今回ご紹介するのは、2021年春からゲーム業界キャラクターデザイナーとして勤務する田中さんのポートフォリオです。田中さんは描き慣れたイラストだけではなく、ゲーム寄りのイラストを増やすために、ゲームの構想を一から考え、世界観を構成する要素を一つ一つ制作しています。どんな演出がされているのか、さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / MAKO WATANABE , YOSHIKO INOUE
※閲覧にはViViViTへの登録/ログインが必要です。
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
ポートフォリオのなかで特にこだわった部分を教えていただきました。
キャラクターの説明を手助けする世界観の構築
田中さん:こだわった点はさまざまですが、一番はパッとポートフォリオを見てワクワクするレイアウトにしようと心がけた点です。ただイラストを配置するだけでは退屈だと思ったので、ロゴやフォントを考え、一つ一つのカテゴリが独立していて、見ていて飽きないものにしようと努めました。
編集部:田中さんはキャラクターデザイナー志望ですが、ゲームのコンセプトを解説したりロゴも制作したりしています。キャラクターデザインだけでなく一つのゲームを想定した作品を作ることで、どんな舞台でどんな衣装を身に着けているキャラクターなのかという説得力が上がります。趣味でつくった作品以外は、デザインの理由を説明できることが望ましいです。もしイラストを描いているだけの方は、世界観を構築するパーツも考えてみましょう。
▼CHECK!就活前は好きなテイストの作品が多かったけれど……
編集部:田中さんの自主制作のページでは、冒頭のゲーム想定イラストとは違う雰囲気のものもあり、自身の好きなテイストが感じられます。比較して見ると、前半の作品では“イラストの仕事”を意識して、今求められているテイストや描き分けの幅が出るよう努力されたことが伝わります。
※閲覧にはViViViTへの登録/ログインが必要です。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
ゲーム業界
●コンセプト
田中さん:幅広い年齢や体格、性別のキャラクターが描けるということをアピールしたいと思い、制作や編集を重ねました。
▼ただ老若男女を描くというだけでなく、肥満や痩身など体型にも差があり、田中さんの描き分けの努力が垣間見えます。
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- ゲーム系コンセプトの作品
- 自主制作作品
- グループ制作
- デッサン、クロッキー
●制作時期
3年生の7月ごろ~4年生の6月
●制作プロセス
(1)会社や業界に沿った作品を制作
(2)Illustratorでロゴなどを作成し、作品の雰囲気を強める
(3)InDesignでレイアウト
(4)学校のプリンターで印刷
(5)ファイリング
●制作に使用したソフト
CLIP STUDIO PAINT、Photoshop、Illustrator、InDesign
●印刷 / 製本方法
学校のレーザープリンターで印刷 / A3ノビにA4データを見開き出力し、カッターで適切なサイズにカット。ファイリング
●サイズ / ページ数
A4/70ページ
●表紙をつくるときに工夫した点
田中さん:一瞬でどのような職種につきたいかわかるようなインパクトのあるデザインにしようと心がけました。私はキャラクターデザイナー志望なので、キャラクターが目立ったイラストを描くことに気を付けました。
●制作にかかった費用
2万円弱
●制作するうえで参考にしたもの
説明会時に企業の方から頂けるフィードバックや過去の先輩のポートフォリオ
●制作中にもらったアドバイス
田中さん:主に周りの就活をしている友達、就職課の人、企業の方にアドバイスをいただきました。私はキャラクターデザイン、コンセプトアート職を志望していたのですが、どうしても得意な性別や体型を描いてしまいがちになっているとアドバイスをいただきました。それを踏まえて一度いろいろな性別のキャラクターを描いてみようと改善に努めました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
田中さん:合同説明会や企業面談の際、ポートフォリオを見てもらえる機会があったら、積極的に見せに行ってほしいと思います。その道のプロに無料でアドバイスをもらえるチャンスですし、行ってみて後悔はしないと思います。自分の作品を人に見てもらうことってかなり恥ずかしくて嫌ですよね……。気持ちはとても分かります。ですが、その行動一つが必ずブラッシュアップや内定に結びついていくので、少しだけ頑張ってみてください。応援しています!
はたらくビビビット編集部より
キャラクターデザイナーのポートフォリオは“イラストだけでなく世界観をつくることが大事であること”、“イラストの描き分けのために努力されたこと”がよく伝わるポートフォリオでしたね。自分がゲームを作るならどんなものができるかを考え、最終的にはゲームのロゴやエンブレム、武器など、人物や背景だけではなく実装したときに必要とされるパーツを多く制作しています。
また、行きたい企業に直接アドバイスをもらうことで、目指す職種に何が求められているかを考えることができます。それを目指して努力をすることで、よりプロのクオリティに近づくのではないでしょうか。世界観を考えるとデザインの理由ができ、理由ができると説明ができやすくなるため、面接でのプレゼンにも役立ちそうですね!
筆者自身もポートフォリオの作品一つ一つを説明できるよう、制作していきたいと思いました。圧倒的な作品量と世界観が詰まったポートフォリオ、ありがとうございました!
田中さんも活用した!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2020.12.25)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア