デザインを色濃く学べる。桑沢デザイン研究所夜間部の2年間

デザインを学ぶサービスや書籍がたくさんある今、「学校だからこそ得られる学び」はどんな瞬間に見つけられるでしょうか。例えばそれはクラスメイトと自分の作品を比べたときかもしれないし、グループ制作で共同作業をしたときかもしれません。学校で得る経験には、その一つ一つに「他者」が存在し、デザインスキルを上げるヒントが隠されています。
今回は、【桑沢デザイン研究所 夜間部】の在学生の方にお話を聞きながら、課題で制作した作品を見せていただきます!編集・執筆 / YOSHIKO INOUE , 挿絵 / KANAKO HONDA

もくじ

● どうせお金をかけるなら、刺激的な環境を。あなたはどんな環境でデザインを学ぶ?
● 正直ハード!でも着実に成長できる実技課題
● どうして桑沢に?人それぞれの「選んだ理由」

 

● どうせお金をかけるなら、刺激的な環境を。
あなたはどんな環境でデザインを学ぶ?

デザインスキルの習得・体得は練習と実践の積み重ねです。
「デザインとは他者のためにあること」
「ターゲットやコンセプトを定めていないと、後の作業で苦労する」

など、実務の場では基本と言われることも、体得するのは難しいものです。

それならば!とデザイン科のある大学や専門学校に通うとしたら、どんな環境を選びたいですか?入学後の成長は自身の努力と行動次第ではありますが、せっかくなら「意欲的なクラスメイト」「充実したカリキュラム」「学生に真摯に向き合ってくれる先生」がいる学校に身を置きたいのではないでしょうか。

今回は、数ある専門学校のなかでも歴史ある「桑沢デザイン研究所」夜間部の学生さんにお話を伺いました。進学のきっかけも経歴も十人十色。クラスメイトや先生など周りの人との関わりが、自身の成長につながっているようです。
「今はデザインから離れた環境にいるけれど、デザインを学びたい!」「専門的に学んでデザイナー職に就きたい!」と考えている方はぜひご覧ください。

桑沢デザイン研究所「夜間部」とは

1954年に日本で初めて誕生したデザイン学校で、その歴史は夜間授業から始まりました。夜間部では「ビジュアルデザイン」「プロダクトデザイン」「スペースデザイン」「ファッションデザイン」の4コースに分かれ、デッサンやスケッチなどの基礎と、専門分野の知識や技術を学びます。授業は月〜土曜日の18時〜21時過ぎまで行われ、学習の流れや時間割は学校ホームページにも掲載されています。
2019年度のデータでは、入学時の平均年齢は24.2歳・全体の約9割が既卒となっており、多様な価値観をもった学生たちが集まっています。

・専門学校桑沢デザイン研究所 https://www.kds.ac.jp/curriculum/design/

お話を伺った在学生の皆さん

①進学のきっかけ ②日中の過ごし方

● 正直ハード!でも着実に成長できる実技課題

クラスメイトの作品と比べることで、
制作に他者目線を取り入れられるように

ー 印象的な学校課題について教えて下さい。

石原さんシンボルマークを制作する課題です。各々が自分なりのコンセプトを作り、ビジュアル化まで一貫して行いました。何も知らない他人にもコンセプトが伝わりやすいビジュアルを作ることは想像以上に難しく、独りよがりなデザインにならないよう心がけました。

制作したシンボルマークを使用して、レターヘッド・名刺・封筒をデザインする課題も印象的です。お洒落さだけを優先するのではなく、それ以前に、必要な情報が最適な文字サイズで見やすく配置され、相手のことを考えてデザインされていることが大事であると改めて学びました

ー 学生生活で自身の成長を感じるのはどんなときですか。

石原さん:制作課題をクラス内投票したときです。自分が制作したデザインに全く票が入らないことがあり、制作時はそれなりに自信があっても、世論は全く違う意見である場合もあるのだと痛感しました。悔しさはありましたが、票が入っている他のクラスメイトの作品を見るとやはり良いなと感じたので、他の作品から自分とは違う視点を学ぶことの重要性を感じた機会でした。

