作品集と差別化!制作を通しての成長・学びを綴るポートフォリオ|ポートフォリオ百科 IT業界デザイナー

今回ご紹介するのは、株式会社ビズリーチのデザイナー・岡本さんの就活ポートフォリオです。「人の暮らしとともにあるデザイン」というコンセプトで、そのエッセンスが反映されたユニークな構成になっています。作品実績だけでなく、デザインに対する考え方など、岡本さん自身の「内面」が見えてくるポートフォリオを、さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / AYUMI TSUDA , YOSHIKO INOUE

岡本 千広 さん

おかもと ちひろ

2018年3月多摩美術大学 美術学部 グラフィックデザイン学科卒業
2018年4月〜株式会社ビズリーチ デザイン本部 コミュニケーションデザイン室

PICK UP!ポートフォリオのこだわり

ポートフォリオ全体に制作テーマ「生活の中にあるデザイン」を反映

岡本さん:一冊を家の中に見立て、生活の中にあるデザインをたどっていくような構成にしています。自分自身の制作テーマを「人の暮らしとともにあるデザイン」と掲げていたため、ポートフォリオ全体にそのエッセンスが反映できるよう心がけました。

表紙のテクスチャはアナログ作品から。自身を伝える手段は素材にも及ぶ


岡本さん:アナログで制作した作品の一部を表紙のテクスチャとして採用しています。温かみのあるデザインの作品を多く掲載しているので、表紙にもその印象を反映させようと思いました。

ポートフォリオ一問一答

●このポートフォリオを提出した業界

広告制作会社、家具メーカー、IT事業会社

●コンセプト

人の暮らしとともにあるデザイン

▼冒頭のコンセプトページと自己紹介ページ、終わりの挨拶で、普段どのような思いで作品を制作しているかを記している。

●ポートフォリオの構成

  • 表紙
  • コンセプト
  • 自己紹介ページ
  • デザインワーク
    (広告・タイポグラフィ・ロゴなど)
  • アートワーク
    (イラストレーション)
  • 終わりの挨拶
  • 裏表紙


▼団地暮らしを推奨する新聞広告の作品。どのようなコンセプトの作品なのかがわかりやすくまとまっている。アウトプットが複数点あり、アイディアの豊富さも伝わる。

●制作時期

4年生の4月〜9月

●制作プロセス

(1)作品をピックアップ、構成、デザイン
(2)InDesignでデータ制作
(3)自宅プリンターで印刷
(4)製本

●制作に使用したソフト

Illustrator、Photoshop、InDesign

●印刷 / 製本方法

自宅のインクジェットプリンタ / 無線綴じ製本+カバー

●サイズ / ページ数

A4 / 74ページ

▼制作年・制作時間・使用したツールを明記し、コンセプトやこだわった部分の説明文は一箇所にまとめている。

●制作にかかった費用

1冊1200円くらい

●制作するうえで参考にしたもの

同級生のポートフォリオ、国内の雑誌(TRANSITなど)

●ポートフォリオを作る上でアドバイスをもらった人

大学の教授、同級生の友人、自分と違う業界を志望している友人

●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス

岡本さん:ポートフォリオをいざ作成しようとなると作品集のようになってしまう人が多いと思います。私も、一番最初に作ったものは作品の羅列になってしまいました。
ポートフォリオと作品集の決定的な差は「どこまで作者本人の内面にフォーカスしているかどうか」だと感じます。制作実績も大切ですが、その制作を通して何を学んだのか、どう成長したのかまでを見せることができると、作品と作者像がリンクした、より深みのある一冊になるような気がします。
自分らしさをどう見せていくかが鍵になると思うので、自分自身と向かい合いながらじっくり作ってみてください。

▼後半では、自身が代表を務めた雑貨屋の運営についてや学外展の様子など、作家活動についての掲載も。

はたらくビビビット編集部より

グラフィックデザインを中心に、作家活動についてもまとめられていた岡本さんのポートフォリオ。冊子に加え、IT業界を受ける際はWEBポートフォリオも用意していました。制作途中には、違う業界を志望する友人とポートフォリオを交換し、意見を伝え合っていたそう。見せ方や情報整理の仕方など、自分と違う視点でなされる工夫を参考にしたそうです。
「自分自身が伝わるポートフォリオ」の要素の一つに、冒頭(表紙と自己紹介ページ)に制作テーマを記載している点が挙げられます。企業の人は、ポートフォリオの中の作品を1つ1つじっくり読める時間があるわけではありません。始めに作者の思いが書いてあると、後ろのページを見進める際にも理解しやすくなります。岡本さんのポートフォリオに対する捉え方や制作の仕方は、イラストレーションやファインアートなど、作家活動にも興味のある方には特に参考になると思います。
岡本さん、ありがとうございました!


もっと詳しく!岡本さんの就活インタビューはこちら


(2019.7.18)

著者

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津田愛悠美

武蔵野美術大学 デザイン情報学科所属。イラストやグラフィック、アクセサリーを中心に制作しています。音楽と映画とお笑いが好きです。

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