色のいろいろ、日本のポップカルチャー配色術!

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日本のポップカルチャーは、今や日本を代表する文化となっています。アニメや漫画、コスプレ……そして原宿スタイル。若者に人気のトレンドが集う「原宿」では、独自のスタイルが出来上がっています。そこで今回は、こちらの記事「配色で見え方が変わる!色使いを武器にしよう」でも触れましたが、原宿系ポップカルチャー個性派配色に着目して、深く探ってみようと思います。
編集・執筆 /YAMADA, AYUPY GOTO

●流行発信の地!原宿のポップカルチャー傾向

そもそも原宿系とは?

「原宿系」「ポップカルチャー」「流行ファッション」と、かなり幅の広いスタイルが展開されている「原宿スタイル」。それは、ロリータをはじめ、古着、原色、ストリートなど、幅広い系統のファッションをすべてをひっくるめて“原宿系”と呼んでいます。それ故に、様々なタイプの人の興味を惹き付けるきっかけにもなっていると思いますが、よく知られている“原宿系”というのはやはり、奇抜な配色個性的なイメージが強いのではないでしょうか。
そういった個性的な原宿ファッションは、ここ2,3年で火がつき一般に浸透してきましたが、ファッションの中心地としては70年代から始まっています。そして80年代には現代の原宿系ファッションを彷彿とさせるような「竹の子族」や「ローラー族」といった派手でカラフルな格好が流行しました。2000年からは、「zipper」「KERA」「FRUITS」などの個性派雑誌で、時代に先駆けた個性派オシャレモデルたちが、物珍しい格好で原宿系ファッションを身に纏っていました。現在ではよく見かけられるようになった厚底の靴も、履いていると何かと視線を集めるような時代でした。
そして、そこから奇抜なファッションが、現在のように一般的に浸透する流行の火付け役となったのが「きゃりーぱみゅぱみゅ」さんです。彼女の原宿を基点としたポップで不気味かわいい、個性的な世界観がたちまち世界的にも支持されるスタイルとなりました。

では、そもそもどうしてこのようなスタイルが生まれたのでしょうか。
もちろん原宿系の中のジャンルによっても異なってきますが、先ほど述べたように、ポップで明るく原色を多用した個性的なスタイルは昭和時代から存在しました。

原宿系の源はアメリカの影響を受けている?

昭和時代、日本で流行したロカビリーファッションやストリートファッションというものは、50年代のアメリカからの影響が大きいです。
実際にアメリカのファッションからインスピレーションを受け、発信しているものは多数見受けられます。例えば、
50'sの雰囲気漂うアメリカのダイナー
Corvette5-min
引用:https://www.asid.org/content/corvette-diner

80年代のアメリカファッション

引用:https://www.buzzfeed.com/briangalindo/53-things-only-80s-girls-can-understand
こういったものも原宿系と近いも感じますね。
ここから配色の原理をたどってみると、アメリカの配色に近く、お菓子のパッケージや、町並みなど、影響を受けていることがわかります。また、日本の80年代に流行したスタイルが最近巡回してきているのも確かです。
「80’sスタイル」とも呼ばれており、現在の配色と感覚が似ていることが分かります。この日本の80年代のイメージも海外からの影響を強く受けていると思いますが、“日本の感覚”が織り交ぜられています。つまり、現在の原宿系の根底には80年代の要素を含み、現代風にリニューアルしているのです。
また、もう1つの大きな原宿スタイルである、ロリータファッション
これは日本独自のもので、世界に人気が広まっています。しかし、このムーブメントの根底にあるのは、欧米文化への憧れであり、少女的で幻想的、お姫様のイメージを組み込んだものです。ここから原宿系は欧米のイメージをベースに日本独自の文化を創り上げる傾向が見受けられます。日本人は妄想力がある人種であるとよく言われていますが、こういうところにもそういった感覚が現れているのかもしれませんね。しかし配色、というよりは装飾やデザインにロリータらしさが多く含まれていると思うので今回のテーマである配色との関係性は薄いかもしれません。

●基本的な配色傾向

では本題に入りましょう。
日本のポップカルチャーによる配色傾向はいったいどのようなものなのでしょうか。
とはいえ、先ほども述べたように多岐にわたった展開がされているので一概には言えません。なので代表的なものをいくつかかいつまんで考えてみたいと思います。

原色かわいい!原宿っぽいといえばこのカンジ

スクリーンショット 2016-07-11 2.00.20
引用:http://dokidoki6.com/top
まさに原宿系のポップでキュート。
彩度が高く派手なイメージ。
アメリカのお菓子も

引用:https://www.flickr.com/photos/10506540@N07/5598878149
反対色を合わせたり、彩度が高く原色が多用される一方、
ファンシーなイメージを与えるパステル配色も人気です。

引用:https://weheartit.com/entry/229052030
そしてこちらはゆめのようにかわいくてどこか病み要素を持ち合わせる“ゆめかわいい”と呼ばれるタイプ。
もちろん、スゥイートロリータなどの、お姫様感としての甘いイメージも。
夢のような,ファンシーな,というキーワードが当てはまります。

・彩度が高い
・色数が多い、カラフル
・明度が高く、パステルならよりガーリーなイメージになる
・原色寄りだとポップでカジュアルなイメージもうけとれる

それぞれ好みにもよりますが、男女問わずして持つ「かわいい」の概念に語りかけてくるものがありますね。

●自分で個性的な配色を決めるには?