ー クラス内投票は、シビアなようで学びの多い場です!
“相手を想うデザイン”について体得できる、実践的な場ですね。

 

アイデアを形にするには、形にする前作業も大事な過程

ー 印象的な課題作品を教えてください。

六車さんモデリング(スピードシェイプ)の課題です。
アイデアスケッチ、粘土モデルの検討、モデリングレジンをこねて削る、塗装する、撮影するなど、すべて初めてで新鮮だと思いつつ、行程が多く苦戦しながら制作しました。


テープカッターの課題では、たくさんアイデアスケッチを描いてはダメ出しをくらい、どこがいまいちなのか、問題があるのかひたすら講師に質問しました。シンプルなデザインは実は一番難しいと教わったのが印象に残っています。


最後に、手とモノの関係性を考えながら、美しく機能的な道具をつくるハンドツール(掃除用品)の授業では、コンセプト設定の重要性に気づかされました。
別の制作の際、コンセプトに満足できないままモデル制作まで進んでしまい、評価が良くなかったことがありました。その反省を踏まえ、掃除用品の制作ではコンセプトやターゲットをなるべくはっきりさせたところ、アイデアを形にする作業がよりスムーズに。就活課題の締め切りの時期と重なり切羽詰まった状態で制作しましたが、クラスメイトからの評価も良く自信につながりました。

ー 学生生活で自身の成長を感じたのはどんなときですか。

六車さん:スケッチ表現が一番成長を感じます。描いては先生に添削してもらうを繰り返す中で、表現の幅が広がったり、早く仕上げられるようになったりします。また、添削してもらうことがモチベーションにつながっていました。

ー コンセプトをなるべく具体的に決めておくことは、実務の場でもとても重要です!信頼できる先生による添削は、やる気をもらえますよね。

 

高いクオリティを量産することを求められる環境で、成長

ー 印象的な課題作品を教えてください。

矢野さん「モデリング(スピードシェイプ)」の課題のテーマは「8割の人が美しいと思う形」「無彩色以外の色で塗装」でした。ひたすらスケッチで形を検討するのですが、豊富なバリエーションで「美しい形」を量産するのが難しかったです。改めて「美しい形とはなにか」を考え、物体の自然運動とその軌跡をベースにしました。質量のある物体が空中に打ち上げられ、停止してからまた落下してくることをイメージとして具体的に捉えられるようになってから、カラーチョイス含めスムーズに進められるようになりました。


「手に持つ掃除ツール」の課題では、クラス内投票で2位をいただけて嬉しかったです。自分の趣味に寄せた「コンパクト焚火グリル用掃除ツール」というニッチな製品だったのですが、いろんなアドバイスや意見を盛り込んで仕上げました。

「アロマドライヤー」の課題ではターゲットを途中で変更しました。クラスメイトに形との矛盾点、機能や形の美しさなど多方面からアドバイスをもらい、一回冷静になって考えることができました。自分のデザインに突っ込み所がたくさんあるのはあまり良くないことかもしれませんが、興味を持ってもらえる面白さがあったのかもしれないとプラスに考えて、最後まで仕上げることができました。

ー 学生生活で自身の成長を感じたのはどんなときですか。

矢野さん:プロダクトデザインは大きく分けて「ターゲット設定/デザインスケッチ・検討/モックアップ制作/プレゼン/作品のファイリング」5つのプロセスがあり、そのどれもが力量として必要になる総合格闘技のようなものです。年間を通してひたすら取り組み、少しずつ質が上がってきたと思います。
また課題ごとのプレゼン資料や作品ファイルは、回数をこなすことで「見てわかりやすい資料」がわかってきました。クラスメイトにも「プレゼンの時より資料が見やすくていいね」と言ってもらえました。

ー 一人作業だと盲目になりがちなアイデアも、人に意見をもらうことで新たな気付きを得られますよね!クラスメイトと切磋琢磨している様子が伺えます。

 

鳥の目をもってプロジェクトに取り組む重要性を体得

ー 印象的な課題作品を教えてください。

Lisaさんエディトリアルの授業での「食に関する雑誌の制作」です。グループに分かれてテーマを決め、表紙からページの内容・文字組み・構成・紙など全て決めて制作しました。雑誌を制作すること自体には面白みを感じましたが、各ページのレイアウト構成、文字組みなど実際にやってみると、考えなければならない要素が多く苦労しました。
ですがこの課題をきっかけに、売られている雑誌を見たときに“雑誌の作り”について勉強になることも多く、苦手意識を持っていたエディトリアルに興味を持つことができました。またグループワークだったため、各々がアイデアを出し合って取り組むことができ、1冊の雑誌が完成した時は感動しました。

ー 学生生活で自身の成長を感じたのはどんなときですか。

Lisaさん:優先順位をつけて課題に取り組めるようになったときです。入学当初は、課題の中でどこまでやり切るかの合格ラインをあまり意識してませんでした。そのため、アイデアにこだわりすぎて手を動かす時間が遅くなり仕上げがおろそかになってしまうことも。しかし、他の人の作品を見たり先生からの講評を受けたりする中で、それぞれの課題に対してどこまで力を入れるか、全体を考えて課題に取り組めるようになってきました。桑沢は課題が多いので、作業量や手順も最初に考えていかないと課題をこなすのに苦労します……!

ー デザイン制作は、アイデア〜アウトプットまでにさまざまなプロセスがあります。決められた期日の中でのスケジュール管理も、作品のクオリティ担保のために大事になりますよね。

 

デザインの本質を理解できたとき、学びがもっと楽しくなった

ー 印象的な課題作品を教えてください。

渡辺さん渋谷にある商業施設のフロアガイドを作る課題です。フロアごとに色の偏りが出ない組み合わせにしたり、重ねた時に見やすい線幅の検証を何度も行いました。先生と建築士の父に意見を聞きながら見やすいフロアガイドを目指しました。
講評会では、「実物が置かれているのかと思った」とコメントをもらったり立体物を評価してもらえたりして、やりがいと自信につながりました。工作室でアクリル版に穴を開けたり、ビスを削ったり、自分の手で形を作り出していく工程はとても楽しかったです。

ポスターのグループ制作課題です。アートディレクター(AD)・デザイナー・イラストに分かれ、私はADになり主に進行とイメージ決定を行いました。完成直前にほぼすべてにダメ出しを受けてしまったのですが、イラスト担当がさらっと描いた絵から、文字、背景……と、トントン拍子に進み、最終的にクラス投票で1位をとることができました。
一緒に組んだ2人が話し合いで意見をはっきり伝えてくれたおかげでディベートする楽しさを学びました。

ー 学生生活で自身の成長を感じたのはどんなときですか。

渡辺さん他者へ伝えるためのデザインが楽しいと感じるようになりました。入学当初、それまで学んでいたファッションデザインと考え方を変えなければと気づき、悩んでいました。先生方に「デザインで大切なことは何ですか」と聞いてまわり、帰り道に「デザインとは」について友人と談義しては正解が出ずの日々を過ごしました。
ある授業で「デザインとは?」という問いにクラスメイトが「デザインは他者への伝達方法の1つの手段」と言っていてハッとしました。客観性とは、自分の考えを他者に理解してもらうために必要な観点なのだと気づいたんです。それから、アイデア出し時点から周囲に意見をもらい、頭の中のデザインをそのまま相手に伝えるにはどうしたら良いか考えるようになりました。

ー グループ制作やクラスメイトとの何気ないデザイン談義は、通学してデザインを学ぶ環境ならではの醍醐味ですね!デザインスキルの成長は、つくって・考えての繰り返しであることが伝わってきました!
(渡辺さんの作品サイトはこちら!)

