一般的に就職活動は早めにはじめたほうが良いと言われますよね。しかし、クリエイターやデザイナーを目指す学生の中には、専門職において就活の時期はさほど関係ないと考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。たしかに専門職では、一般的な総合職に比べ募集時期が遅く、中途採用が多いというイメージがあります。そこで今回、実際に就職活動を遅くはじめた方の就職活動をご紹介し、就職活動が遅いとどうなるかリアルな就活体験をお届けしたいと思います。
編集・執筆 /KANAKO HONDA, AYUPY GOTO
●デザイナーの就職活動のイメージ
デザイナーの就職活動と聞いてどのようなイメージを持ちますか。一般的に美大生や専門学生などのデザイナーを目指す学生が考える就職活動には、このようなイメージがあるようです。
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【デザイナー職の就職活動のイメージ】
- ・大手就活サイトには専門職があまり載っていない
- ・一般大の就職活動とは異なる
- ・中途採用が多い
- ・デザイナーは募集時期が遅い
- ・就活をはじめる時期は遅くても間に合う
- ・転職でスキルアップするため、はじめの就職先にはこだわらなくて良い
- ・専門職ではスキルが重視
- ・少ない選考で内定を貰える
たしかにデザイナー職には上記のような募集が多く、一例としては間違っていないため、このように考えている学生が多いのは仕方がないことかもしれません。
しかし、上記のようなイメージを持っている人こそ、この記事を読んでいただきたいと思います。なぜなら、このようなイメージを持ったまま就職活動を行っていたために、就職活動に苦労している学生が多いからです。
以下は、就職活動が遅れたがために就職に苦労した、学生のリアルな就活体験談です。
●遅い就職活動のリアル
遅い就職活動を行った、デザイナー志望の学生のスケジュール表
就活をはじめたのが遅くなった理由
上記の表をみてわかる通り、就活が遅くなってしまったのはデザイナー職の就活イメージが先行していたためです。イメージをそのまま受け取ったことで、後でも大丈夫という漠然とした気持ちが生まれ、就活を先送りにしてしまったのです。そして、時間がなくなってきた時に実際の就職活動がイメージ通りではないことに気づき、就職活動をもっと早くやるべきだったと後悔することになるのです。
●就活に遅れをとらないために
就活をはじめる時期が遅くならないために重要なことが2つあります。
・一般的なデザイナー職の就活イメージと実際の就活のギャップを理解すること
・就活を遅くはじめた場合どのようなことで苦労するのかを知ること
デザイナー職の就活イメージと現実
・大手就活サイトには専門職があまり載っていない
・一般大の就職活動とは異なる
たしかに、大手の就職サイトには総合職がメインのため、なかなか自分のやりたい仕事を見つけることが難しいかもしれません。しかし、だからといって一般的な総合職と就活が大きく異なるというわけではありません。デザイナー職であっても、多くの場合は総合職と同じようなステップを踏んで就活をしなければいけません。逆に異なることのほうが少ないと考えてもいいでしょう。
・中途採用が多い
デザイナー職には中途採用が多いのは確かです。その求人のほとんどは実務経験を積んだデザイナーを求めています。中途採用で未経験者を受け入れてくれる制作会社は多くありません。 実力があれば採用してくれる企業もありますが、どこの企業も新卒を受け入れる体制はできていないので、痛い目にあわないように他の業界のお仕事も視野に入れていたほうがいいかもしれません。
・デザイナーは募集時期が遅い
・就活をはじめる時期は遅くても間に合う
これらのイメージに当てはまる企業はかなり限定されています。もちろん遅い時期まで募集しているところもありますが、募集時期が定まっていなかったり、募集人数が少ないところはいつ募集が終了してもおかしくありません。油断していると、あっという間に取り残されてしまいます。
・転職でスキルアップするため、はじめの就職先にはこだわらなくて良い
もし転職をするとしても、就職先がどこでも良いということはありません。転職する際には、それまでの仕事で制作したものや仕事で培ったスキルが重要となってきます。転職で最終目標を達成させたいのであれば、新卒で入社する会社は、それらのスキルを学ぶために適した場所の選択となるため、とても重要です。
・専門職ではスキルが重視
・少ない選考で内定を貰える
もちろんスキルは重要視されますが、面接を行わない企業はありません。ESや履歴書などを突破しなければ、スキルを見てもらえない企業もあります。また、面接の回数が減ったとしても、課題提出など技術面の選考が加わる場合には、内定まで多く時間がかかることもあります。
ここが大変!就活を遅くはじめた場合
1.選べる仕事の幅が減る
選べる仕事の数がかなり少なくなります。当たり前ですが、就活を遅くはじめると多くの企業は募集を終了しています。もちろん、募集している企業もあるためその範囲で選ぶことはできますが、様々な企業や職種を試してみた上で、就職を決めることができなくなります。中には「中小企業に行きたいから大企業は受けなくても良い」と思う人もいるかもしれません。それでも、大きな企業を見た上でその会社に決めるのと、はじめからその会社だけを見て決めるのとでは仕事をはじめる姿勢やその会社に対する思いがまったく異なってきます。
2.ゆっくり考えて決めることができない
就職が終わって内定をもらえたとしても、遅くはじめた場合その後にゆっくり考える時間はありません。本当にぎりぎりになってしまうと、内定をもらって承諾した後にすぐに入社ということもあり得ます。そのため、後から他の会社に気持ちが揺らぐことも少ないですが、企業研究や自己分析が終わらないうちに気付いたら流れで仕事をしていたということになってしまう可能性があるのです。本当にその仕事でいいのか、自分が何をやりたいのかを考える時間は多くとることが必要です。
3.スケジュールに余裕がなくなる
短期集中で就活をすると、気持ちの緩みがないため100%の力を就活に注ぐことができます。その分多くの企業を同時に受けるので、その分スケジュールに余裕がなくなり、毎日面接になってしまうこともあります。そのように毎日面接をしていると、自分の気持ちを伝えることや喋ることは上手くなっていきます。しかし、同時に多くの企業の情報が入ってくるため混乱することがあります。また、その混乱によって自分がどこの企業に本当は行きたいのかわからなくなってしまうことがあるので要注意です。
4.精神的に余裕がなくなる
就活中の学生なら誰でもあることですが、精神的に余裕がなくなります。その中でも、就活が遅い場合は就活中だけではなく、就活をはじめるまでの時間も余裕がなくなってしまいます。4年の3月から就活をはじめ6月で内定をもらった場合、精神的に辛いと感じる時間は3ヶ月ほどです。しかし、就活を4年の12月からはじめた場合、実際に内定をもらうまでが1ヶ月であっても、10ヶ月も精神的に余裕がない時期があるのです。
5.旅行、引越し、卒業式などに十分な時間が取れない
就活に専念するあまり、卒業式や卒業旅行など、その他の準備ができなくなってしまいます。また、仕事場に合わせて引越しをしたくても、仕事が決まるまで具体的に家を探すことが難しいため、家探しもかなりぎりぎりになってしまいます。さらに、その時期は引越しも多いため、希望の日に引越しすることができなくなってしまうかもしれません。
●最後に
デザイナーを目指す学生の中には就職活動に消極的な方も多いと思います。しかし、好きなことを仕事にしたいという意思があるということは、制作を通して自分と向き合ってきた証拠だと思います。そのように自分と向き合ってきた人が志望するクリエイディブ職だからこそ、就職活動を早くはじめ、さらに自分と向き合い深められる場所を見つけることが重要です。
(2016.12.6)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア