「ワークライフバランス」という言葉を聞いたことがありますか?“仕事と生活の調和”と訳され、近年ニュースなどで耳にすることが増えました。まだ自分が望む働き方がなかなか想像できない学生は多いと思いますが、漠然と安定した生活を送りたい、仕事と生活のバランスをとりたいなど考えている学生は、ここで改めて「ワークライフバランス」について考えてみませんか?
編集・執筆 / ASAMI KIMURA, AYUPY GOTO
目次
- 1. ワークライフバランスって何?
- 2. ワークライフバランスを実現する3つのメリット
- 3. 企業がワークライフバランスを意識するワケ
- 4. ワークライフバランスで注目すべきチェックポイント
- 5. ワークライフバランスに関して気をつけたいこと
- 6. 最後に
1. ワークライフバランスって何?
近年耳にするようになってきたワークライフバランス(WLBとも略される)という言葉ですが、もとはアメリカから生まれた考え方です。働く女性がいかに子育てと仕事を両立するかという問題に関する意識であり、女性の社会進出によって注目されるようになりました。
さらに最近では結婚した女性のみに関する考え方ではなくなってきています。共働き家庭の増加に伴った男女の家事分担や、これからの社会全体でも大きな課題になっていく介護問題などによって、誰もが仕事と生活の両立について考える必要が出てきています。
他にも学生からイメージする最も身近な例では、自分の趣味の時間を楽しむことや、友人らと充実したアフター5や休日の過ごし方でしょう。そのためには実際どのような働き方をすればいいかを考える基準として、ワークライフバランスという考えがあるのです。
2. ワークライフバランスを実現する3つのメリット
ワークライフバランスが取れている状態には、自分の時間を楽しめるという以外にも仕事上にメリットがあります。一体それはどんなメリットなのでしょうか?
- メリット1「仕事に活かせる新たな着想が得られる」「学生の内にいろんなことを経験しておくべき」というアドバイスはよく聞くかと思います。社会人になって遊んだり刺激を受けたりする時間が減るからこそ言われる言葉です。しかし皆さんが目指すクリエイティブ職に就くにあたっては、社会人になってからも自分の中の引き出しを広げ続けたいもの。だからこそプライベートの時間にゆとりを持って様々な経験ができることは、仕事とも相乗効果を生んで充実した生活をもたらすと言えます。
- メリット2「心に余裕が生まれ、モチベーションが上がる」どんなに成果を出したい人でも、ただ長時間労働を続けたいわけではないはず。仕事と休みのメリハリをつけつつ成果を出すことができれば、心の余裕を生みます。その余裕は仕事でのモチベーションの向上にも繋がり、次のステップにも繋がりやすくなるでしょう。
- メリット3「人付き合いがおろそかになりにくい」仕事が忙しくなれば、家族や友人と過ごす時間はなかなか作れなくなってしまいます。親しい関係の人でも会う時間が減ってしまいますし、少し遠い知人ともなると機会を逃せばもう会えない…なんていうことも。人づてに得られる情報というのは、思いのほか仕事に役に立つことがあります。人生において人付き合いは大切にしたいものです。
3. 企業がワークライフバランスを意識するワケ
社員個人にだけではなく、企業側にもワークライフバランスを意識した環境を作るメリットがあります。それはどんなものでしょうか?
- ・「社員が会社に定着し、安定する」社員の採用や人事、教育にかかるコストというのは大きいもの。せっかく優秀な人材を採用して教育しても、辞職されてしまうとその人にかけたせっかくのコストが無駄になってしまいます。長い目で見て、ワークライフバランスを保ちつつ長く会社に貢献してくれる人材を育てるほうが、会社が安定するのです。
- ・「企業全体として仕事が効率化する」限られた時間で仕事を終わらせるようにするためにはそれなりの計画性が必要です。自分の仕事や部署のプロジェクトを期限内に終わらせるにはどうすればいいかを求めていけば、自然と仕事の進め方が改善されていきます。すると会社の仕事の水準が上がるほか、営業時間の延長による電力消費なども削減することができます。
- ・「社員の健康が維持される」社員が仕事に健康な状態で取り組むことは、会社全体にとって重要です。社員一人ひとりが自分の役割をこなすことで会社は動いています。社員の心身の健康に関して良い環境を作っていくことは、ひいては会社全体の生産性の向上にも繋がります。
4. ワークライフバランスで注目すべきチェックポイント
では具体的に会社のどこを見ることで、自分が求めるワークライフバランスを保てそうだと分かるのでしょうか?
一般的には仕事と私生活との時間のバランスが重視される考えであるため、多少給与が少なかったとしても休日や勤務時間の部分をチェックすることになりそうです。また、安心して仕事に向かうためのサポートである福利厚生も大切でしょう。以下では代表的なものを見ていきます。
- ● 休日・休暇、勤務時間ワークライフバランスと聞いて最初にイメージするのはやはりこの部分です。「完全週休二日制」と「週休二日制」との違いや、祝日の扱いなどもチェックしておきたいところです。また、「フレックスタイム制」という、勤務時間帯をずらすことの出来る制度はIT系企業に多い制度です。通勤ラッシュを避けたり、自分の生活リズムに合わせた働き方ができるのはありがたいですね。
平均の残業時間などは会社の公式情報だけではわからない部分も多いと思います。そういう時は、転職者による口コミサイトなども参考になるでしょう。 - ● 産前・産後休暇、育児休暇この項目もワークライフバランスを判断する上での基本です。福利厚生が整っていると言われる企業は、これらの休暇の取得率が高いでしょう。男性でも育児休暇を取得できるならば、さらに社員の生活を考えている企業だと考えられます。産休取得率も大事ですが、そこから復帰して活躍している女性がどのくらいいるかはさらに注目すべき部分です。
この他にも、会社独自の制度として社員の働きを支援するものもあります。テーマパークやスポーツクラブの優待価格利用、勤務中のフリードリンク制や資格取得支援金や社内大学のほか、ユニークな制度はたくさんあるので調べてみると面白いかもしれません。
ただし、それらの制度は「生活をしやすくするもの」と「仕事環境を支援するもの」に分かれると考えられます。自分にはどちらの面のサポートが重要なのかは考えてみると良いでしょう。
5. ワークライフバランスで注目すべきチェックポイント
ここまで、仕事とは切り分けて、私生活にも時間を作ることが大事だと書いてきました。しかし、あくまでそれはこの考えの生まれた理由に沿って説明をしたものです。ワークライフバランスと一言にしても、何をどこまで重要視するかは人それぞれ異なります。
私生活を充実させたいと思う人がいる一方、若いうちはバリバリ働いてキャリアアップに繋げたい!という考えの人ももちろんいます。
もっとも、本当に私生活の充実や安心を得るためにはお金が必要なことは事実。時間もお金も同様に貴重なものです。体力があって働けるうちに稼ぎ、ある程度落ち着いてから自分の時間を充実させようという考えも理に適っています。
将来設計も考慮した上で、自身がどんなものを求めるのか判断していきましょう。
6. 最後に
ワークライフバランスとは会社から与えられるものではありません。仕事も生活も充実させるためには、ロールモデルを思い浮かべられると良いと思います。
自分に合った働き方をイメージし、就職活動をするうえで企業の社内環境を見極めながら、自分の理想に合った会社や生活を選択できれば一番嬉しいですね。
(2015.6.12)
著者
はたらくビビビット
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