 

● どうして桑沢に?人それぞれの「選んだ理由」

学校課題を見せていただき、クラスメイトや先生と意見を交わしながら制作を進められる、刺激的な環境であることが伝わってきました。そんな在学生の皆さんは、進学したいと考えたときに、どうやって学校を探し、どんな決め手で選んだのでしょうか。

①学校の探し方 ②桑沢デザイン研究所を選んだ決め手

①就職実績・評判から選ぶ

就職したい業界が明確になっている場合は、やはりその業界の就職実績は気になるところです。学校見学やホームページなどで、学校に来ている求人の内容や卒業生の就職先をしっかり確認しましょう。

●講師や職員の方々のサポートも手厚く、課題でも就活でも心強い存在です。本当に課題が多く、大変ですが、その分濃い学びがあると思います。(六車さん)
●学年の垣根があまりなく、先輩達の講評会やポートフォリオを見せてもらえるので2年生になった時のイメージがつきやすいです。(渡辺さん)

 

②評判から選ぶ

学校を比較するときに気になるのが「評判」。Lisaさんのように実際に通っていた人から聞けるのが一番ですが、インターネットでいろいろ見ることもできます。そのとき注意したいのは、その情報は正しいか?最新か?というところ。良い評判もそうでないものも、個人の書き込みやブログはあくまで1意見と捉えましょう。
オープンキャンパスや学校見学に参加して先生や職員、在学生の方とお話し、自身の目で判断するのがおすすめです。

●夜間部があることを一般入試の締切1ヶ月前に知り、急いで見学をさせてもらったのですが、事務の方が丁寧に学校の設備や授業内容、試験のことを説明してくれました。(渡辺さん)

 

③環境から選ぶ

在学生の皆さんに夜間部のおすすめポイントを聞いたときにもっとも多かったのが、クラスメイトの経歴や年齢が幅広く、それが刺激になるという意見。

●社会人経験を経て、という同じような経歴や志を持ったクラスメイトが多いので、モチベーションに繋がります。(石原さん)
●私の学年は、10代から50代まで年代が幅広く、お子さんのいらっしゃる方までいます。職種も華道の先生や幼稚園の養護さん、某有名メーカーの設計さん、元栄養士さん、大学院生といろいろです。普通に考えたら同じ部屋で同じことをやるとは思えない人が集まって、課題に取り組んでいます。課題に対する取り組み方もさまざまで、それがとても刺激になります。(矢野さん)
●年齢層が幅広く、面白いバックグラウンドを持っている人が多いので、同じ課題に取り組んでも全く違う観点で見ていて、周りの人たちの意見を聞くのはとても面白いです。また新しいことに興味を持つきっかけになります。学ぶことに意欲的な人達ばかりなので、課題に追われながらも楽しんで学校生活を送っている人が多いのが桑沢の特徴だと思います。(渡辺さん)

さらに、【原宿駅から徒歩9分、渋谷駅から徒歩12分】という立地の良さ、第一線で活躍する豪華な講師陣の授業を受けられるのも魅力です。

●渋谷駅にあるので、デパートなどから流行りなどをキャッチしやすかったり、東急ハンズや印刷会社、紙屋など周辺に揃っているので必要なものを揃えるにも学生にとってはとても良い立地にあって良かったです。(Lisaさん)
●先生が知識人ばかりなので、話していて面白くて為になることばかりです。非常勤の先生方からはリアルな現場の話を聞けますし、常勤の先生方は気さくに相談に乗ってくれます。現場で働いている方達なので、いつも納得させられる解決策をいただけます。(渡辺さん)

 
もし「夜間部で学び直しをしたい。デザイナーとして就職したい」と考えたら、桑沢デザイン研究所に学校見学へ行ってみてはいかがでしょうか。
さまざまなバックグラウンドを持つクラスメイトと刺激的に学べる環境を、あなたの目で確かめてみてください!

桑沢デザイン研究所の
入学説明会・オープンキャンパスはこちら!

 
 

(2020.3.24)
Yoshiko Inoue

著者紹介

井上佳子Yoshiko Inoue

はたらくビビビット編集長。 株式会社ビビビットの社員です。メディアを通し、制作活動やデザイナーの就活に役立つ情報を発信していきたいです! Twitter
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