皆さんはエディトリアルデザイン(editorial design)というデザイン分野をご存知でしょうか？皆さんがよく手にする新聞・雑誌・書籍などの出版物はすべてエディトリアルデザインのもと作られています。今回は、そんな私たちの身近な書籍を美しくデザインする、エディトリアルデザインの魅力と、エディトリアルデザイナーに求められるスキルについてご紹介したいと思います。
編集・執筆 ／ ARAAKEMAYU, AYUPY GOTO

1. エディトリアルデザインって何？

エディトリアルとは編集という意味で、主に書籍、雑誌、新聞、マンガ、フリーペーパー、カタログ、パンフレット、各種マニュアルなどページ数が多いものをまとめる編集作業を指します。文章や図、写真などを整理・配列することで、美しい紙面を作りだすことができます。
そして、そういったデザインを専門に手がける仕事のことは「エディトリアルデザイナー」といいます。

2. どんなものをデザインしているの？

書籍のデザインをおこなうエディトリアルデザイナー。そのなかで、実際にどんなものをデザインしているのかを紹介します。

最近では読む人が少なくなってきている「新聞」ですが、政治・経済・社会・国際・スポーツ・カルチャー……ありとあらゆる情報を、紙面から読む人にわかりやすく伝えるためにデザインされています。

ファッションから芸能、生活、趣味など幅広いジャンルを取り扱う雑誌。文章だけでなく写真を効果的に扱う雑誌にはエディトリアルデザインが必要不可欠ともいえるでしょう。エディトリアルデザインでその雑誌のイメージ、雰囲気までもが作られていきます。

商品や展示物などの品目が掲載されているカタログ。その商品の写真や特徴、価格などの細かな情報が、見る人にわかりやすく整理され、商品をより魅力的に伝わるようにデザインされています。

3. グラフィックデザイナーとエディトリアルデザイナーの違いとは？

作業内容が似ているようで違うグラフィックデザイナーとエディトリアルデザイナー。

一つの書籍を作る際には、エディトリアルデザイナー・グラフィックデザイナーが一緒になり手掛けることもあります。

4. 求める能力、デザインスキル

ここまでの内容で、エディトリアルデザインがどんなデザインであるかがわかってもらえたと思います。ここからは、エディトリアルデザインをするために必要なパソコン上でのスキルなどを紹介したいと思います。

最近では書籍を作成するときには、ほとんどをパソコン上のDTP関連ソフトウェアを用いて行います。
以前記事でも紹介された、Adobe InDesign（インデザイン）でのソフトを使うのが主流です。
紙面？グリッド？「Adobe InDesign」で出来ること

エディトリアルデザイナーには編集という作業を理解する能力が要求されます。例えば、紙面を作る際の文章の組み方を判断するセンス。また、小さいサイズでレイアウトをしたためにそのグラフが読めないようでは困りますし、逆に小さくても良いはずのグラフを大きくしてしまうとそのデザイナーのエディトリアルセンスを問われます。
いずれにしてもエディトリアルデザイナーは単純なグラフィックデザイナーではなく、紙面の編集を十分に理解していなければなりません。これは特殊な才能と理解力が要求されるため、経験不足の新人などでは歯が立たないでしょう。多くの場合、エディトリアルデザイナーには、豊富な経験や知識が必要とされます。

5.最後に

エディトリアルデザインについての理解は深まったでしょうか。私たちがよく手にする本や雑誌、カタログなどはこうしたデザインのもと作られています。手に取る際に内容だけでなく、どのようなアイデアや考え方があって作られているのか、目を向けるのも楽しいかもしれません。

(2018.10.25更新)

著者

荒明真柚

武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科2017年卒業。グラフィックデザイン、パンフレットや本のエディトリアルデザインを主に勉強しています。最近はラジオを聴くのにはまっています！

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