web業界のお仕事を覗くと「webディレクター」という肩書きを目にすることはありませんか。web制作だけでなく、企画から関われる仕事内容に魅力を感じている方も多いのではないかと思います。今回は、web制作の過程に沿って、webディレクターのお仕事について具体的にご紹介します。
編集・執筆 / YOSHIKO INOUE, AYUPY GOTO
目次
- 1.webディレクターとは
- -webディレクター4つのタイプ
- 2.webディレクターになるには
- -webサイトができるまで
- -webディレクターに求められる能力
- 3. webプランナー・webプロデューサーとの違い
- 4. 最後に
1. webディレクターとは
webディレクターとは、webサイトを制作する際に全体の指揮をとる人を指します。クライアントの要望を聞いてwebサイトの方向性を決定し、デザイナーやプログラマーなどの制作チームをまとめます。そのwebサイトが完成するまでの一連のプロジェクトリーダーと言えます。
-webディレクター・4つのタイプ
webディレクターは、一般的に「企画系」「アート・クリエイティブ系」「システム系」「営業系」の4つのタイプに分けられ、以下のような特徴があります。
- ・企画系webディレクター
…社内の制作部署の中で、webディレクションを行う。
マーケティング系とも呼ばれることもある。
- ・アート・クリエイティブ系webディレクター
…web制作会社でwebディレクションを行う。
アートディレクターと呼ばれることもある。
- ・システム系webディレクター
…システム会社でwebディレクションを行う。
システムエンジニア経験者が多い。
- ・営業系webディレクター
…サイトの制作依頼の営業も行う。
企業内のweb担当の人が行っていることが多い。
2.webディレクターになるには
-webサイトができるまで
webディレクターになるには、まずは、webサイトがどのような流れで制作されるのかを理解しておく必要があります。
ここでは、一般的なwebサイト制作のざっくりとした流れを紹介します。
①企画
- ・クライアントにヒアリング
- ・制作チーム(デザイナー、プログラマーなど)との打ち合わせ
まず始めの企画段階で、そのサイトを制作する目的やコンセプトをしっかりと固めます。
ディレクターはクライアントと打ち合わせを繰り返しながら、そのサイトを作る目的は何か/誰をターゲットに作るのか/条件や要望は何かなどをしっかりヒアリングし、仕上がりイメージを明確にしていきます。
また、納期までのスケジュール、見積もりなども管理し、そのプロジェクトの全体像を把握し進めていきます。
ディレクションの仕事の中で、この段階が一番重要といっても過言ではありません。あとになって認識の誤解が発覚することがないよう、クライアントの求めるものを汲み取るためのリサーチや、制作チームへの伝達を的確に行います。
②制作
- ・デザイン
- ・Flash
- ・コーディング
- ・システム
次に、デザイナーやコーダー、プログラマーによって制作が行われます。サイトの目的やターゲットに合わせたデザインをし、動きをつけるなどの演出をし、実際にページを組み立てていきます。
ここで、ディレクターは制作チーム全体のマネジメントを行います。クライアントの条件や要求を的確に制作メンバーに伝え、スケジュール管理をします。また、コンテンツそのものの品質管理もしなければなりません。ディレクター自ら撮影・取材・コピー作成・テキスト作成などを行う場合もあります。
全体を把握し指揮をとらなければならないので、さまざまな職種のメンバーとコミュニケーションをとります。基本的な制作スキルやノウハウを持っていると制作上の話が通じやすく、歓迎されるようです。
③公開
- ・公開
- ・運用
サイトが完成したら、誤字脱字や動作チェックなど、直すところがないか入念にチェックしていきます。修正点があればその都度直し、クライアントの最終確認をもらってついに公開です。
サイト公開後は、ユーザーへのリサーチやアクセス解析をしながら改善を繰り返していきます。
こうして改善を繰り返しながら、システムが正常に動く状態を保つことを「運用」と呼びます。webサイトの運用は、クライアントが自ら行う場合もありますが、引き続きディレクターや制作チームによって行われる場合もあります。運用を繰り返すことでサイトの目的達成に向けより良い効果を上げることができると言えます。
-webディレクターに求められる能力
プロジェクトの全体を指揮する【ディレクター】という職業は、制作工程を理解し、制作工程の基礎知識をまんべんなく持っていることが求められているようです。
それに加え、webディレクターにはweb特有のwebリテラシーやアクセス解析についての知識なども求められます。
しかし、ディレクター職にとって最も必要なものはコミュニケーション能力と言われています。
webのディレクションではまずクライアントとの打ち合わせを入念にし、それを制作チームに伝えて進行していかなければなりません。
クライアントによって、どのくらいwebリテラシーをもっているかは違います。ものすごく明確に完成イメージを持っている場合もありますが、ふんわりとしたイメージしかない場合も多いでしょう。後者の場合、ディレクター側がクライアントの言葉から要望をきちんと理解し、完成イメージが正確に伝わるよう伝え方を工夫して提案しなければなりません。そしてその後、制作チームに制作の指示を出す際には、ただ単に作業工程の指示を出すだけではなく、サイトのコンセプトや達成目標も伝える方が良いでしょう。
ディレクターというポジションは、伝え方ひとつで誤解を招いたりメンバーのモチベーション低下を引き起こしかねません。そのため、普段から制作チームとの信頼関係が築かれていることが理想的です。
また、他にも全体を把握しスケジュール管理していくための段取り力、ヒアリングシートや見積書、サイトマップなどのドキュメント作成スキル、クライアントへの提案を行う際のプレゼン能力 …
ディレクター職には、さまざまな能力が必要とされています。
3. webプランナー・webプロデューサーとの違い
ここまで一般的なwebディレクターの仕事内容を取り上げてきましたが、webディレクターの役割や業務内容は、会社によってさまざまになっています。今回紹介したディレクター職の仕事内容を、webプランナーとwebプロデューサーという職種で分けている会社もあるようです。
最後に、それぞれの職種に分かれている場合の仕事内容をまとめてみます。
求人情報と参照してみてください。
・webディレクター
- …プロジェクトに関わる人をマネジメントする業務が中心。プロジェクトメンバーの人選、制作スケジュール・進行管理など。コンテンツの品質管理も行うが、全体の人の動きを把握し円滑に進行する立場にある。
・webプロデューサー
- …ディレクター業務に加え、【お金の管理・折衝】を行うプロジェクトの一番上に位置する人。プロジェクトの規模が大きくなったとき、代理店など各方面と取引を行う。
・webプランナー
- …クライアントと打ち合わせをしながら、webサイトのコンテンツを企画する。クライアントの要望を制作者に伝えたり、逆に制作者側の提案をクライアントに伝えたりする。
4.最後に
いかがでしたか?
webサイトの制作過程において、クライアントと制作チームの両者が気持ち良く仕事をできるかは、ディレクター次第と言えるようです。webサイトを閲覧するときに「このサイトのターゲットは?目的はなんだろう?」と考えながら見てみると、webディレクターへの第一歩となるかもしれません。
(2015.10.8)
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