ポートフォリオ百科|グラフィックデザイナー 山下まりあさん

今回ご紹介するのは、WEB業界でインハウスのグラフィックデザイナーとして働く、山下さんの就活ポートフォリオです。山下さんの手がける仕事は、紙媒体のみならず、WEB、オフィスに飾るアイテムの提案など、多岐に渡ります。様々なデザイン業務を任されている山下さんは、就活でどのようなポートフォリオを制作したのでしょうか?
さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / Ayako Yamada, YOSHIKO INOUE

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山下 まりあさん

やました まりあ

2015年3月 高知県立高知工業高等学校総合デザイン科卒業
2018年3月 専門学校 桑沢デザイン研究所 昼間部 VD科 天宅正ゼミ 卒業
2018年4月 デザイナーとして就職

PICKUP!

まず、ポートフォリオのなかで特にこだわった部分を教えていただきました。

「どんな作品か」一目で伝わる写真とキャッチコピー


山下さん:ページを開いたときに、一目でキャッチコピーと写真が目に入るよう心がけました。そこで気にしてもらえると、制作意図(コンセプト)や制作人数・制作期間も読んでもらえるのではないかと思い、明確にわかりやすく載せることを意識しました。

色味や構図、パースまでこだわり抜いた写真

山下さん:写真の見せ方にもこだわっています。Photoshopでの色味調整はもちろん、そもそも写真の構図がわかりにくかったり、パースがおかしくなったりしないよう、かっこよく見せることを心がけました。

冊子作品はブックインブックで全体を見せる

山下さん:エディトリアルの冊子作品で、且つグループワークのこちらの作品は、載せ方をとても悩みました。一番大事なページだけ大きく載せ、他のページを小さく載せるレイアウトもあると思いますが、私の場合きちんと全ページを見て欲しかったので、冊子をA5サイズで作成し貼り付けました。他の作品紹介ページの統一感を崩さないレイアウトに収まったと思います。

ポートフォリオ一問一答

●このポートフォリオを提出した業界

DTP業界・広告業界・WEB業界・ブランディング業界等

●コンセプト

私らしく、わかりやすく伝える

●ポートフォリオの構成

  • 表紙
  • 自己紹介ページ
  • もくじ
  • ブランディング作品
  • 広告作品
  • グループワークで制作した作品
  • 写真・その他制作物
  • 連絡先
  • 裏表紙

▼見開きのもくじには、各作品のサムネイルと情報が簡潔にまとめられている。

●制作時期

2年生の12月頃〜3年生の1月頃

●制作プロセス

(1)制作中のものも含め、制作した作品を用意
(2)Illustratorでデータを制作
(3)普通紙に印刷し、ファイルに入れる
(4)順番を変えたりページの様子を見たりしながら、必要なものだけを残す
(5)ブラッシュアップする
(6)(1)とブラッシュアップの繰り返し
(7)印刷会社で出力
(8)自身で製本

▼グループワークで企画・提案を行った作品では、企画概要を資料を使いわかりやすく載せているほか、グループ内での自身の役割も明記している。

●サイズ / ページ数

A4サイズ / 44ページ

●制作に使用したソフト

InDesign 、Illustrator 、Photoshop

●印刷 / 製本方法

印刷会社に依頼 /  表紙・裏表紙を厚紙で作成し、くるみ製本したものに貼り付け

▼CHECK!自分らしさを表現した印象に残る表紙
白地のシンプルな表紙に、厚紙で作られた三角の図形が印象的な山下さんの表紙。製本に使われているペールグリーンの紙と同じ色合いで、ポートフォリオ全体の統一感も生まれています。この表紙にはどのようなこだわりがあるのでしょうか?




山下さん:表紙に関しては、素材としても見た目としてもとりあえず印象に残ってほしい思いがありました。山下という名前をうまくポートフォリオに絡めないかなと随分悩み、とりあえず「山」を表紙に使うことからスタート。山の下に作品があるようなイメージで、山の等高線図を厚紙で表現して立体感を出そうと試行錯誤をしていたのですがうまくいかず……。そうしていくうちにアイコン的なシンプルな三角の山の形に落ち着きました。

●制作にかかった費用

1冊 3000〜5000円
試作含め何冊も作ったので総額はすごいことになっています……。

●制作するうえで参考にしたもの

先輩のポートフォリオやデザインの図録、デザイナーの作品集
主に学校の図書室で、「ページが続いてもレイアウトが見やすいもの」を探し、自分がいいなと思うものはとりあえずスキャンしたりコピーしてファイリングしたりしていました。

●ポートフォリオを作る上でアドバイスをもらった人

ビジュアルデザイン科の先生、ゼミの先生です。実際に見てもらいながらアドバイスをいただくことはもちろん、メールでアドバイスをいただくこともありました。

▼和菓子屋のディレクションを行なった作品。リサーチからコンセプト決定までの流れや、デザインの様々な展開例があり、きちんと考えてデザインしていることが伝わる構成になっている。

●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス

とにかく、作ったものは捨てない、データもきちんと残しておくことです。また、日々の課題や制作物も真剣に取り組んだほうが良いです。私の周りにもいましたが、そうしないと「全然ポートフォリオに入れるものがない!」と嘆くことになります。
ポートフォリオを初めて作ったときの心境を振り返ると、本当に果てしなくて、出来上がったものも全然良くなくて、これから先の就職活動がすごく不安になったことを覚えています。ですが、1冊作ると次のステップが見えてくるので、本当に「ブラッシュアップの積み重ね」です。頑張ってください!

はたらくビビビット編集部より

山下さんのポートフォリオは、まず立体的な表紙が印象に残ります。ペールグリーンの色味もさわやかさが伝わり、山下さんの「自分らしさ」を表現することに成功しています。また、作品のキャプションの始めにある「一言キャッチコピー」のような見出しは、作品のコンセプトや制作意図が明確になり、とても効果的ですね。制作期間や使用スキル、グループワーク内での役割なども明記されていて、"何ができる人なのか"がわかりやすいです。
写真や文字組み・レイアウトなど、ページのすみずみまで意識して作られていて、丁寧に制作された山下さんのポートフォリオ。真似したいポイントがたくさん見つかったのではないでしょうか。
山下さん、ご協力ありがとうございました!

山下さんも活用した!ViViViTでポートフォリオをつくってみる



(2019/07/29更新)

(2019.1.8)

著者

山田彩子

筑波大学 芸術専門学群を2019年3月に卒業。イラストを描いたり、雑誌を作ったりします。玉子焼きがあれば幸せです。

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