今回は、大手広告代理店のグループ会社で、デジタルマーケティングや広告を手掛ける企業に内定した津田さんのポートフォリオをご紹介します。全作品に「つくった目的」を記載し、制作過程をしっかり伝えています。インタビューの中では作品の展開の仕方や撮影方法のコツも解説していただきました。ぜひご覧ください!編集・執筆 /YOSHIKO INOUE
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津田 愛悠美 さん
武蔵野美術大学 デザイン情報学科
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
「学んできたこと・今後目指す姿」を記載し、自分がどんな人間か説明
津田さん:冒頭の自己紹介ページでは、学校名、スキルや趣味などの基本情報だけでなく「学んできたこと」「目指すところ・やりたいこと」を記載しました。「学んできたこと」は学生生活や作品制作で何を一番身に付けることができたのかを明記し、「目指すところ・やりたいこと」は、会社に入って何がやりたいのか、どういうデザイナーを目指しているのかを明記しています。
「自分はどういう人間であるか」を最初に見せることによって、自分に興味を持ってもらい、やる気を伝えることができると思います。また、「この学生の目指す将来と会社の将来は合っているか」ということがお互い確認できるので、会社との相性も確認できると思います。
冒頭の作品は目を惹くものを見開きで!全作品に「作った目的」を記載。
津田さん:最初のエディトリアル作品は、中身がとてもカラフルなのが特徴なので、扉ページで作品の中身のページの見開きを掲載し、インパクトを与えられるように配置にこだわりました。
赤い吹き出しの「目的マーク」は、この作品だけでなく全作品に入れているものです。「何を目的にこの作品を作ったのか」をはっきりさせることはデザインを行う上で大切なことなので、明記することで作品の説得力が増し、プレゼンの際にスムーズに説明しやすくなります。この作品は説明文はあまり書かずにビジュアルで魅せることを意識しました。
手で扱う作品や手で持てる作品は、実際に使用している様子の写真を掲載すると、作品の大きさや使用感をイメージしやすいです。
制作プロセスは、成長過程を伝えるために載せる
津田さん:アクセサリー作品とライターインターンのページは、制作過程がわかる構成にしました。どういった流れで制作を進めたのか・その中で何を大事にしたのか・どういった課題に直面してそれをどう乗り切ったのかということを記載しています。
完成した作品だけでなく、制作途中の写真やデータを残しておくことも大事だと思います。数あるポートフォリオの中でどう目立つかを考えた時、私の場合「作品に対して人一倍いろいろ考えて作っている点」が強みとしてあったので、それをアピールするためにもプロセスを載せました。成長過程を見せることもできるので、時間がかかった作品ほどこの方法は効果的なのではないでしょうか。
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ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
広告業界 / マスコミ業界 / デザイン事務所
●コンセプト
自分が学んできたこと、得意なこと、制作の姿勢を伝えるポートフォリオ
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 目次
- 自己紹介ページ
- 自信のある作品(エディトリアル、インターン制作物、ブランディング)
- 学校課題作品
- 芸術祭でのワークショップ
- 仕事で制作したグラフィック
- 自主制作
(グラフィック、UIデザイン) - デッサン
- 裏表紙
●制作時期
3年生の7月頃〜4年生の1月頃(最終盤のベースが完成)
●サイズ / ページ数
A4 / 44ページ
●制作に使用したソフト
InDesign / Illustrator
●制作プロセス
- 作品をピックアップ
- ラフの制作
- InDesign、Illustratorでデータ制作
- 作品撮影、作品のブラッシュアップ
- キンコーズで印刷、製本
- ブラッシュアップ、オンライン面接の為のデータ作り
●印刷 / 製本方法
キンコーズ / くるみ製本
津田さん:印刷をしたのは試作のみです。オンライン選考メインだったため、本番用は印刷していません。
●制作にかかった費用
試作で約9000円
●制作するうえで参考にしたもの
・学校のキャリアセンターに設置してある先輩のポートフォリオ
・企業の内定者ポートフォリオ
・ポートフォリオ百科
・雑誌
・海外のポートフォリオが載っているWEBサイト
●制作中にもらったアドバイス
津田さん:キャリアセンター職員の方や、会社説明会やOB訪問先の社員の方にアドバイスをいただいていました。「うちは説明文を読む時間をあまりとらないから、ビジュアルでわかるようにすると良い。」という会社もあれば、「説明文はじっくり読むし、ポートフォリオのレイアウトや細かな部分まで見る。」という会社もあるので、会社に合わせてレイアウトや作品の順番を変えました。積極的にポートフォリオ相談会や説明会に出向き、この業界・会社はどのような形態が好まれるのかをリサーチすると良いと思います。
●ViViViTページのこだわり、使い分け
津田さん:ViViViTは基本的に紙のポートフォリオのデータを載せていますが、紙のポートフォリオよりも説明文は簡潔にしていて「自分に興味を持ってもらう入り口」として使っていました。
データでのポートフォリオ提出が可能な企業が多かったことと、2020年の就職活動はコロナの影響でオンライン形式が多かった為、私自身紙のポートフォリオはあまり選考に使用しなかったのですが、企業のポートフォリオ相談会に参加する際は実物を持参していろんな方に見てもらっていました。
ViViViTは就職先を探す他に、ポートフォリオ相談会などの就活イベントを見つける為にかなり活用させていただきました。お陰様でたくさんのポートフォリオイベントに参加でき、ポートフォリオをたくさん改善できたと思います。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
津田さん:私はクオリティが高い先輩のポートフォリオを何冊も見ていくうちに、自分の作品に対して何度も自信をなくしました。ですが、そこで焦って新しい作品を作って数を増やしても、プロの方が見たら「急いで作ったんだな」とバレてしまいます。既存の作品をブラッシュアップしたり、派生作品(パッケージデザインなら、その商品の広告ポスターを作るなど)を作ったりすれば、作品のクオリティが上がり厚みが出ます。作品数が多ければ良いとは限りませんし、人と比べる必要は最初からありません。
何が正解なのかわからなくなって迷走してしまう事もあるかもしれませんが、自分自身と向き合い、自分の色が最大限に伝わるように作っていけば、世界で一つの魅力的なポートフォリオになるはずです。ポートフォリオ作り、まずは楽しみましょう!
はたらくビビビット編集部より
大学3年の夏ごろからリサーチを重ね、「お手本や参考資料」と「自身の作品・伝えたいこと」を照らし合わせて制作された津田さんのポートフォリオ。レイアウトに情報設計、作品の写真撮影についてまで、詳しくポイントを解説していただきました。
就職活動では多くの場面で「学生時代に成長したこと、頑張ったこと」「これから目指したいこと」を問われます。津田さんは、おそらくどんな場面で聞かれても、すぐにポートフォリオを使ってそれらを説明できたのではないでしょうか。制作過程を図やグラフにしていたり、自己紹介ページで簡潔に目標を記載していたり。作品をまとめるだけでなく、自分について振り返る「自己分析」も同時並行で行うことで、見る人もわかりやすい・作者も話しやすいプレゼンツールになることがよく伝わってきました。
津田さん、ありがとうございました!
津田さんも活用した!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2020.9.10)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア