みなさんは就職活動の際、エントリーする会社をどのように選定していますか?やりたいことにチャレンジ出来る環境がある、企業のビジョンに共感できる、大企業である、ベンチャー企業である、憧れのクリエイターが働いている……など、選定軸は人それぞれだと思います。そんな中で「年収」や「初任給」は、どの程度気にしているのでしょうか?今回は、給与によって変わる生活環境や、社会人になって必要となる金銭事情についてご紹介したいと思います。編集・執筆 /AYUPY GOTO
今後の生活を大きく変える「給与」
企業に就職したら誰もが受け取ることになる「給与」。みなさんは就職先を選定する際、どのくらい「給与」の高さを重視していますか。なんとなく「月収○○万」くらいあればいいや……と考えている方もいるかもしれませんが、この月収がみなさんの今後の生活・人生を大きく左右することにもなるので、軽はずみで考えるのはやめましょう。また、学生時代にあまりお金を使わなかった方も、社会人になると付き合いなどで出費が増えるので要注意です。
気をつけて!「手取り」と「額面」は違います。
求人情報ページの「給与」の欄に、年収や月収などが記載されていると思いますが、そこに掲載されている金額がみなさんの通帳にそのまま振り込まれるわけではありません。「手取り給与」と「額面給与」という違いがあります。
一般的に、採用サイトや求人広告で「給与」の欄に表記されている金額は「額面給与」です。
実際に手元に受け取れる金額は、「額面給与」から税金など数万円天引きされるので、表記されている金額が、そのまま受け取れるわけではないことを把握しておきましょう。
「手取り給与」は、額面給与から天引きされる、源泉所得税・住民税といった税金、雇用保険・社会保険などの保険料を差し引いた額です。どれだけ額面給与から天引きされるのかは、基本給の額や扶養家族の有無、社会保険完備かどうかなど会社の福利厚生や環境によっても違うので、一概には言えません。
額面金額がもらえるつもりでいたのに、天引きされたことによって思っていた以上に給与が少なかったということはよくある話です。手取り額が少なくて生活できない!なんてことにならないように、会社の経理・事務担当者さんや、上司に確認しておきましょう。
年収・月給の手取り額の目安
額面給与の8割が手取り額だと思ってください。例えば、額面給与が20万円なら手取り額は16万円前後、額面給与が18万円なら15万円前後になると思います。引かれる2割は、所得税や住民税といった税金や社会保険料です。
▼社会人になると、どのような出費があるのでしょうか|給与20万円の場合
・家賃(6.6万円〜)
一般的に家賃の平均相場は、収入の3割程度が適切だと言われています。ですので、月収が20万円だとしたら、家賃6万円前後の部屋に住むのが平均的でしょう。
・水光熱費(平均:1万2千円〜)
クーラー、暖房、照明、入浴、洗濯などの使用量です。
・通信費(1万〜)
今では多くの人が利用するインターネット料金です。パソコンを多く使う仕事の場合は必須ですね。節約したい方は、通信費を無料で提供しているマンションなどがあるので調べてみましょう。
・食費(3万〜)
料理をするか外食するかで、かかる費用は大きく変わってくると思います。
・生活消耗品(5千円〜)
トイレットペーパーやゴミ袋などの消耗品代です。
・交際費(1万5千円〜)
会社の飲み会や会食など、交際関係が広い方ほどお金がかかってくると思います。
ざっくり計算すると、毎月15万円ほどの出費があるといえます。節約しないと、趣味で使うお金がほとんどない……という方がいらっしゃるかもしれませんね。また、社会人2年目になると住民税を支払う必要があったりと出費が増えるので、それまでにどうにか給与を上げたいところです。
▼学生時代とはここが違う!思いがけぬ出費
学生時代と違って、お金のかかる行事がたくさん……!貯金をしておかないと、いざという時に困るので注意しましょう!
結婚式のご祝儀
社会人になるとまわりに結婚する友人が増えてきます。結婚式に参加する度に、ご祝儀代(平均2万ほど)が必要です。
・飲み会が多い
会社の環境にもよりますが、社会人は飲み会が多いため飲み代が異常にかかります。自身が全然飲まなくても、まわりの友人や先輩が飲む人だった場合、割り勘にすると恐ろしい額になることも。
・奨学金の返済
学生時代に奨学金を借りた方は、卒業した年の10月27日から返済が必要です。(※2015年12月現在)
・機材の購入
パソコン、カメラ、ペンタブ、携帯など、仕事に必要な機材の購入は大きな出費です。学生時代は親が買ってくれていた人もいるかもしれませんが、社会人になってからは自身のお金で購入するのが一般的でしょう。
・引越し費用
仕事が決まればオフィスの近くに引越しが必要な方が多いはずです。運送費、敷金礼金、数ヶ月分の家賃の先払い、家具の購入など、積み重なると高額になります。
働く業界・企業規模で変わる給与
同じクリエイター職でも、業界や企業規模によって給与は大きく変わります。やりたい仕事を優先する場合、割り切ることも必要ですが、参考として興味のない企業の給与も知っておくといいと思います。以下は、IT会社と制作会社の新卒デザイナーの生活環境の一例です。
IT企業勤務 年収450万|UIデザイナー A子ちゃんの場合
IT業界の大企業やベンチャー企業のデザイナー職は、他の業界と比べて給与が比較的に高いです。企業によっては入社1年目から年収500万だったり、家賃補助やランチ代無料など福利厚生が充実しているところが多いです。
制作会社勤務 年収250万|グラフィックデザイナー B子ちゃんの場合
美大生の就きたい就職先として人気な制作会社。会社によりますが、入社1年目の月収は大体18〜25万の会社が多いです。給与は決して高いとは言えませんが、好きな企業やブランドのデザイン制作に携われることがやり甲斐な人からすれば、給与の高さは気にならないという意見が多いです。
また、デザイナーからアートディレクター・クリエイティブディレクターに昇格すれば、一気に給与が上がります。
クリエイティブ業界の平均年収(2015年版)
正社員として就業している20~59歳まで平均年収は以下の結果となっています。
- ・Webデザイナー|340万円
- ・グラフィックデザイナー、イラストレーター|330万円
- ・クリエイティブディレクター、アートディレクター|467万円
- ・映像エディター|336万円
- ・工業デザイナー|452万円
- ・イベント、芸能関連|376万円
給与の低さをカバー!福利厚生も要チェック
給与が低いからといって、生活が必ず厳しくなるというわけでもありません。企業には「福利厚生」と呼ばれる制度があり、従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬があります。 内容は企業によって違いますが、求人広告の「福利厚生」という欄に内容が記載されていると思うので、ぜひチェックしてみてください。
▼こんな制度が!?従業員をハッピーにする「福利厚生」参考一覧
・ランチ代支給
ランチ代を全て支給する、ランチ(弁当)がお昼になると配布される
・家賃補助
オフィスから3km以内に住めば、家賃3万円補助される
・お誕生日、記念日休暇
自身のお誕生日など特別な日は休暇できる
・毎月ゲーム代5000円支給
ソーシャルゲーム会社などに多い制度、いろんなゲームで遊んで勉強してもらうために行っている
・無料マッサージ制度
マッサージ専門の方が来て、予約をすれば無料でマッサージしてもらえる
・専門書籍購入制度
仕事に関係する本であれば、会社が購入してくれる
・お昼寝制度
仕事中に眠くて集中できなくなったら、睡眠がとれるスペースが用意されている
・英会話レッスン費支給
仕事に活かせるように、英会話レッスンに通うお金は支給する
最後に
やりたい仕事と給与の高さ、良い条件が揃うことはなかなか無いかもしれません。将来の自分にとって何が1番大事なのか、一度しっかり整理してみましょう。将来働きたい仕事が決まっていても、視野を広げるためだと思って、他の業界の仕事や働く環境を覗いて比べてみると、気づくことが沢山あって面白いですよ。
(2015.12.16)
著者
後藤あゆみ
はたらくビビビット編集長。 フリーランスで“『ツクル』を仕事にしたい未来の子供たちのために。”を、コンセプトとして活動。クリエイター支援、スタートアップ支援を行っています。おばあちゃんになるまでに美術館をつくるのが夢です 。
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