今回紹介させていただくのは、自動車メーカーでプロダクトデザイナーとして働くC.Hさんの就活ポートフォリオです。大学でプロダクトデザインを専攻していたC.Hさんは、課題に勤しみながら学祭のデザイン制作や、デザイン会社でグラフィックデザイン制作などに取り組んでいました。プロダクトデザイナー職で就活をする際、専門問わず幅広いデザインスキルを身につけていたことが支えになったようです。プロダクトデザインの仕事に興味のある方は、ぜひチェックしてみましょう。
編集・執筆 / YOSHIKO INOUE,AYUPY GOTO
C.H さん
Product Designer
女子美術大学プロダクトデザイン専攻卒業。
2016年4月から自動車メーカーでプロダクトデザイナーとして働く予定。
PICKUP!
まず、ポートフォリオの中でこだわった点を教えていただきました。
【こだわった点①】1ページ目は特にレイアウトを工夫する
C.Hさん:ポートフォリオの第一印象を決める1ページ目は、時間をかけて作り込みました。ポートフォリオを見る方に「次のページもめくりたい」と思っていただけるよう、レイアウトや写真で惹きつけられるよう気をつけました。
見開きページで作品写真と使い方まで掲載したかったので、説明文はキャッチコピーで簡潔にまとめています。
【こだわった点②】1.2年次の学校課題は複数点をまとめて掲載
C.Hさん:1・2年時の作品はひとつひとつのボリュームやクオリティに自信がなかったため、1ページに複数点掲載する見せ方にしました。 それぞれの作品の写真はひとこと添えて1作品につき1枚だけ掲載しました。1ページを使って見せるのは難しいかなと思った作品も、こうした見せ方で掲載できて良かったです。
【こだわった点③】プロジェクトなど大きな制作は、制作過程や展示風景も掲載
C.Hさん:東京デザイナーズウィーク2014に出展した作品「雫の道」を紹介したページです。個人制作ではなく大勢で作り上げたプロジェクトの作品だったため、ポートフォリオにどう見せるか悩みました。
最終的にこのページでは「このプロジェクトに関わってどんな経験をしたのか」を見せると決め、制作過程や展示用に制作したCM映像も紹介しました。
ポートフォリオ一問一答
制作した時期
大学3年の冬
コンセプト
見やすく、読みやすく
掲載した作品内容
学校課題、プロダクトデザイン、グラフィックデザイン、イラスト、デッサン
▼学祭ではパンフレットのグラフィックデザインを担当
サイズ・ページ数
A3・20ページ
ポートフォリオの制作方法
①作品をピックアップする
②作品撮影をする
③ポートフォリオ掲載用に必要なスケッチを用意する
④文字の調整をしながらレイアウトを決め、編集する
⑤自宅のA3プリンタ(A3ノビまで出力できるもの)で出力する
⑥裁断し、ファイルに入れる
▼普段から描いていたアイデアスケッチやイラストも掲載
印刷・製本方法
自宅で印刷・ファイルに製本
制作中に参考にしたもの
先輩のポートフォリオや雑誌
制作中に見てもらった人
教授、学校のキャリア支援センターの方、当時アルバイトをしていたデザイン会社の方
これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
ポートフォリオ作りはゴールや正解が明確に見えないため、大変に感じると思います。ですが、「誰かに読んでもらう」という一番の目的を忘れず、読みやすい文字・綺麗な写真・レイアウトなど基本のルールを守れば大きな失敗はないと思います。
頑張ってください!
はたらくビビビット編集部より
C.Hさんのポートフォリオでは、作品ができるまでの過程やアイデアスケッチをくわしく掲載しています。そのため、アイデアから完成までの思考プロセスや試作の軌跡を企業の方に見てもらうことができます。特にプロダクトデザインなどのメーカー業界では、完成作品からは見えにくいプロセスの部分に注目する企業が多く、アピール部分になったようです。また、一つの作品の紹介は最大でも見開きページで完結させ、見る側が飽きないような構成を工夫しています。
デザイン作品は、完成形だけでなく制作過程や完成後に他者とどうつながったかも大事な部分です。作品の使い方や実際に使っている様子が掲載されていると、企業側はその人の制作したプロダクトが世に出ることが想像しやすくなります。作品が形になる以前・以後の見せ方に工夫することで、単なる作品集としてのポートフォリオから就活で役立つツールとしてのポートフォリオになるでしょう。
C.Hさん、ご協力ありがとうございました!
(2016.3.18)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア