今回ご紹介するのは、自動車メーカーのプロダクトデザイナーに内定(2021年卒)された近藤さんのポートフォリオです。豊富なスケッチとわかりやすいコンセプトシートは、これからカーデザイナーを目指す多くの方に参考にしていただきたいと思います。さっそく覗いてみましょう!編集・執筆 /YOSHIKO INOUE
近藤 秀哉
専門学校桑沢デザイン研究所
総合デザイン科プロダクトデザイン専攻
元社会人、再進学
2020年春から国内自動車メーカーデザイナー
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
ポートフォリオのなかで特にこだわった部分を教えていただきました。
自動車業界は特に大切!スケッチを充実させる
近藤さん:アイディアスケッチのページはとにかく見開きいっぱいにスケッチが広がっている構成にするよう心がけていました。自動車業界は特にスケッチが大切だと言われているので、アイディア展開の幅の広さやスケッチ描写力をアピールするため、アイディアスケッチにはできるだけ多くのページを割きました。個々のスケッチの配置に関しては、どのようにして最終案のスケッチにたどり着いたのか、そのプロセスを時系列順に並べ、キースケッチは大きく載せるなどして、そのページを見ただけで、その作品における重要度と時系列がわかるような配置を心がけました。
文字数は必要最低限で、ビジュアルで伝える
近藤さん:見ただけで相手にどういう作品なのか伝わるよう、とにかく文字数を減らしました。ポートフォリオを流し見されても、どんなコンセプトでどういう作品なのかが伝わるように説明的な文章はなるべく無くし、作品の写真やスケッチをメインにしたポートフォリオにしました。
目次の説明はアイコンで
近藤さん:目次のページでは作品のタイトルだけではなく、作品の完成形をアイコンのように加えることで、このポートフォリオにはどのような作品があって、どういう順番でやってくるのかが、見る人にすぐわかるようにしました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
自動車業界
●コンセプト
アイディアスケッチの展開力、愛着の湧くプロダクトを創りたい!
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- プロフィール
- 目次
- 学校課題①カーデザイン
- インターンの制作物×2
- 学校課題②スピードシェイプ
- 学校課題③テープカッター
- カースケッチ
●表紙をつくるときに工夫した点
近藤さん:一目で「この人はカーデザインがやりたいんだな」とわかってもらえるよう、クルマのスケッチを大きく載せました。
●サイズ/ページ数
A3横 / 43ページ
●制作時期
2年生の4月ごろ~3年生の1月末
●制作プロセス
- 作品をピックアップ
- 作品の順番やページ数を検討
- スケッチやレンダリングを見やすく配置
- Illustratorで作品ごとにデータを制作
- 先生や友人に見てもらい修正を繰り返す
- キンコーズで印刷
- ファイリング
●制作に使用したソフト
Illustrator、Photoshop、Catia V6
●印刷 / 製本方法
キンコーズで印刷 / ファイリング
●サイズ / ページ数
40ページ前後
●制作にかかった費用
10000円ほど(印刷代、用紙代、ファイル代)
●制作するうえで参考にしたもの
先輩のポートフォリオ、自動車のカタログ、issuu
●制作中にアドバイスをもらった人
学校の先生、企業説明会でお会いしたデザイナーの方、友人
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
近藤さん:2年制、3年制の専門学校でカーデザインを志している人はとにかく早くポートフォリオを作り始めてください!3年制の人は1年生の後半から始めるくらいでちょうどいいと思います。納得のいく出来にならなくても、それをたたき台にしてバージョンアップを日々コツコツ繰り返していけば4年制の学校のライバルと戦えます。
あとはPhotoshopでクルマのレンダリングスケッチを描いてください。2年制、3年制の学校ではカリキュラム上教えてくれなくても、カーデザインでは必要です。上手に描けないからやらないというのではなく、下手でも自分なりに描いてみるべきだと思います。YouTubeにたくさんプロの動画も上がっているので、見よう見まねでもトライする姿勢が大切だと思います。
でも最も大切なのは、とにかくスケッチを描きまくること。鉛筆で、ボールペンで、いろんな画材を使って描きましょう。これに尽きます。
はたらくビビビット編集部より
カースケッチが数多く掲載されているのが印象的な近藤さんのポートフォリオ。カーデザイナーの仕事では、アイデアスケッチを何度も繰り返し、手を動かしながらデザインを決めていきます。新卒デザイナーでも、基本のスキルとして求められるようです(カースケッチを競う学生向けのコンテストもあるそう!)。そして同時に、デザインした車のコンセプトや特徴、乗車して得られる体験などについても作品説明ページで簡潔にまとめていました。
カーデザイン業界のポートフォリオは「就活で別業界にシフトチェンジするときは1から作り直す必要がある」というくらい専門性の高いもの。下級生のうちからインターンシップやコンペなどに参加すると、業界の就活について知識を深めることができるでしょう。近藤さんのアドバイスを取り入れ、ポートフォリオをブラッシュアップしていきたいですね!
貴重なポートフォリオをありがとうございました!
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