ではこういったポップで毒のあるような奇抜な配色を設定するとき、どのように色を取り入れていけばいいのでしょうか。

世間で原宿系、ゆめかわいいと言われている配色を参考にする。

既に世で出回っている配色を参考にすることで確実性が増します。

アメリカのお菓子や町並みも参考になる

日本とは違った尺度と感覚で構成されているので、日本人からすると奇抜で個性的だと受け取られる場合があるのですが、ポップな海外の影響を多く受けているからこそ完成された印象であり、多くの人のその感覚は間違っていません。しかし、これが流行になり、一般に受け入れられつつある今、アメリカ現地の配色というのは原宿系の根底にあるものだと思うので、そこから感覚を抜き取る手段はとても効率がよいのではないかと思います。

しかし参考にしてばかりでは目にした事のある配色ばかりになってしまう……。
そんなときはどうするか。
色の組み合わせというのは2色ならどの組み合わせでも大抵がマッチします。色数が増えていくほど合わせづらくなっていくもの。原宿系の色は、先ほど色数が多く派手なものも多いと書きましたが、2、3色程でも表現できるものは沢山あります。

2色の場合

同明度、彩度の反対に近い色を選ぶ。
派手で明るいイメージは掴めます。
スクリーンショット 2016-07-11 3.00.32

同明度、彩度の同系色を選ぶ。
暗めの色はあまり雰囲気が出ないので、明度が高いものを。
パステル寄りのものがオススメです。
スクリーンショット 2

3色の場合

先ほどの2色の中に1色プラスする。
・2色の時と同じルールで追加すると、おもちゃのようなポップさが出ます。
・3色の場合は特に色のぶつかりを考えなくともどの色でもマッチしやすいです。
スクリーンショット 2016-07-11 3.00.47
ここで元気なイメージにしたかったり、ガーリーなイメージにしたかったりとイメージを持っていると、追加しやすいのではないかと思います。

先ほどのルールと違った色をプラスする。
明度も彩度も違った色を追加する場合です。この場合は考えながら追加をしないと、2色と違った彩度明度なので気持ちのよくない配色になってしまう場合があります。
オススメは彩度はそこまで下げず、パステル寄りの色や、原色寄りの色を追加する、または黒などで締める、という場合もあります。
スクリーンショット3
入れておくとそれっぽくなる色は紫やピンクです。一概に紫、ピンクと言っても、彩度明度を変えることによって毒毒しくなったり夢のような雰囲気が出る色になったりと幅が広いですね。
ぜひ組み合わせで考えてみてください!

ちなみに……この記事のTOP画像の配色は

スクリーンショット4
細かく分けるともっと多くなるのですが、主にこの3色でまとめています。これは紫とピンクの近い色と彩度の高いエメラルドグリーンの反対色を使用し、色幅を出しています。

ちょっとかわったカラーも取り入れれば雰囲気がでるかも?

近年通常の色に加え、ゴールドシルバー、そしてオーロラというカラーもファッションや小物、文房具などによく取り入れられるようになりました。
これは原宿系だけに限らず、どのジャンルでもうまく組み合わせれば万能な指し色となります。
こういった色をメインに持ってきて、特殊カラー同士を組み合わせることは悪いことではありません。少し上級者向けであり、差し色にする方が無難ではあります。

●最後に

ポップカルチャーの発展によって、様々な新しい文化が日本の中で生まれています。今回はポップカルチャーの1つ、原宿系の配色に注目してみました。しかし遡ってみると、それは過去の循環であり海外からの影響でもあるので、すべてが日本から生まれた純100%のもの、というわけではありません。アメリカの配色と日本人の感覚の配色とが混ざり合い、こういった独自の文化が誕生し、色々な情報を吸い取ってオリジナルの文化として成長してきました。
今回は配色について触れてきましたが、ここにデザインが加わることで初めて完成するものがほとんどです。なので、こういった個性的な作品を作りたいと思ったときの配色の雰囲気を掴むために、これらの情報が少しでも助けになればいいなと思います。万国共通のkawaii旋風、今後もどのような変化を見せるのか要チェックです。

(2019.07.24更新)

(2016.7.11)

著者

山田実優

武蔵野美術大学でグラフィックデザインやパッケージデザイン、ブランディングデザインを主に勉強しています。 舞台鑑賞や洋服巡りが好きです。

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