デザイナー職を目指す学生であれば、就活準備としてポートフォリオの制作に励んでいる方が多いと思います。「どんな作品を載せよう……このポートフォリオでどんなプレゼンをしようか……」と、悩みは盛り沢山だと思いますが、「ポートフォリオだけ」で就活準備を終えていませんか?
実は、デザイナーの面接では、ポートフォリオや作品についての質問だけでなく、デザインに対する考え方や自分自身の経験についての質問も多いのです。今回は、そんな面接でよく聞かれる質問や苦戦しがちな質問を、デザイン・制作会社編として深掘りしていきたいと思います!
皆さんの面接対策のお役に立てれば嬉しいです。
編集・執筆 / HANA HIRATA, AYUPY GOTO
●デザイナーの就活準備、
ポートフォリオ、プレゼンの用意だけで大丈夫?
デザイナー職を採用するほとんどの会社では、ポートフォリオの提出が必須となっています。少しでも周りに差をつけようとポートフォリオの制作にばかり時間をかけてしまい、面接の練習がおろそかに……なんてことは、デザイン系の就活生の間でよく聞く話です。
私(筆者・平田)は2019年卒のデザイナー新卒採用の就活を経験しましたが、「もっと事前に面接対策しておけば良かった」と後悔したこともありました。デザイン・制作会社の面接で多かったのが”デザインに関して切り込んだ質問”です。具体的には、どんな質問内容なのでしょうか。
ここからは、デザイン・制作会社の面接でよく聞かれる質問をご紹介します。面接官がどんな意図で質問をしているのかも解説するので、参考にしてみてください。
●「あなたにとってデザインとは?」他
答えられる?よくある質問
質問:学生時代頑張ってきたことは?
この質問は必ずと言って良いほど、どこの会社でも聞かれます。「学生時代頑張ってきたこと」を聞かれたら、どんなことを思い浮かべますか?
例えば……
Aさん:課題制作を頑張った!
Bさん:インターンに参加して学校ではできないことを頑張った!
Cさん:デザインコンペに作品を出品して、○○賞を受賞した!
……など、人ぞれぞれ思い浮かぶことがあるでしょう。
一見「賞を受賞している経歴」を持つCさんの回答が正解のように思えますが、実はこの質問では、結果ではなく「どのように頑張ってきたのか」を回答することがとても重要なのです。
例えばAさんの場合
・どのような意識を持って課題制作を頑張ってきたのか
・なんで頑張れたのか
・頑張った結果どのようなことを得たのか
以上の項目を踏まえて話すことで、自分がどれだけ頑張ってきたのか具体的に面接官にアピールできますね!
ポートフォリオの作品を1つ取り上げて、自分が頑張ってきたことについて説明するのも良いかもしれません。
その考え方でいくと、コンペの受賞歴のあるCさんも、結果を伝えるだけでなく、受賞するまでの過程の部分についても話せるようにしておくことをおすすめします。
▼「どのように頑張ってきたか」の過程を伝えよう
質問:なぜデザイナーになろうと思ったのか?
誰しも、デザイナーを目指すきっかけになったできごとが必ずあるはず!まずは、よくある解答例を紹介します。
・幼い頃から絵を描くことが好きだったから
・デザイナーの○○さんに憧れて
・デザインに興味があるから
どれもきちんときっかけを述べていますね。ばっちり!……のように見えますが、
ここが落とし穴!この3つには
・デザイナーを目指す理由
・デザイナーになって何をしたいのか
という項目が抜け落ちてしまっているのです。きっかけを述べただけではただの思い出話になってしまうので注意が必要です!
▼デザイナーになったその先のことも考えよう
質問:制作をしていて楽しいことは?つらいことは?
「制作をしていて楽しいこと」を聞かれたら、デザイン・制作会社を目指す人であればいくつか思い浮かぶことがあると思います。この質問ではデザインが好きなのかどうかを見極めています。その人にとってデザインの魅力はどんなところなのかを聞いて、企業の人は、「うちの会社の仕事を楽しめそうか、合ってそうか」という点を判断している場合が多いです。
では逆に、「制作をしていてつらいこと」はどうでしょうか?この質問で面接官は、入社後、つらい場面が訪れたときにどうやって仕事に取り組むのかという姿勢を見ていると考えましょう。
つまりこの質問は、「制作でつらくなったとき、あなたならどんな風につらさを克服していますか?」という風にも言い換えられますね!
・制作するうえでつらかった経験
・それをどのように乗り越えたか
上記を思い出して、回答してみましょう。「つらいこと」は何を言ってもマイナスにとらえられてしまうのではないか……と心配になってしまうのと思いますが、不安にならなくて大丈夫ですよ!
また、まれに「自分の興味、思考にそぐわない仕事を任されたらどうするか?」という質問をされることもあります。私はこの質問でも、同じような考え方で対応していました。
質問:あなたにとってデザインとは?
私はこの質問をされたとき、一瞬頭の中が真っ白になってしまいました……。大きなテーマなので、いきなり答えるのは難しいですよね。
こんな質問をされても答えられるように、一緒に解答を考えてみましょう。
まずは、自分の身近なもので、デザインを施されたものを思い浮かべてください。お菓子のパッケージや広告、ショーウィンドウなど……。
次に、そのデザインが自分自身や周りの人にどんな影響を与えているのか考えます。すると、ちょっとだけ「デザインとは何か?」が考えやすくなりませんか?
(例)お菓子のパッケージ
→ パッケージされているものの情報を
デザインで人に伝える
→ 人とものをつなぐ重要な役割
質問:どんな観点で企業・会社を選んでいますか?
この質問は、
・会社について調べてきているか
・業界に対してどれだけ知識を持っているのか
・調べた上でなぜこの会社に行きたいと思ったのか
を聞いています。デザイン・制作業界には様々な企業・会社がありますが、それぞれカラーや特徴が大きく異なるはずです。企業研究を怠らず、なぜ自分はその会社にいきたいのかを明確にしましょう!
質問:デザイン制作しているときに意識していることは?
この質問では、
・どのような考えを持って制作に励んでいるのか
・作品を作らされている意識の人なのか/そうではないのか
という点を見ています。
ポートフォリオを制作するときにも、制作意欲を示すために自主制作の作品を載せる人は多いのではないでしょうか。そういった作品を振り返り、「どんな意識で制作しているのか」をもう一度見つめ直してみてください。
●最後に
デザイン・制作会社の面接で聞かれる、デザインに関して切り込んだ質問の考え方が伝わったでしょうか。
実際に面接を受けていると、上記以外にもいろんな質問をされると思います。対策をしていても、予想していなかった質問をされることは誰にでも起こり得ることでしょう。面接対策は、「この質問にはこの回答を」と丸暗記するよりも、自己分析を徹底的にしておいて、質問に合わせてポイントを取り出す……という意識で行うことをおすすめします。
余裕を持ってポートフォリオを制作し、空いた時間で「デザインに対してどんな考えを持っているのか」「将来どんなデザイナーになりたいのか」など、自分を見つめ直す機会をつくってみてはいかがでしょうか?
(2018.8.27)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア