないのは、応募の多い会社は何百、何千のポートフォリオを確認しないといけないため、文章をいろいろ書いても読まれないという話をよく耳にしていたからです。
また、ドクロのキャラクターを表紙に持ってきているのは、幼稚園の頃からシルクハットとドクロが好きだからです。(笑)
(2)不思議の国のアリスをイメージして作った、グラフィックページ
宮部さん:大学の絵本制作の授業で制作したイラストです。絵本に載せているイラストの中で、お気に入りのものを厳選して載せました。
(3)クロッキーページ
宮部さん:こちらは普段スケッチブックに書いてあるアイデアスケッチの一部です。かわいい絵、毒々しい絵、苦労していた時期に描いていたものは特に思い入れがあります。決して、作り込んだ完成度の高い作品ではないのですが、発想力の部分を見ていただきたかったので載せています。
(4)ペーパークラフトページ
宮部さん:ずっと趣味で作っていたものです。平面のイラスト作品が多い中で、急に立体物が入るとインパクトがでます。また、面接で「こういう物も作れます」と見せたときは、面接官の反応が良かったです。
(5)不思議の国のアリスの絵本
宮部さん:大学の課題で、不思議の国のアリスをイメージしてキャラクターをつくり、そこから絵本も作りました。(2)で載せていたイラストの原型です。絵本が小さいサイズだったので、実物をポートフォリオのファイルに入れて、面接のときに見せながらプレゼンしました。
就活ポートフォリオについて、さらに詳しくうかがいました
ポートフォリオの制作方法
エントリーしていた7社にポートフォリオを提出しないといけなかったので、量産しやすい形にしました。プリンタで印刷できるサイズに設定し、印刷したものは市販のファイルにまとめました。広告業界等を受ける場合だと、パッケージからこだわったほうが良いと思いますが、ゲーム会社はパッケージよりも、中身の見やすさや、中に載せている作品のクオリティを重視しているのかなと感じました。
ポートフォリオのこだわり
キャラクターを沢山描いていたので、それぞれのキャラクターのストーリーや世界観が伝わるように背景イラストや装飾をつけました。淡々と作品が並ぶものではなく、絵本を見ているような感覚でそれぞれのキャラクターの世界観を感じてほしかったのです。クロッキーを見せる時は、背景にテクスチャを貼ってノートっぽい演出をし、インパクトを出しています。あと、自信のあるイラストは見開きで見せられるように構成しました。
意識した点
- ページネーションは、描いた順番ではなくジャンルごとにまとめる。
- 目次をつける。
- デザインを統一するために、使用するフォントも絞る。
- ポートフォリオは絵だけ見てもらいたいので、プロフィールはシンプルにする。
掲載した作品内容
絵本、デッサン、ペーパークラフト、ゲーム、アニメーション
コンセプト
コンセプトは特になし
サイズ
A4サイズ
掲載作品数
80個
ページ数
80ページ
使用したソフト
Photoshop、Illustrator、動画に関してはAfter Effects
制作した時期
大学3年生の2月〜3月の間。1ヶ月間で制作しました。
はたらくビビビット編集部より
ポートフォリオのパッケージは黒のファイルでシンプルですが、ファイルを開いた時の作品のボリュームにびっくりしました。4年間コツコツとイラストを描き続けた宮部さんだからこそ出せる量だと思います。掲載する作品数は多ければ良いというわけではありませんが、1つ1つ丁寧に作られているので、仕事でも完成度を上げて作りきってくれそうな印象を持ちました。
“ゲーム会社はパッケージよりも、中身の見やすさや中に載せている作品のクオリティを重視していると感じた”と、宮部さんの言葉にもありましたが、確かにゲーム会社のグラフィッカー志望の方は、ポートフォリオパッケージの演出に時間をかけるよりも、中に載せるイラストのクオリティを上げることや、イラストが見やすいデザインを制作することに時間をかけたほうが良いのかもしれません。掲載されているイラストは、宮部さん独特の世界観ではありますが、様々なデザインやテイストに挑戦している様子がポートフォリオからうかがえるので、宮部さんと一緒に仕事をすれば、様々なゲームがつくれそうな気がしてきました。
ゲーム会社への就職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
宮部さんありがとうございました。
(2015.5.29)
著者
後藤あゆみ
はたらくビビビット編集長。 フリーランスで“『ツクル』を仕事にしたい未来の子供たちのために。”を、コンセプトとして活動。クリエイター支援、スタートアップ支援を行っています。おばあちゃんになるまでに美術館をつくるのが夢です 。
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