インスタレーションって何?|仕事百科

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近年、展覧会などで注目されることの多い作品、インスタレーション・アート(以下、インスタレーション)。皆さんはインスタレーションというアート分野をご存知でしょうか。今回は、見ているお客さんを取り込み、空間を一つのアート作品として表現する「インスタレーション」についてご紹介していきたいと思います。
編集・執筆 / ARAAKEMAYU, AYUPY GOTO

目次

  • 1.インスタレーションとは?
  • 2.必要なスキル
  • 3.現在活躍しているインスタレーション作家
  • 4.最後に

1. インスタレーションとは?

インスタレーション

インスタレーションを一言でいうと、展示空間を含めて全体を作品とし、見ている観客がその「場」にいて体験できる芸術作品のことをいいます。

インスタレーション( Installation )とは、インスタレーション・アートの略で、分野としてはデザインではなくアートの分野になります。絵画・彫刻・映像・写真などと並ぶ現代美術における表現手法の一つといえます。インスタレーションでは空間全体が作品になっていることから、その作品に全身を囲まれて空間全体を「体験」することができます。作品を見る人が、その空間を体験(見たり、聞いたり、感じたり、考えたり)する方法をどのように変化させるかを要点とする芸術手法でもあります。

インスタレーションと場所

インスタレーションで重要となってくるのが、作品が作られた場所です。その場所が作品の一部にもなることから、場所によって作品の内容や見る人の体験も変わってきます。ギャラリーのような外の世界がほとんど感じられないものもあれば、街角だったり、古くからある建物だったり、展示する場所によって作品にいろんな意味が込められてきます。作られた場所が普段あまり目につかない場所でも、インスタレーションをそこで作ることによって、その場所が全く違う空間に見せることができるのです。改めて、その場所の良さや特徴を考えさせられるきっかけにもなります。

インスタレーションの歩み

インスタレーション作品はもともと、彫刻の展示方法の工夫や、パフォーマンスアート演出の試行錯誤から生み出されてきたものでした。現在では、プロジェクションマッピングやARなどの技術が発展していく中で、インスタレーションが作り出すアートの表現も広がり続けています。
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2.必要なスキル

アートとしての分野をもつインスタレーションですが、その空間を作るためには幅広い分野の知識やスキルが必要になってきます。

【 空間を作り出すスキル 】

インスタレーションでは、音や光を使ったもの、大量のものを陳列するもの街全体を利用したものなど表現の方法はさまざまなので、自分が作り出したい空間に合わせた構成スキルが求められます。音楽や映像を中心とした制作であれば、音楽・映像を作るスキルが必要になりますし、空間の見え方やあり方を中心にするのであれば、空間演出、建築などの分野が必要になってきます。

3.現在活躍しているインスタレーション作家

では、現在活躍しているインスタレーション作家を少しだけご紹介してみたいと思います。

・ 赤松音呂さん ( あかまつ ねろ )

( http://www.neloakamatsu.jp/chijikinkutsu.html )

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( http://www.neloakamatsu.jp/works.html )

電子デヴァイスを組み合わせたインスタレーション作品を作り出す、赤松音呂さん。この作品は、グラスに浮かぶ針が同じ方向を向いていて、電流が流れた時にそのグラスに針がぶつかり、繊細な音を生み出すサウンド・インスタレーション作品です。その美しさの裏には、普段私たちが直接感じることのない、地磁気の存在を視覚化し、自分の認識していなかった世界を捉え直すことができます。

・ exonemoさん ( エキソニモ )

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( http://dep-art-ure.jp/?p=8716 )

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( http://dep-art-ure.jp/?p=8716 )

exonemoは千房けん輔さんと赤岩やえさんの二人によるアートユニットです。インスタレーションや、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなど、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を横断し、テクノロジーとユーザーの関係性を、ユーモアのある切り口と新しい視点で作品に落とし込んでいます。

・ 津田道子さん ( つだ みちこ )

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( http://2da.jp/2da/en/work/You-would-come-back-there-to-see-me-again-the-following-day..html )

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( http://2da.jp/2da/en/work/You-would-come-back-there-to-see-me-again-the-following-day..html )

津田さんは、映像の特性を基づいた制作を中心に、インスタレーションや、空間演出、パフォーマーとの共同作業などを通した作品を制作しています。この作品は、鑑賞者が作品のなかで自由に動き回ることにより、自分が見ているものがどのような過程を経て映りこんでいるのか、探っていくことになります。映像ならではの特性を生かしたインスタレーション作品です。

・ 草間彌生さん ( くさま やよい )

KUSAMA, Yayoi Japan b.1929 The obliteration room 2002 to present Furniture, white paint, dot stickers Dimensions variable Acc. 2012.098 Collaboration between Yayoi Kusama and Queensland Art Gallery. Commissioned Queensland Art Gallery, Australia. Gift of the artist through the Queensland Art Gallery Foundation 2012

( http://img.huffingtonpost.com/asset/scalefit_970_noupscale/57b46654170000d002d1f547.jpeg )

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( http://www.fashionsnap.com/news/2013-04-25/love-moriart-open/l )

水玉模様の作品で日本だけでなく世界的にも有名な草間彌生さん。草間さんが作り出すインスタレーション作品もまた、水玉模様の世界に足を踏み入れたような空間が特徴的です。上の写真はもともと、すべてが真っ白な部屋でした。来場者に水玉のステッカーが配られ、好きなところに制限なくステッカーを貼ってもらうことで出来上がった作品です。自由なインスタレーションですが、来場者が増えるごとに部屋の水玉の形が変容していき、最初は水玉だったところが、次第に重なり合い、どんどん色も混ざり合っていきます。水玉の変化に何度も足を運んでみたくなるインスタレーションです。

・ 田根剛さん ( たね つよし )

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( http://openers.jp/article/22874 )

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( http://www.fashion-headline.com/article/2014/01/31/4985.html )

パリを拠点として活躍する建築家、田根剛さん。田根さんは、時計でおなじみのCITIZENが開催した展覧会「 "LIGHT is TIME” ミラノサローネ2014 凱旋展」でインスタレーションを制作しました。時計のすべての部品を支える基盤装置である地板を8万個使用し、光と音に満ちた幻想的なインスタレーションを作り出しました。また、シチズンの原点となった1920年代の懐中時計から最新モデルのサテライト時計を同時に展示し、現在から未来へのシチズンデザインの世界観を表現しています。展覧会に足を踏み入れると、天井から無数に吊り下げられた金色の時計の部品の美しさに思わず息を飲み込む程です。

・ 吉岡徳仁さん ( よしおか とくじん )

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( http://scape.vantan.com/newsreport/vantannews/201009/post-3.php )

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( https://www.fashion-press.net/news/27625 )

吉岡徳仁さんは、プロダクト、空間、パッケージ、建築と多岐にわたりプロジェクトをおこなうデザイナーです。ISSEY MIYAKEなど多くの有名ブランドのショップデザイン、空間デザインなどを手がけています。そんな吉岡さんが作り出すインスタレーションは美しく繊細な作品ばかりです。上の写真は「snow」という作品です。雪を表現するために羽毛を使用し、羽毛が宙を浮遊する動きはまるで雪そのもの。展覧会場は美しい、その一言のインスタレーション作品でした。現在は、「吉岡徳仁 スペクトル プリズムから放たれる虹の光線」が開催されています。

「吉岡徳仁 スペクトル プリズムから放たれる虹の光線」※現在開催中
会期:2017年1月13日(金)から3月26日(日)
会場:資生堂ギャラリー
開館時間:平日 11:00〜19:00(日・祝祭日 11:00~18:00)
休館日:毎週月曜
URL:https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/

4.最後に

上記で紹介した作品でわかるように、インスタレーションという作品は、作家さんによって様々な表現の仕方や見せ方をしています。表現の仕方がたくさんある分、自分の表現のセンスやその表現をするために多くのスキルを磨かなければなりません。インスタレーション作品に興味のある学生は、是非多くの展示会に足を運び、自分の作品作りに繋げてほしいと思います。

(2017.2.15)

著者

荒明真柚

武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科2017年卒業。グラフィックデザイン、パンフレットや本のエディトリアルデザインを主に勉強しています。最近はラジオを聴くのにはまっています!

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