なかなか聞きなれない「校正・校閲」という言葉。しかし、近年放映された「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」というドラマで、「校閲」という職業を知った人が多いのではないのでしょうか。一見クリエイティブ系の学生に関係ないように思える校正・校閲者の仕事ですが、実は専門分野を持っていることで役立つことがたくさんあるんです。
今回は、詳しい仕事内容やなり方をご紹介いたします。
編集・執筆/RINA SAITO, AYUPY GOTO
イラスト / Miyagi Takumi
目次
- 1.校正・校閲者って何?
- 2.校正・校閲の仕事内容
- 3.求められるスキル
- 4.校正・校閲者になるには
- 5.最後に
1.校正・校閲者って何?
校正・校閲者(こうせい・こうえつしゃ)とは、印刷物などの色合いやレイアウトの不備、原稿内の誤字・脱字や誤用を出版前に修正する仕事です。
正確に言えば校正と校閲は違う作業なのですが、一緒に行うこともあれば、工程を別々に分けていることもあり、会社や状況によって様々です。写真集や作品集、雑誌などの写真が入った原稿の校正は「色校正」と呼ばれ、印刷所などではアートディレクターやデザイナーが確認することが多いです。
2.校正・校閲の仕事内容
校正・校閲は一見似ていますが、仕事内容はそれぞれ異なります。まず、二つの仕事内容の違いについてご紹介いたします。
校正
校正は、誤字脱字はもちろんのこと、文法の誤用の修正や、書体、文字の大きさが統一されているかなどを確認します。訂正前と訂正後を見比べ、訂正がなくなるまで繰り返し確認を行います。
文章を読み込まず、文章の成り立ちとしておかしい部分がないかを詳しく確認していく作業です。校閲
校正に対して、原稿をよく読み込み、事実関係や世界観にあった単語が使われているかなどを精査し、指摘するのが校閲です。その他にも、差別表現などがないか、ノンフィクションであれば描かれている日付の天気など、細かい設定まで確認する作業のことを指します。
校正・校閲を繰り返し、修正がなくなった段階で出版となります。
誤植がないよう、多くの人の校正・校閲を通し出版される本や雑誌ですが、やはり人間が行うことなので100%誤植がないのはなかなか難しいそうです。
3.求められるスキル
自分が主導の制作活動などとは違い、校正・校閲は執筆者の書いた文章を精査する仕事。クリエイティブな仕事とは違う世界だと思われる方がいるかもしれませんが、校正・校閲者には一体どういったスキルが求められるのでしょうか。
□一字一句を確認できる根気
□黙々と一人で作業することのできる集中力
□細かいところまで見落とさずに修正できる忍耐力
□媒体の世界観や表記ルールにあわせた校閲ができること
□何か詳しい分野をもっていること
ひとつの作品を粘り強く完成まで制作することのできるクリエイティブ系の学生であれば、地道な職人気質の校正・校閲という作業が合うという人も多いのではないのでしょうか。黙々と一人で作業する仕事が好きな人、細かい部分にまで気を配れる人に適している職業だと思います。
4.校正・校閲者になるには
校正・校閲者になるためには、学歴や資格は特に必要ありません。校正・校閲の仕事をするためには、
□専門学校に通いスキルを身につける
□出版社や新聞社、印刷所の校閲部や校正校閲専門の企業に就職し実務を通して学ぶ
などのルートがあるようです。企業で校閲の技術を学んだ後、フリーランスの校正・校閲者として活動する方もいます。
美術に関する評論や雑誌、作品集、専門書、展覧会のカタログなど、美術の分野も年間多くの原稿が書かれ、出版されています。その中で特に美術の知識があれば、美術分野に適した、貴重な校正・校閲者になれるのではないのでしょうか。
5.最後に
縁の下の力持ちである「校正・校閲者」。美術・デザインの分野に詳しい美大生・専門学生だからこそできる校正・校閲の仕事があると思います。進路に迷った時にはひとつの選択肢として、ぜひ参考にしてみてください。
(2018.9.25)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア