皆さんは「和柄文様」を知っていますか?和柄文様という言葉を知らなくても、誰もが一度は目にしたことがあると思います。日本伝統のデザイン、実は和柄文様の一つ一つに、由来や意味が込められています。今回は日本の和柄文様の意味や和柄文様×デザインに注目して、ご紹介していきたいと思います。
編集・執筆 / ARAAKEMAYU, AYUPY GOTO
▼ 和柄文様とは
日本の伝統的なデザイン和柄文様
一般的に和柄とは、文様を意味しています。この文様をパターン化し、規律正しく並べたものを和柄と読んでいます。この和柄は平安時代中期から今までデザインされてきており、いくつかのパターンは現在でも当時のデザインのまま使用されています。
文様には、自然現象を抽象的に表した幾何学文、動物や植物をモチーフにした動・植物文に分けられます。またパターンの構成方法によって,単独文と連続文、地文に分けられます。単独文というのは単一の図文から成るもので、各要素を複合して単一の図文に構成したものとがあります。
和柄文様の歴史
現在私たちが多く目にすることのある和柄文様が生み出されたのは、平安時代以降のデザインが中心となっています。
平安時代初期は、中国や他の国からの影響のものが多くありましたが、平安時代以降に日本独自のものや、他国から伝わったものをアレンジしたデザインが広まってきました。そしてこの頃から、紫式部が書いた源氏物語が誕生し、日本文学の発達時代となりました。そして、ひらがなが誕生し、デザインも日本独自のものと変化してきました。
日本人は古くから、自然の持つ美しさに惹かれていました。そのため、現在の文様には歴史的なデザインを継承しつつ、自然をモチーフにしたものが多く存在しています。
▼ 文様の意味につて知ろう
ここではその文様の種類の紹介とその文様に込められた意味について説明していきたいと思います。
青海波文様(せいがいは)
三重の半円を連続して波を表した幾何学文様。名前の由来としては、名称「青海波」は舞楽「青海波」の装束に使われた文様が起源となっています。江戸時代には青海水とも呼ばれていました。配色は文様の名から想像される様な青だけでなく様々な色で彩色され、「四海波静か」という言葉に連想されめでたい文様として季節に関わりなく描かれる文様となりました。
麻の葉(あせのは)
この文様は大麻の葉の形に似ている事から名付けられました。
古来から「麻」は神聖なものとして扱われていました。麻という植物は丈夫ですくすくとまっすぐに伸びることから、子供の産着に用いる風習があリました。
七宝(しっぽう)
この文様の意味は、耐えることのない永遠の連鎖と拡大を意味し、円満や平和を表しています。また、仏教の経典に書かれている七つの宝物「金、銀、瑠璃、珊瑚、瑪瑙(めのう)、玻璃(はり)、千年生きるとされるシャコガイ」に由来すると言われています。
矢絣(やがすり)
この文様は矢羽根を絣織で表現したものです。江戸時代に、結婚の際に矢絣の着物を持たせると出戻ってこない(射た矢が戻ってこないため)といわれるようになり、縁起柄とされています。
市松文様(いちまつ)
チェック柄としても馴染みがある市松文様。歌舞伎役者佐野川市松が舞台衣装に用いた事からこの名称が付きました。4年後に行われる2020年のオリンピックのシンボルでも用いられることになっています。
籠目文様(かごめ)
籠目文様は編んだ竹籠の網目から生じた文様です。網目の一つを紋章化した正三角形を上下に重ねた星型の形は邪を払う力があるとされ、魔よけの印として使われたりもします。
鱗文様(うろこ)
鱗模様は蛇や蝶を連想して、脱皮を表し、厄を落とし再生するという意味があり、江戸時代には厄除けの文様とされてきました。
▼ 日本文様を活かしたデザイン特集
和柄文様 x デザイン
小江戸まるまる屋 組飴市松飴
川越にある「小江戸まるまる屋」は、川越の名産品や伝統工芸品を扱っているお店です。これは飴と和柄文様が組み合わされたデザインになっています。
東北和柄コースター
日本の木を使ったコースターと和柄文様が組み合わされたデザインです。全面に施されたレーザー彫刻の和のパターンと、杉の木目が繊細なデザインを生み出しています。この作品は「復興支援 デザインコンペ」にも入賞された作品です。
蕎麦猪口大辞典
昔ながらの文様をはじめ、伝統の図案を現代風にアレンジした文様まで約50種がデザインされた蕎麦猪口です。
紙々 古川紙工株式会社
日本の紙「和紙」と和柄文様が組み合わされたデザイン。紙には和柄文様のエンボス加工が施されています。この紙を使ったご祝儀袋や便箋などとしてブランディングデザインされています。
▼ 最後に
古来からずっと受け継がれてきた日本伝統の和柄文様。現在では、柄やパターンとしてアレンジされ今でも廃れる事のない日本伝統のデザインです。一つ一つ込められた由来や意味にも注目して、ぜひ皆さんの作品にも取り入れてみてください。
(2016.7.22)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア