映像表現で純度の高いものづくり。個人と組織を行き来する最先端の働き方|CEKAI 映像ディレクター 千合 洋輔さん

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美術系の学生に特に多いのは、卒業後に企業には就職せずフリーランスとして働くパターンです。デザイナーやディレクターとして個人で仕事を受注して、仕事をする道もひとつの選択肢ではあります。今回お話を伺った千合さんも卒業後はフリーランスとして働く道を選んだひとりでした。独立してどのように働いていたのか、1年後どのようにCEKAIに所属することになったのか、卒業後の独立を考えている学生に、是非読んでいただきたいインタビューです。編集・執筆 / AYUPY GOTO

千合 洋輔ちあい ようすけ

MovieDirector

大学卒業後、フリーランスを経て、CEKAI所属。
モーショングラフィックスを軸に、PVやMV、IDやステージビジュアル、映画の予告篇などを手がける。歴史伝統行事にまつわる映像制作も定期的に行う。

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CEKAIと個人を行き来する、最先端の働き方

― “CEKAI”はどういった会社なのでしょうか。

千合さん:京都・東京に拠点があり、個々のメンバーが持つ専門領域を活かしながら作品や企画を提案することで「純度の高いものづくり」を目指している組織です。様々な分野や形式のお仕事の依頼をいただき動いていますが、僕は主に映像制作で多く関わっています。また、平行して個人でもお仕事を頂いて、制作しています。

― 千合さんは、CEKAIでどのようなお仕事を担当されているのでしょうか。

千合さん:ブランドのモーションロゴやプロモーションムービー、映画の予告篇、デジタルサイネージでの展示映像、ミュージックビデオや、ライブのステージ映像やプロジェクションマッピング映像の制作など、映像関係の仕事を幅広く担当しています。音楽、映画、ITサービス、電化製品など、いろんなジャンルの仕事に携われるのが楽しいですね。

主に京都で活動していますが、東京に滞在して制作することもあります。モーショングラフィックス映像制作のためにジャカルタに出張することもありました。

― 映像制作が中心なのですね!CEKAIの仕事と個人の仕事、どちらも案件単位で受けて働けるなんて新しい働き方ですね!

千合さんが制作された、2.5D Motion IDs -2014 winter-

卒業後の選択は就職ではなくフリーランス。
“残るものをつくらないと意味がない”
独立したからこそ気づけた、個人とチームの魅力。

― 学生時代はどのようにすごされましたか?

千合さん:高校生の時に映像を作りたいと思うようになったので、美大の進学を選択しました。中学生の時からストリートダンスをやっていたのですが、大学に入学してからも、多くの時間をダンスの練習にあてて過ごしていました。
ですが、大学2年生になり、他大学の人たちとイベントやプロジェクトを通してつき合うことが増え、そこで出会った人たちと自分を比べたときに、実力不足を痛感して、もっと制作を頑張らないといけないと思いはじめたんです。

そのタイミングで、他大学の同期の友人と一緒に組んで一本の映像を制作する機会がありました。当時の僕はデザインスキルがなかったのですが、その友人はアートディレクションやグラフィックデザインの実力がズバ抜けていました。作ってもらった素材を受け取り、僕が動きをつけるという方法でモーショングラフィックス映像を作ったのですが、自分には作れない素材を扱う過程がとても勉強になり、刺激を受けました。なにより、グラフィック素材を動かして映像をつくることを楽しいと思うようになったんです。その体験がきっかけでモーショングラフィックス映像の制作にハマっていきました。

初めの頃はイベントのオープニング映像を制作することが多く、WEB上での公開が多かったこともあり、TwitterやFacebookなどのSNSでいろんな人から反応がもらえたので面白かったです。自主制作をすることはあまりなかったので、依頼された企画の要素と、その都度勉強した新たな表現や技術をマッチさせて挑戦的に制作していました。

― 学生時代から映像制作の依頼を受けていたのですね!お仕事として映像制作もされていたのでしょうか。

2年生の夏に、アプリのプロモーションムービー制作のお仕事を初めて頂きました。
3年生になってからは、よりお仕事で映像を作ることが多くなりましたね。VJもしていたこともあり、イベントの現場でのご縁からお仕事につながっていったこともあります。

― 学生の頃から沢山仕事を受けていたのですね、3年生になった時に就職活動はされましたか?

千合さん:就職も考えていましたので、映像会社の仕事は実際どういうものなのか、環境や業務内容を体験したいと思い、3年生の夏に映像制作会社のインターンに参加しました。そこではモーショングラフィックスの素材づくりや、マスクや写真の切り抜きを行ったのですが、基本的な技術で今まで出来ていなかった点が多々あり、指摘してもらえたことで自分の実力を再度見直せてよかったです。足りないところを感じる中、フリーランスとして働いた時にはどのような足りないところがみえてくるのだろうと思うようになり、卒業後はその道を選びました。

― 卒業してすぐフリーランスになられたのですね!

千合さん:そうですね。一方で、尊敬する方々が、京都で新たな組織を立ち上げるというお話があり、声をかけていただいていたので、まずはそのタイミングまでフリーランスで頑張ってみようと思いました。

― 卒業後、フリーランスと働いてみていかがでしたか?

千合さん:1年目であることもあり、生活できるように働くということを意識して過ごしました。しかし、蓄積したスキルを使っているだけになってしまいがちで、新しい表現をあまり探れませんでした。誰かとコミュニケーションをとり、練ってつくるということも減ってしまい、社会人1年目の12月に、このままじゃまずいと感じました。先輩にも「こなすだけでは、何も残らないよ」と言われて、あとに残るものを作らなければと強く感じました。

― 千合さんにとって苦労された1年だったのですね、卒業後フリーランスで働くことを学生に進めたいと思いますか。

千合さん:もちろん人それぞれだと思いますが、僕自身は、卒業という区切りがあるにしても、基本的には地続きだと思いました。それまでの活動の状況をみながら決断するといいと思います。自分の場合は学生時代にお仕事をくださった方から、卒業後も機会をいただけたので、なんとか活動していくことができました。

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特技を活かしたチームワーク、一人では絶対につくれないものがある

― フリーランスとして働いた後、CEKAIに所属されたのですね。

千合さん:そうです。2014年のはじめに、今所属しているCEKAIが本格的に動き出し、所属メンバーの一人として正式に誘ってもらい、新たな体制で働くことになりました。

今まで遠隔での仕事が多かったので、直接コミュニケーションをとり、仕事のノウハウや経験を共有してもらいながらチームで働けるようになり、とてもありがたいです。組織の中でもいまのところ最年少なので、いつも先輩方に勉強させてもらっています。メンバーの動き方は様々です。僕の場合はCEKAIでの仕事をしながら、引き続き個人でのお仕事もいただいています。

― CEKAIの魅力を教えてください!

千合さん:個人とチームの仕事を行き来できる環境です。どちらの働き方にもそれぞれの良さ・気づきがあるので、行き来することで毎回違う刺激や学びがあります。

また、素晴らしい作品をつくっている上司ばかりなので学べることも多いですし、とにかく良い人が多くて楽しいです。そしてみんなで良いモノをつくろうとする気合いと勢い、熱量が刺激になります。メンバーみんなで良いモノを目指していけるのは幸せなことです。

チームでひとつの仕事に取り組む際は、それぞれの得意分野を活かしてつくっています。例えば映像の場合、登場するキャラクターのアニメーション、幾何学のアニメーション、グラフィック素材などから、ストーリーや時間配分、映像上の空間設計まで、完成のイメージを共有した上で分担しながら作業します。そうすると、ひとりでは作れない、想像を越えるモノが出来上がるので、完成がいつも楽しみなんです。

― 今後どういったことに挑戦したいと思いますか?

千合さん:アニメのオープニング映像やエンディング映像をつくるのが今の目標です。モーショングラフィックスなどを用いて、関われることのできる日がくれば幸せです。

― 最後に学生に向けてメッセージを御願いします。

千合さん:自分は『学生のうちは時間をかけてつくりなさい』と言ってもらったことが強く心に残っていて、その通りだと実感しました。今つくっているひとつのモノに対して妥協せず、最後まで時間をかけてみてください。課題や仕事をただこなすのではなく、完成度高く丁寧に仕上げることを意識し、蓄積していけば、社会人になってからも活きると思います。ツメの作業に一番学びがあると思うので、完成させる癖をつけてください。最後のひとふんばりが良いモノにつながっていくと思います。

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(2015.6.18)

著者

後藤あゆみ

はたらくビビビット編集長。 フリーランスで“『ツクル』を仕事にしたい未来の子供たちのために。”を、コンセプトとして活動。クリエイター支援、スタートアップ支援を行っています。おばあちゃんになるまでに美術館をつくるのが夢です 。

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